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観察33:告白〜瑞菜〜

「引かなくていい」

「とー……くん?」

「オレは瑞菜が好きだから」

オレは何を言っているんだろう? オレが好きなのは雪菜のはずなのに。

「とーくん? 何を言ってるの? とーくんが好きなのは雪菜ちゃんだよ? 私じゃないよ」

「確かにオレは雪菜のことが好きだよ。でもそれは家族に対する好きなんだ」

嘘だ。でもオレが認められる雪菜への気持ちはこれだけだ。だからこれだけがオレの真実。

「だとしても何で? どうして私なの?」

「オレの初恋は瑞菜だから」

小さな頃の恋。恋愛というのもおこがましいような……そんな恋。だからこそ純粋で一途な感情。例えそれが時を経て薄まろうとも、きっかけさえあれば簡単に強くなる。今のオレのように。

「あはは……何だかとーくんの顔が真剣だ」

「嘘は言ってないからな」

少なくとも瑞菜に対する想いは。雪菜に対しては嘘つきなオレだから瑞菜への気持ちだけには素直になりたい。

「ぅん……分かるよ。幼なじみだもん」

失ったと思った恋。だからこそオレの中から消えることはなかったもの。それはきっと瑞菜と同じ。

「オレは瑞菜が好きだ。だからもう一度聞く。……オレじゃ助けになれないのか?」

「私もとーくんが好きだよ。だから言うね。助けて欲しい」

オレは瑞菜を抱きしめる。

「オレは何をしたらいい?」

耳元で優しくオレは聞く。

「傍にいてほしい……そしたら大丈夫だよ」

オレは強く抱き締めた。瑞菜の小さな身体を。なにものからも守れるように。



「あはは………」

「なんというか……」

「「恥ずかしい……」」

オレも瑞菜も顔が真っ赤だった。勢いでとんでもないこと言ったような気がする。最後には抱き締めたりすらしたし……。

「え〜と……これで私達恋人同士……だよね?」

「そう……なるかな?」

「「…………………」」

沈黙。

「「恥ずかしい………」」

シンクロ。

「全国のカップルなみなさんはこんなに恥ずかしい思いをしたんだね」

「……たぶんこんな会話してるから恥ずかしいんだと思う」

「あはは………」

「あぁ……うん」

「「この話はやめよう」」

やばい……何か既に馬鹿なカップルっぽい。

「……ところでとーくん」

「ん? どうかしたか?」

「……雪菜ちゃんには内緒……だよね?」

「そう………だな」

それは雪菜の為かオレの為か……雪菜には話せる気がしないオレだった。


……メインヒロインは雪奈だったはず。……あれ? この展開あり?

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