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Day.4-20 雷鳴は轟き、破局を告げる

 やはりプレートアーマーだと歩きづらくていけない。

 俺は地下へと続く螺旋階段を慎重な足取りで降りているところだった。


 この螺旋階段は一体どこまで続いているのだろう。

 底には漆黒の闇がわだかまっている。松明の明かり程度ではとても届かないほど深く昏い。


 湿度が高くて苔むした石造りの階段を、随所に設置された燭台の弱弱しい明かりだけを頼りに下る。

 一応階段には手摺りがついてはいるが、この甲冑のままではそれを握ることも容易ではない。


「くそぉ……怖いよぉ」


 囁くように呟いたつもりだったが、意外とよく反響する。

 声を出したのは単に一人で心細かったからである。

 俺はこっちの世界に来てからあまり一人でウロウロしていない。だいたいイリヤさんと一緒だ。


 さて、この辺でなぜ俺がこんな薄暗く汚らしい場所にいるのかを説明しておかなくてはならない。

 ちなみにここはサンロメリア城地下に存在する牢獄である。

 察しの良い方はこれでお気づきになったであろう。そう、今日の俺の本来のお仕事の為である。


 城内に潜入、裏切り者を突き止めること、これが俺のミッションだ。

 ポルカの騒動があって有耶無耶になりそうだったけど、ここに何とか軌道修正できたわけだ。


 ポルカを倒した後、俺とイリヤさんは一度宿へ戻った。

 俺が女装したままでは城へ戻れないとイリヤさんが判断した為だ。

 しかしまぁそもそも、城から出撃する際にイリヤさんに背負われながら出現した女装の中年男子の姿は城の多くの兵に目撃されていると思うし、今更感は拭えない気もするが。


 で、何とイリヤさんがスペアのプレートアーマーを持っていた(なんで持ってるんだろこの人)のでそれを、今度こそは下に普段着を着たまま装着し城へ入ったのだ。


 宿に戻った時にシトリに夕食を作ってもらい腹ごしらえもバッチリだし、事前に追加で酒を一本飲んでおいたからアルコール・コーリングの精度も完璧だ。

 深酒という程には飲酒していないから足腰もまだ元気だし、コンディションはなかなかに良好であると言える。


 もうだいぶ夜も更けてしまった。

 そろそろ城内を下手に動き回ると目立ちすぎる時間だ。

 このアーマーで廊下を歩くとガシャンガシャン鳴ってすごくうるさいし。


「今日出来ることは限られている。

 まずはマリに会い話を聞いてみようと思うが、どうだ?」


 イリヤさんはそう言っていた。

 そして帝国側の人間である自分が行くと警戒させてしまうだろうからと、俺に一人で会いに行くように指示を出してきたのだった。


 でも俺、そこまでマリさんと親しいわけじゃないんだけどなぁ……。まぁマスキュラさんの知り合いという点を前面に出して何とか打ち解けるところから始めてみるかな。

 あれ、そういや今日マスキュラさんってどこで何してるんだろう?一度も顔を合せなかったな。


 地下牢へ降りる為には専用通路を通って、衛兵の認可をパスしないといけないらしい。

 イリヤさんは俺をそこへ連れて行った。衛兵は適当に誤魔化すつもりだったらしいが、何といざ現場に着くと誰もそこにはいなかったのである。


「おかしい……こんな不用心な事があっていいのか」


「変なんですか?」


「極悪人の収容所だぞ!?

 必ず最低一人はここに衛兵が立ってるはずなんだ」


「たまたま小用の為に離席しているとか?」


 生理現象ならば仕方がないだろう。我慢し続けていると膀胱炎になっちゃうしね。


「腑に落ちんな」


 イリヤさんは首を捻っていたが、とりあえず俺は難なく地下牢へと続く螺旋階段への潜入に成功したのだった。

 そして、現在へと至る。


 自分の足音から内部構造は把握している。このデカい井戸のような作りの地下牢は底に水が溜まっていて(臭気が凄いから多分腐ってるねこれ)螺旋階段に沿っていくつも横穴が掘られているようだ。

