観察49:暴走〜雪奈の場合〜
「ねぇお兄ちゃん」
「何だよ? 雪奈」
休日の午後。テスト勉強も一息ついて休んでいた所にいつものごとく雪奈がきた。
「叩いて被ってジャンケンポンがしたい」
「……お前のセンスが分からない」
懐かしい遊びだけど。保育園とか小学校でよくやったけど。
「だってあれって極めると凄くハイレベルな戦いになるんだよ?」
知らねぇよ。
「という訳で、包丁とヘルメットを用意して遊ぼう?」
「……ちょっと待て。今、包丁って言ったか?」
「? あとヘルメットもね」
そっちはどうでもいいけど。
「何? そのネタ流行ってんの?」
C級ホラーな感じのギャグが。瑞菜も昨日持ってたし。
「よく分かんないけど………何か問題あるの?」
「安全性に若干の不安があるな」
というかブラックユーモアは苦手なんだが……。
「大丈夫。相手に同情をかけなければ死なないよ」
「……その言い方だと雪奈は同情せずに一思いにやっちゃうと?」
「うん」
……普通にうなずかれましたが。
「とりあえずあれだな。オレはテスト勉強で忙しい。永野とでも遊べ」
「ん〜……永野さん? お兄ちゃんが良かったのに」
「悪いな」
残念なことにオレはまだ死にたくない。
「う〜ん……じゃあ永野さん殺してくるね」
「あ〜……うん。行ってらっしゃい」
そして永野は逝ってらっしゃい。
オレは永野の冥福を祈った。
瑞菜といい、雪奈といい。無理をさせてるのは間違いないと思うオレだった。
永野が今後出るかどうか分かりません。