プロローグⅡ⊿ -ヴィレッド・キルリアー
一話から見てくださった方々、今回も安定の低クオリティーですがそこはご愛敬を、この話から見てくださる方々、どうか温かい目でご覧ください
「君の名前を教えてくれないか」
家族に捨てられ孤児院に入ってから二年ぐらいが経った頃、俺に一人の軍人の男が訪ねてきた
「あんた、誰?」
「私はヴィレッド・キルリア、見たとおり、ただの軍人だよ」
歳は三十代後半、その軍人の胸元の勲章の一つに身覚えのある物があった
貴族号、貴族出身の軍人が身に着けることが許されている勲章で、元軍人だった母が昔俺に見せてくれたことがあった
「…俺の名はアルスです、貴族のあんたが、捨て子の俺なんかになんの用ですか」
名前しか名乗らなかったのは、俺が捨て子だからだ、捨て子の俺に家の名を名乗る資格はない
だいぶ強気な発言をしたが、内心は今すぐ逃げ出したかった
相手は軍人である前に貴族だ、貴族が孤児院に出向いてすることなど一つしかない
無抵抗な子供を嬲り、泣き叫ぶ姿を見てストレスを発散することだ
「・・・」
ヴィレッドと名乗った軍人は無言で俺の前に歩み寄ってくる
「っ—―」
俺は覚悟を決め目をつぶり、唇を噛みしめる、赤い鮮血が出るほどに
孤児院内ですら迫害を受けてきた俺は、多少の暴力なら耐えることができるが、相手は大の大人で軍人だ、ひ弱な十歳の俺の体では何秒持つかわからない
だが俺に降り注いだのは暴力ではなく愛だった
「アルスか、いい名だ」
「え?」
「君に選択肢を与えよう、このままこの孤児院で差別を受け続けるか、それとも俺の養子になり、まっとうな人間として俺の元で働くか、さあ、どうする?」
ヴィレッドは床に片膝をつき俺の頭をなでながらやさしく微笑んだ
だが、俺の返答はきっと彼の求めていた返答ではなかっあであろう
「とても魅力的なご提案ですが、お断りさせていただきます、俺はあんたのことをよく知らないし、俺の眼は見ての通り『ペストの眼』です、きっとあんたに迷惑がかかる」
「いや、君はもうその目を隠す必要なんてない、シャルドンは消滅したのだから」
最期まで読んでくださりありがとうございます