 そして横穴の一つ一つに複数の檻が設けられているらしい。


 問題はこの地下牢のどこにマリさんがいるか、だ。


 イリヤさん曰く、マリさんはやはり何も供述しなかったみたいだ。それで今夜、ここへ移されたということだ。

 ラガドの拷問が始まっていないといいのだが……。


 俺のガシャガシャとやかましい足音は、地下牢に囚われている者達にも聞こえているだろう。アルコール・コーリングのソナーが、人間の身じろぎする動きを捕まえ始める。


 音の反響によって、動いている人のだいたいの体格がわかる。

 地下牢には現在、それほど多くの気配はない。

 ソナーに引っ掛かってくる音の中で最もうるさくて不気味なのは、底に溜まった水の上を飛び交うハエの羽音だ。

 腐った水の中に何があるのか、考えたくもない。


 一つ、気になる動きをする者がいた。


 俺の足音に反応している者達の大半は、檻に取り付いて耳を澄ましたり、怯えて奥へ引っ込んだり、横になって寝息を立てていたりしている。


 一つだけ、ほとんど動かない気配があった。

 俺がそれに気付けたのは、その気配の主がたった一度だけ、溜め息をついたからだ。心底うんざりしたようなその気だるい吐息を、アルコール・コーリングは逃さなかった。


 声のトーンが高い。恐らく、これだろう。

 俺のいる場所から程近い横穴だ。


 いざ横穴に入ると、通路の左右に牢屋がいくつも並んでいる。

 ソナーが捕らえた気配は二つ。

 一つは横穴入り口に最も近い牢屋、もう一つはその並びの最奥にあった。


 マリさんは最奥の気配の方だろう。

 そちらへ行くためにはどうしてももう一人の前を通過しなくてはならない。出来れば誰にも見咎められなくないが、仕方ないか。どうせ兜に覆われた俺の顔を見ることは出来ないんだし。


 思いきって胸を張り歩く。

 そう、俺はこの城の兵士なんだ、何をこそこそする必要がある?


 手前の檻を通過する際に、ちらりと中を一瞥してみた。

 檻の中央で立ちすくみ、こちらをじっと凝視している小柄な男だ。


 はて、俺はどこかでこいつと会ったことがある気がする。このネズミっぽい顔、いかにもこそ泥やってそうな雰囲気……あぁ、思い出した!初日に俺の金を盗んだアイツか!


「おい、こそ泥界のエース、ポルハチさんよぉ!」


 ビクッと、名前を呼ばれた盗人が肩を震わせた。


「お、俺の番が来たっていうのかよぉ……」


 ポルハチはじりじりと後ずさった。何かに酷く怯えているようだ。


「お前ら……こんなことして、いいと思ってんのかよ!?

 罪人だからって、片っ端からこんな……」


 ポルハチは勘違いをしているようだ。俺は別にこいつをどうこうしようと言うのではない。だがこの怯え様……何かあるな。


 俺の金を盗んだ奴だ、ちょっとくらいからかってやってもバチは当たるまい。


「いや、今夜はお前の番だ。

 最期に言い残しておくことは?」


「ひいぃぃ!!

 金、金はいらねぇか!?

 隠し金庫があるんだ、たんまり金貨が入ってる!

 街を歩き慣れてねぇ旅人どもから盗んだんだぜ、へへっ。

 それを分けてやるから、な、いいだろ?」


 常習犯だな、しかも多分、一生反省しないタイプだ。

 まぁ、こいつがどうなろうと興味はないが、こいつが何に怯えているのかは知っておく必要がありそうだ。


 この地下牢に囚われている罪人の数が少ない訳は、ポルハチとのやり取りからだいたい推定できる。

 さっさと処刑されているんだろう。そして、おぞましいことだが、さっきの底溜まりに捨てられているんだろうな。


 死ぬのは怖いに決まっている。しかしこれは俺の勘でしか無いが、ポルハチの怯えている対象は死というよりも何か別の……。


「おいお前、一体何に怯えている?」


 いっそのこと、俺は直接訊いてみることにした。あまりここに長居も出来ないし。

 

「あ?お前……さては新人だな?」


 ポルハチはさっきまでの狼狽っぷりから一転、俺に疑り深い眼差しを投げかける。

 俺を値踏みしている。


「知らねぇのか、処刑人のこと」


「処刑人?」


「ほんとに知らねぇんだな、こいつは傑作だぜ!

 お前、城に配属されて何日めだ?

 脅かしやがって、けっ!」


「おい、処刑人とは誰だ?」


「ここにいる連中を片っ端から殺していくのが趣味の、最悪な奴さ。

 罪人の処刑なんて汚れ仕事を嬉々としてやれんのはアイツくらいだぜ。

 頭のネジがぶっ飛んでやがるんだよ。

 お前も気を付けることだな、アイツは機嫌を損ねたら部下の兵士でも容赦なく首をはねるらしいからな」


 処刑人、か。

 こっちの死刑制度は結構過激なんだな。


 ポルハチの怯え方からしてそいつは、いつもこのくらいの時間にやって来るのだろう。ならば俺も注意を払わなくてはな。鉢合わせしたら、面倒だ。


 もうポルハチには用はない。最奥の牢へ向かおうとした。


「おい待てよ、このポルハチ様が親切に教えてやったんだ、感謝の言葉の一つくらいはあってもいいだろ」


「ならお前は金を盗った奴らに謝罪したか?」


「あ?」


「感謝なんかしてもらえると思うな」


 盗みが手癖になっているような奴に、誰がそんな言葉を言うかっての!


