第四話⊿ーもう一つの顔ー
「廊下の外が騒がしいな」
理事長室と書かれた部屋の中に妙齢の一人の女性の姿があった
ローザ・ストリングス、彼女は元々は軍人だったが出産を機に退役し、今はクライス王国魔法学園の理事長を務めている
『理事長、アルスとライトをお連れしました』
「ああ、中に入ってくれ」
扉が開かれ、女性教師と二人の少年が目に入る
そして視線は自然と金色の瞳をした少年へと集中してしまう
―ほう、あれがヴィレッドが言ってた“息子”とかゆうやつか―
そんなことを考えているとその少年が胸に右手を添えてひざまずく
「ローザ大佐、この度は私共を快く受け入れてくださり感謝申し上げー」
「ああもう、大佐はやめろ、私は元大佐だ、そして今は理事長と呼べ、あと別にお前たちのことも快く受け入れてわけではない、あの堅物が珍しく頭を下げたので興味本位で特別に入学を有利にするといっただけでちゃんと試験は受けてもらう」
ローザが「堅苦しいから普通の態度にしろ」というと「わかりました」とアルスは立ち上がり足を肩幅に開き腕を後ろに組んだ休めの姿勢をとると隣にいたライトも続いて休めの姿勢をとる
ローザはそんなアルスの容姿を眺める
―ペストの眼か、生で見ると見とれてしまうほどの美しさだが、所有者が曲者だな―
ローザは目がいい、それは単純な視力ではなく相手の中を見るほうの眼、その眼にはライトは真っすぐいちずで真面目とゆうのが見えるのに対しアルスからはなにも感じられない、見事なポーカーフェイスだ
―つまらんな、あまりしたくなかったが旧友の頼みとはいえ得体のしれない化け物を預かるわけにはいかない、止むを得ないな―
ローザの視線と言葉はアルスへと向けれる
「さて、君は何者なのか教えてくれないか」
「なんのことでしょう、ああ、ペストの眼のことですか、まえは差別の対象でしたが今は違うでしょう」
アルスは自分の眼のことをやや自虐気味に語るがローザの聞きたかった言葉はそうじゃない
「私はペストの眼について聞きたいわけじゃない、まあ、多少は興味はあるが今は違う、さあ、一次試験と行こうじゃないか、『特異点』アルス・ヘスティア」
『特異点』とゆう言葉を聞いた瞬間アルスのポーカーフェイスが崩れ絶望の色に染まる
そしてあたりはとてつもない殺気が漂い始めた
―そうだよ、私はそっちの顔が見たかったんだ、ヴィレッドによって作られたキルリアとしての顔ではなく、迫害によって自らが戒めてきたヘスティアの顔が―
ローザはまるで魔女のように不敵な笑みを浮かべアルスを眺めていた
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