観察28:風邪?
「こほっこほっ……うぅ……」
「っくしゅん!……うぅ……」
「「……風邪引いた」」
「あんたらバカでしょ?」
「うるさいよ」
昨日雨にずっと濡れてたからな……風邪引いてもおかしくない。
「傘持っていかせた意味ないじゃない」
「って言っても話をしてる間は雪奈にさしててオレ濡れてたし」
「私はお兄ちゃんがくるまでずっと濡れてたから」
その上、帰る頃には雨止んでたし。マジで傘の意味なかった。
「とりあえず今日は学校休みなさい」
「うぅ……母さんオレ学校行きたいよ」
最近永野に会ってない気がするから、たまにはアイツの意味不明な叫びを聞きたい。
「誰が母さんよ?」
「こころ」
「……大きな子どもね」
「え? お兄ちゃんはお姉ちゃんの子ども? じゃあ私もお姉ちゃんの子どもになるの? え? お姉ちゃんなのにお母さんなの?」
いや、真面目に考えたらおしまいだから。
「こほっ……とにかく連絡の方は頼むな」
「了解。しっかり治しなさいよ?」
「そっかぁ……今日はお兄ちゃんとふた…っくしゃん!…二人っきりなんだ」
「だとしても寝てるだけだぞ」
「別にそれでもいいもん」
さてはまた同じベッドで寝るつもりだな。
「分かってると思うがお前はこころのベッドで寝るんだからな?」
「え〜……楽しみにしてたのに……」
するな。自分の年を考えろ。
「てか……あんたら普通に元気そうなんだけど……」
「気のせいだろ」
「まぁいいわ。行ってくる」
「「行ってらっしゃい」」
オレと雪奈に見送られる中、こころは家を出発した。
「朝飯も食べたし寝るか」
「そうだね」
ピンポン♪
段取りを決めてるところでチャイムがなった。
「誰だ? こんな朝早くに」
「う〜ん……昔の人なんじゃない?」
「瑞菜? 何でだ?」
いつも一緒に学校には行くけど、今日はオレ達は休みだってこころから聞いてるはずだけど……。
オレは疑問に思いながらも玄関に行き、扉を開ける。
「あ♪ とーくんおはよう♪」
「……………………」
何なんだ? この瑞菜のテンション。語尾に♪がついてる感じなんだけど……。
「とーくん♪ 聞いてくれる?」
「あぁ……」
何だよ? 本当に。このテンション。
「とーくん風邪なんだってね♪」
だから本当にその♪はなに!?
「実は私も風邪引いたんだ♪」
「そ、そうですか……」
なぜだろう? 今日の瑞菜は怖い。
「ていう訳で私もとーくんの家で休ませてね♪」
「あ、あぁ………って、え?」
なんだって?
「雪奈ちゃんも風邪引いたんだってね♪ 私も一緒に休ませて♪」
「い、いや、普通に家で休めよ」
「親がいないから誰かが居るところで休みたいんだよ♪」
「そ、そうですか……」
何なんだろう? 今日の瑞菜は……。
「お兄ちゃん? やっぱり昔の人だったの?」
何だか困惑している所に雪奈がくる。
「あ♪ 雪奈ちゃんおはよう♪ 今日は一緒に休ませてね♪」
「ぇ……あ、うん……って、え?」
「私も風邪引いたんだ♪ 私達仲良しだね♪」
「そ、そうかな……?」
スゲー……わがまま猫娘が何か押されてる。今日の瑞菜は一味違う。
「一緒に風邪を治そうね♪」
「「はぁ…………」」
訳のわからないオレと雪奈だった。
今回の瑞菜は書いてる自分でも怖かったです。