「きひひっ、言うじゃねぇか。

 けどお前だって、これからあっちへ行こうってんだろ?

 あの女を“使う”為にな」


「……何?」


「何の罪で捕まったか知らねぇが、可哀想になぁ。

 お前も味見しに来たんじゃねぇのか?」


 何を言っている?

 使う、だと?

 味見、だと!?


「あの人はいつ、ここへ送られてきた?」

 

「ほんの数時間前よ、多分な。

 時計がねぇから正確な時間なんざわからねぇよ」 


 数時間前……。


 俺は血の気が引いていくのを感じた。

 そこからはもうポルハチの声は聞こえなかった。いや、聞こえてはいたのだろうが、脳がその情報を処理するのを拒んだ。


 慌てて、奥の牢へ。

 嫌な予感が……あぁ、予感なんて生易しいもんじゃない!


「終わったら俺にその女の“具合”がどうだったか教えてくれよぉー!」


 下卑(げび)た笑い声を閉ざしながら俺は慣れないアーマーで走る。兜から覗く視界はすこぶる狭い。うざったくなって、兜を乱暴に外した。


 その牢屋へ、辿り着いた。

 目線をやるのが、怖い。


 アルコール・コーリングが、脳へ直接イメージを送り込んでくる。じっと、見られている。


 俺は高鳴る鼓動をなんとか抑えながら、首を回した。


 やはりその牢にマリさんは、いた。

 無惨な、姿で。


 艶やかな赤の襦袢がボロボロに切り裂かれ引きちぎられ、その下の肌が露出している。頼りない通路の灯りの中で、マリさんは皮膚に生じた無数の傷口から出血しているのがわかった。


 更には、両手足をだらりと投げ出して壁にもたれ掛かっているマリさんの、両手首と両足首に深い裂傷が見て取れた。

 (けん)を、断ち切られている。あれでは最早……ここから出れたとしても今後一切、まともな日常生活は送れまい。


 虚ろな目で、マリさんは俺を眺めている。果たして俺のことに気がついているのか。


 こんな……酷すぎる拷問を……。

 しかも最悪なことに、数時間前と言えばちょうどポルカと戦っていた頃だ。

 あの場から城へ直行していれば、まだマリさんを救えたんだ!

 俺が、だらだらしてさえいなければ!


「ねぇ、何をじーっと見てるんだい?」


 気だるそうにマリさんが言った。痛みは、それほどでも無さそうだ。苦痛に顔を歪めたりもしていない。この拷問を受けてから少しは時間が経ったか。


 こんな姿のマリさんに対して、俺が何を話せばいい?

 尋問なんか、出来るわけがない。


 マリさんの人生は……あの男が、ラガドが壊したんだ!


「てかあんた、どっかで見たと思ったら、お店のお客さんじゃないか。

 城勤めだったのかい?」


「……マリさん」


「ん?」


「あなたをここから、連れ出します」


 俺は言った。

 方法を用意していたわけじゃないし、檻の鍵を持っているわけでもない。

 だがそれは、何とかする。

 何としても、この人を生きてここから外へ。


「はっ、何を言い出すのかと思えば。

 ……殺されるよ、あんた」


「ラガドにですか?

 それとも処刑人ですか?」


「どっちか、だよ。

 てかあんた、何者?」


「今は言えません。

 でも、きっとあなたの敵ではないと思います。

 ラガドの尋問に対して証言を拒否されているそうですね?」


「よく知ってるねぇ、事情通かい?」


「本当のところを、教えてください。

 あなたはあの日、どういう役回りだったのか。

 何を知っていて、何を隠しているのか」


「……」


 こんなストレートに訊いたところで、答えが返ってくるはずがない。だってこの人は、これほど苛烈な拷問でさえ口を割らなかった。

 

 俺は、マリさんは悪人ではないと思っている。いや、そう思いたいだけなのかもしれない。

 しかし、俺は自分の直感を信じてマリさんを救うことにする。そう決めた。


 こんな非人道的な拷問を平気で行えるやつなんかに、国が守れるものか。

 ラガド……俺は許さん。


 アルコール・コーリングだ。

 どこかに通気口などは?

 マリさんの部屋の真上に、秘密の通り道があったりしないか。


 無い。

 

 ならば壁や天井の脆くなっている部分は?


