観察37:悪友A
「リア充氏ね♪」
「……何を気持ち悪い声出してんだよ? 永野」
瑞菜と付き合い出してから一週間たった昼休み。永野に何か最近変わったことないかと聞かれたので、瑞菜と付き合い始めた事を伝えた。ちなみに瑞菜はというと、こころと屋上で昼食をとってるらしい。最近はあの二人も仲がいいみたいだ。
「彼女がいるやつなんて氏ねばいい♪」
「……別にいいけど、お前に彼女ができても同じ事言うのか?」
「なわけあるか。盛大に祝えと言う」
「……だったらオレのことも祝えよ」
「リア充を祝う心なんて俺は持ってない」
……こいつに彼女が出来てもオレは祝うことないな。
「でも海原。雪菜ちゃんのことはどうするんだ?」
「どうするって……何がだよ?」
「付き合ってたんじゃないのか?」
「なわけあるか。アイツはあくまで妹みたいなものだっての」
「本当かよ? どう見ても雪菜ちゃんのお前に対する感情は明らかだったろ」
「だからそれは家族に対してのそれだろ」
気づかない振りをするのは得意だ。中学生のころ超鈍感な奴がクラスにいたから、そいつの真似をすればいいだけだからだ。
「……お前が知ってるかどうかは知らないけどよ、雪菜ちゃんて友達いないんだぜ?」
「知ってるよ」
アイツに友達がいないのは知ってる。小さい頃からずっとだから。
「じゃあ雪菜ちゃんがクラスの中でどう過ごしてるか知ってるか?」
「いや……知らない」
「そうだよな。お前から雪菜ちゃんのクラスに行くことなんてないからな」
「………だったらなんだってんだよ?」
「別に。機会があったら行ってあげろってだけだ」
「何でお前にそんなこと言われないといけないんだよ?」
「いいから心に留めとけ。お前が春日さんを選んだからといって、雪菜ちゃんへのお前の責任がなくなった訳じゃないからな」
「責任は果たすさ。兄として」
「……お前は大馬鹿野郎だな」
「うるさいよ」
そんなことこころにさんざん言われてるっての。
「後、お前の友人としてこれだけは忠告しておく」
「……お前がオレの友人のつもりだったのは驚くしかないが……何だよ?」
「同時攻略だけはやめとけ」
「……………………」
「リア充と言っても素人には難しいぞ」
「……オレはお前の事を一生理解できないと思う」
というか理解したくないオレだった。
明日はレクレーションです