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観察14:遊園地に行こう

「はぁ……もうすぐ春休みも終わりだね。お兄ちゃん」

朝食。いつもより遅い食卓で雪奈がそんなことを愚痴る。

「そりゃ、初めからそんなに長い休みじゃないからな」

「ということでデート行こう?」

「行かない。以上」

「ビュジャヒュ!?」

「あん? ビュジャヒュ?……あぁ、既視感のことか」

あったはずのないことを前にもあったように勘違いすることだっけか。つうかそれをいうならデジャヴだろ。

「いや、実際前にもあったことだし。というか、デジャヴな」

確か終業式の日に同じようなことがあった。

「だいたい、お前はもう少し脈絡を持てって。話の繋がりが全くないのはどうかと思うぞ?」

「うぅ……だって、お兄ちゃんとデート行きたいんだもん」

「それに、前にも言ったが、デートってのは恋人同士で行くもんだ」

まぁ、一様にそうは言えないが、少なくとも気があるやつ同士で行くのが一般的だ。おごられるのが目的でデートするやつとかもいるみたいだけど。

「じゃあ恋人同士になろうよ」

「却下」

「即答!?」

「だってお前だって分かってるだろ? オレは確かにお前のこと好きだけどそういう好きじゃないって」

「そうだけど………うぅ………」

「あくまでオレは『お兄ちゃん』だからな。あの時からずっと」

それはオレと雪奈が望んだことだから。そう簡単になくしたくないものだから。

「別に……お兄ちゃんで彼氏でもいいじゃん」

「だから却下。後戻りができなくなるだろうが」

オレも雪奈も。

「後戻りって……何が?」

「自分で考えろ」

オレがいうのもなんだが雪奈は可愛い。それにオレよりも断然頭もいい。人見知りする性格さえどうにかすれば、オレなんかよりもっとふさわしい奴がすぐ見つかるはずだ。

「むぅ……分かんないよぉ」

「別に今は分かんなくていいよ。どうせお前にはまだ早い」

だから、たとえ雪奈が本気でオレを求めるようなことがあっても、オレは答える気はない。オレを悲しみや寂しさから救ってくれた雪奈が幸せになるために。

(……あくまで雪奈はオレの『家族』だから)

「はぁ……よく分かんないけど、デートはダメなんだね?」

「ああ。却下だ」

「じゃあ普通に遊びに行こうよ?」

「まぁ、春休みだしそれくらいはいいけど、どこ行きたいんだ?」

「遊園地!」

「遊園地ねぇ……」

時間的にはまだ大丈夫な時間か。

「んじゃ、瑞菜も誘って三人で行くか」

「うん!……ってなんで昔の人も一緒に!?」

「いや、それもしかしてノリツッコミってやつか?」

「ごめんね! 下手で!」

「いや、普通だった」

「嬉しくない!」

「てかお前、なんでそんなにハイテンションなんだよ?」

「それくらい脈絡なかったからだよ!」

「はぁ……脈絡のことをお前には言われたくないが……とりあえず落ち着け」

「はぁ……ふう……」

これで少しは落ち着くだろ。

「……それで、どうして昔の人が出てくるのかな?」

「遊びに行くんだろ? だったら人数多い方がいいし。それにこの間チョコレートケーキ食べさせてもらったし」

「うぅ……確かに正論なんだよ」

「という訳で異論はないな?」

「はい……」

なんか無駄に落ち込んでる感じの雪奈は無視してオレはお隣さんに向かうのだった。



「というわけで、遊園地に行くぞ」

「全然どういうわけか分からないけど、おーけーだよ。とーくん」

さすが幼馴染。顔を合した瞬間に誘ったのにOKするあたり流石だ。

「んじゃ、準備にどれくらいかかるか?」

「ん〜と……30分あれば大丈夫だよ」

「それじゃ、準備が終わったらオレん家に来てくれ」

「了解だよ」

こうして、春休みも残り少ない今日。オレ達は遊園地なんて所に行くことになった。

永野は誘わないのか

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