 見当たらない。


 ホマスを確認する。


 圏外。


 イリヤさんとの通信は期待できない。

 地下牢へとつながる扉は遮音性が高く、ここからアルコール・コーリングで外を確認することもできない。


 鍵の置き場がわかれば……。

 あるいは鍵を持っている人物だ。


 探しに戻るか。

 

 いや……。


 ギィ。


 扉は向こうから、開かれた。

 誰かが、入ってきた。


 その音はわざわざスキルで確認するまでもなく地下牢の全ての部屋にまで届いた。


 マリさんと顔を見合わせる。


「あんた、さっさと隠れな」


 声のトーンを落として、マリさんが言う。

 とは言っても、隠れる場所もない。


 この際、仕方がない。

 演技でうまく乗り切るか。


「マリさん、死んだフリで行きましょう」


「はぁ!?」


「俺が慌てたフリをしますから、ぐったりして死んでいるように演技してください」


「……大丈夫なのかい、そんなんで」


「まぁまぁ、他に手もありませんし」


「あー、まぁいいよ、それで」


「じゃ、お願いしますね」


 ささやき声で、打ち合わせが終わった。

 俺は兜を被り直す。


 そしてアルコール・コーリング。

 螺旋階段を下りてくる者を探る。

 体格は俺とそんなに変わらない。

 男性だ、イリヤさんではない。


 守衛の見回り、か?


 ポルハチの牢の前まで戻る。


「おい、女と何をこそこそ話してやがった?

 イッパツいくらの相談かい?」


「黙ってろ、コソ泥」


 背筋を伸ばし、さもここにいるのが当然のように胸を張って螺旋階段を上る。

 上から来る、俺と同じくプレートアーマーの兵士。

 大丈夫だ、腰に細身の剣を有しているが、鞘に手もかけていない。

 俺は、警戒されていないとわかる。


「すいませーん」


 気さくな感じで声をかけてみる。

 兵士はチラリと俺を見たがそれだけでほぼ無反応。


 もう少し近づくか。


「ちょっと来てほしいんですけど」


 兵士は俺と目線を合わせようともせず、決然とした足取りで下りてくる。


「ねえねぇ、下の牢屋で」


 俺はすれ違いざま、兵士の肩を叩こうとして、止めた。

 挨拶も何もなく兵士は俺をやり過ごした。


 兜を着けていると確かに音がこもって聞こえにくいが、この距離なら絶対にわかるはずだ。

 あえて、無視を決め込んでいる。


 シュルッ。


 音が、した。

 粘液質の、音。

 軟体動物のような……。


 兵士の兜の中から。


「……何っ?」


 おかしい。

 何か、おかしい。


 兵士は横穴へ入った。マリさんのいる場所だ。

 ポルハチの前を通過し、奥へ。

 ということは目当ての場所は一つしかない。


 何なんだ?


 俺は後をついていく。

 もしや、マリさんにまた拷問をするつもりでは?ラガドの指示によるものか。


 いや、それよりも、だ。

 あの音は何だったんだ。


 そうだ!


 アルコール・コーリング。

 イリヤさんへ、聴覚を飛ばす。


 今、どこにいるんだろう?


 雨音が、聴こえてくる。

 建物同士を繋ぐ外廊下のような場所だ。

 中庭があって、その周りを取り囲むようにして渡り廊下が走っている。


 横なぶりの雨。

 いつの間にこんなに……。


「貴様らは一体、何者だ?」


 イリヤさんの声がする。


 対峙するのは二人の兵士。

 兜の隙間から、まるでタコかイカのような触手が複数本、飛び出している。

 それらはにゅるにゅるとさかんに動き回っている。

 生理的嫌悪感を喚起するその、姿。


 イリヤさんの足下に、切り落とされた触手の先端が落ちている。そいつもまだ、動いていた。


 今すれ違った兵士はもしや……これの仲間か!?


 マリさんが、危ない!!


 急いで階段を下りる。

 兵士は既に、マリさんの檻に鍵を差し込んでいる。

 

「ちょ、ちょっとそれ、待った!!」


 当然、無反応。

 始めから、マリさん狙いか!?

 

 チッ!!


 走っちゃいるが、うまく走れない。

 これだけの重装備だと足もうまく上がらない。

 気持ちだけが空回りしている状態だ。早く、早く!


 檻が開く。


 兵士が中へ入ろうと、


「どきなっ!」


 その体を押し退けるようにしてマリさんが、飛び出してきた。


 いや、有り得ない!!

 あんな重傷で、しかも手も足も腱が切られていたじゃあないか!!


「マリさん!!」


 俺に向かって、マリさんが走る。

 兵士が、振り向いた。


 俺のアルコール・コーリングは、聴いた。

 兵士の兜の目出し穴の隙間から、3本の触手が伸ばされるその音を。


 俺は叫んで、手を。

 マリさんが、駆けてくる。

 

 胸を、


 ズシュッオッ!!


 獰猛な触手が貫通した。


 鮮血が俺の鎧を真っ赤に染め上げた。


 マリさんは目を見開き、口から大量の泡立つ血液を吐き出した。



 遠くの空で雷鳴が轟き、ホマスが午前0時を告げた。

 恐るべき狂気に彩られた夜が、5日目が始まった……。


 

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