第六話⊿ー二次試験ー
俺とライトは二次試験会場へ向かって進んでいるところだだった
会場となる指定された教室までの通路はものすごい受験者の数でごった返していた
「師匠は筆記試験大丈夫なんですか?」
それはライトから放たれた思ってもみない発言だった
「ん?ああ、大丈夫だろう、俺たちはいわば裏口入学、名前さえ書いておけば何とかなるだろう」
まずい、まったく大丈夫などではない
ヴィレッドからは入学できるよう話は進めておいたからお前は試験を受けるだけでいいと言われていたが冷静になって考えてみればつまりはほかの受験者より有利なだけであって結果次第では落ちる可能性もある
そしてライトの口調から察するにおそらくライトはこの日のために相当努力をしているはずだ、こいつは昔から俺の足手まといにならないよう人一倍努力をする奴だから
「さすがッス、師匠、風格からほかの受験者と違います」
頼むからそんな恥ずかしいことをこの人だかりの中で大声で言わないでくれ
そうして弟子に恥をさらされながら歩いていくと試験会場に着いた、どうやら俺とライトは別の教室らしい
俺は指定された教室の指定された席に座り、筆記用具を取り出す
「…ちょっといいかしら」
ふいに隣から声がかかる、見ると燃え盛る炎のように赤い髪でそれと同じくらい真っ赤な顔をしている少女の姿があった
「筆箱、家に忘れてきちゃったのよ、だ、だからあなたのそれ私によこしなさい!」
すぐにわかった、こいつは馬鹿だ、普通試験に筆記用具を忘れるか?まあ、全く勉強していない俺が言うのもなんだが、そして、
「ものの頼みかたがなってないな、そんなんじゃ到底渡す気になれんな」
「くっ…平民の分際で、わ、私はリア・テレーゼ、由緒正しいテレーゼ家の長女よ、貴族の娘である私に向かってよく平民がそんな態度をとれるわね」
「ふん、話にならんな」
これ以上かまってられないので俺は机のほうに視線を戻す、リアと名乗った少女の反対側は壁だ、つまり彼女にとって俺は頼れる唯一の手段だったのだろう、ちなみに彼女の前後の生徒はものすごい形相で本とにらめっこしていてとても話せる空気ではない
「-それでは試験用紙を配布します不要なものはしまってくださいー」
試験監督と思われる中年の男性教師が声をあげる
少し気になって視線だけ隣に移すと今にも泣きそうな顔になっている先ほどのうざい女の姿が目に入る
はあ、とため息をつき俺はリアの机に手を伸ばし、必要最低限の筆記用具を机の上に置く
「え?これ、あんた…」
「受ける前からそんな絶望した顔をするな、次からはせめてお礼ぐらいはできるようになっておけ」
「ふ、ふんっ、言葉遣いがなってないようだけど役には立ったわ」
貸すんじゃなかった、少しでも同情してしまった俺が恥ずかしい
「そ、その、助かったわ、あ、ありがとう」
なんだ、ちゃんと言えるじゃないか
始め!とゆう試験監督の合図とともに俺はペンを持ち、試験用紙に手をかけた
最後まで読んでくれて感謝感謝です!いつも間にかブクマが7に増えていました本当にありがとうございます!