観察20:ツンデレ娘の理由
「それで? どういうつもりか答えてくれるか?」
自宅。期待に違わずオレの家に当然のごとくやってきたこころにオレは問い詰める。
「あんたん家にお世話になるつもりよ」
………普通にいわれましたが。
「じゃ、質問を変える。何で他人の家にお世話にならないといけないんだ?」
「家庭の事情よ」
「……その家庭の事情をきいてんだが?」
「はぁ……男のくせに小さいこと気にするのね」
「おあいにくさま、オレと雪奈にとってはお前のことは大切なことだからな」
「………恥ずかしいやつ」
「うるさいよ」
言いたいことをずけずけ言うな相変わらず。
「まぁ少し詳しく言うと、今回の家族はこの辺りに住んでないのよ」
「……だったら何で二木高校に来たんだよ?」
「……そこまで言わないとダメ?」
「……じゃあ質問を変える。どうやってオレ達が二木高校に入学したか知ってんだ? あの日以来、オレとも雪奈とも連絡とってなかったろ?」
「情報化社会でそれくらい余裕よ。住所が変わってなかったし絵に書いて楽だった」
いや……確か個人情報保護法とかそういうのがあった気がするんだけど………。
「それで? 結局あんたはアタシを追い出すの? 別にアタシは野宿でも大丈夫だし、嫌だったらそう言ってくれていいのよ」
「誰もそんなこと言ってないよ。お前には借りがあるし、それがなくてもオレ達はお前のことが好きなんだ。理由さえ教えてくれれば追い出すわけない」
もとより追い出す気持ちはないしな。
「……かなり恥ずかしいやつ」
「雪奈も全く同じ事を言うと思うけどな」
今、雪奈は瑞菜の家にいる。こころの歓迎会の準備の為だ。こころにおもいっきり甘えたいだろうに嫌な顔しなかった雪奈はもう子どもなだけじゃないと実感した。
「恥ずかしい兄妹」
「お前のおかげでな」
皮肉でもなんでもない。オレが雪奈と一緒にいるのはこころがいたからだから。終わってしまったはずのオレと雪奈の関係を繋げたのはこころだから。
「改めて言っとく。ありがとうこころ」
「…………バカ」
珍しくこころの恥ずかしがってる顔が見れて、なんだか得した気分になったオレだった。
ツンデレの定義が分からない