観察9:無駄に修羅場
「…………………………………」
「…………………………………」
状況説明。なんか修羅場。
(……なぜ?)
小学校に入る前に別れた幼馴染である瑞菜がなんか家の隣に引っ越してきて、それでとりあえず家にあげたら……。
「むぅ…………」
……なんか雪奈が怒ったんあよなぁ。
「……なぁ、雪奈。……なんで怒ってんだ?」
別に怒られるようなことしてないよな?
「別に怒ってないですよぉ俊行さん」
怒ってんじゃん。雪奈がオレのことを名前のさんづけする時は決まってかなり怒ってんだから。
「えっと……とーくん。そっちの子は誰なのかな? 妹さん?」
瑞菜も今まで黙ってたと思ったら一番答えにくいことを聞きますか……。
「あー……うん。妹みたいなもんだよ」
「……『みたいな』……?」
いや、うん。瑞菜の気持ちはよく分かるよ。でもあんまり詮索されてもそうとしか答えられないんだよな。オレと雪奈の関係って。
「なんていうかあれだ。雪奈はオレの実妹でもなければ義妹でもないけど……」
「けど……?」
「家族みたいなもんだから」
「ん〜と……恋人?」
「それは違うと思う」
「『思う』?……断言じゃないんだ」
だってこの間恋人ごっこなんて恥ずかしいことしたし。
「いや、うん。違う違う。……なぁ雪奈?」
「……そうですねぇ。俊行さんにとって私は単なる妹みたいなものですからねぇ」
……あの? ですから笑顔で凄んでるのはなんでですか?
「と、とりあえずあれだ。互いに自己紹介をしてくれ」
「やだ」
せ、雪奈さん? 何をそんなに意固地になってるのかな?
「ぁ、あの……とーくん? 私はちゃんと自己紹介するからね? だからそんな困った顔しないで」
残念ながら困ってるんじゃなくて怖がってるんだけどな。
「ふーん……自分だけいい子ですか」
『ピキッ』
あれ? なんか瑞菜の方からおかしな擬音が聞こえたような……。
「ねぇ……とーくん」
「な、なんだよ? 瑞菜」
「とーくんの妹さんさ、なんだか礼儀がダメだと思うんだ」
なぜだろう? 淡々と言われてるのに寒気がする。……いや、淡々と言われてるからか。
「そ、そうかな?」
「うん。そうだよ。だからやっぱり妹さんがしてくれるまで、私も自己紹介しないね」
……ふりだしに戻る。
「………………………………………………………………………………………」
「………………………………………………………………………………………」
むしろ状況悪化。
「あははー。面白い妹さんだね? とーくん」
「昔の人も面白いですよ」
状況説明。超修羅場。いや、怖いよ二人とも。顔は笑ってるのに目が笑ってないよ。というか、雪奈。いろいろと問題のある発言するな。なんだよ? 昔の人って。
「え〜と……互いに自己紹介する気は?」
「「ないもん(よ)」」
無駄な所で息そろえるな。
「あー、あれだ。もういい。オレがそれぞれ紹介すればいいか」
このまま二人に場を任せたら、さらに状況悪化するとしか思えない。
(……ていうか、なんでこの二人こんな怒ってんだろう?)
……まぁ、雪奈がなんで怒るかはなんとなく分かる。どこかのハイスペック野郎ほど、オレは鈍感じゃない。でも瑞菜は……。
(……まぁ、雪奈の態度に怒ってるだけかもな)
流石に十年来の幼馴染の心情までは分からない。
「とりあえず瑞菜の紹介からするから、雪奈。きちんと聞けよ?」
「むぅ……わかったよ。お兄ちゃん」
少しは落ち着いたかな?
「といっても、何を紹介すればいいんだ?」
「と、とりあえず名前を紹介してほしいかな。とーくんよろしく」
……それくらいしろよ。……とか思いながらオレは紹介し始めるのだった。
いかにもリア充にありそうな修羅場。
そう言えば昨日で一万pv超えてました。ランキング登録せず、1週間以内に超えたのはけっこう頑張ったのではと思ったり。これも連日更新の成果かと。……いえネタが尽きないから書いてるだけですけどね。