観察38:年の差
「うぅ……なんでお兄ちゃんと私って学年違うんだろう?」
レクレーションのある日の朝。朝食をとってる中、雪奈そんなことを言ってきた。ちなみにこころは瑞菜と先に電車に乗って学校へ向かったので既にいない。
「オレが先に生まれてきたからに決まってんだろ」
「でもお兄ちゃんが留年したら一緒の学年だもん」
「お前はオレに留年しろとでも言うのか?」
「うん」
……普通にうなずくなよ。
「外国だったらお前が飛び級すればいいけどな」
雪奈は頭もいいし、1年くらいなら飛び級できそうだし。
「そしたらこころお姉ちゃんとも一緒になれるよね」
「まぁな」
「うぅ……法律なんて嫌いだ」
「ていうか、法律で定められてんのか? それって」
「でも、法律に飛び級制度を認める内容があればきっと飛び級できるよ?」
「……できるよと言われてもな……」
なんて反応すればいいか微妙だ。
「てか、いきなりなんで学年の違いを文句言いだしてんだよ?」
「だって今日の遠足お兄ちゃんともお姉ちゃんとも一緒に遊べないもん」
「遠足じゃなくてレクレーションな」
「そんなことはどうでもいいんだよ」
「たしかにどうでもいいな」
実際こだわる必要はないな。
「ていうか、そんなこと今更だろ? 今まで別に文句言うことなかったじゃないか」
遠足やレクレーションなんて1年に2,3回はある。何度も同じ経験をしてきたはずだ。
「でも……今はお姉ちゃんもいるし……」
「あぁ……こころか。ていうかマジでお前ってこころの事好きだよな?」
「……それに、今年は昔の人もいるし」
「……瑞菜? そんなにお前ら仲いいのか?」
そんな様子は見られないんだが……。いつもケンカしてるイメージあるし。ケンカするほど仲がいいってやつか?
「……………………」
雪奈はオレの質問に答えない。黙ったままになった。
「……先に行くな?」
朝食も食べ終えても雪奈は口を開くことはなかった。
オレはそれだけ言ってその場を離れた。
またシリアスな展開が始まりそう。