Day.1-3 異文化コミュニケーション
「ほんとすいません」
ひたすら謝った。趣味で全裸になっていたのではないことを何度も説明した。見せ付けちゃったのも謝った。だが女剣士は怪訝な表情を浮かべているだけだった。
表情といえば、面と向かって話しているので女剣士の顔立ちがしっかりと確認できる。透き通るような白い肌にプラチナブロンドの髪が映える美人だ。目も透明度の高い青で、この暗がりのなかでは月光を含んで濡れたように光っている。
異世界転移でここへやってきたというありのままの説明をしては見たものの……
「ただの変態では無いのか?」
信じてもらえるわけもなく。だが有り難いことに、女剣士は俺に自分が羽織ってきた外套を貸してくれた。すぐさま羽織って、俺は一息ついた。
「ところでお前、名は?」
女剣士が訊く。
「酒井雄大と言います!」
瞬間、俺の喉元に剣が突きつけられた。
顎の下、数ミリのところに白銀のいかにもよく斬れそうな剣が。
「サクゥイ・ユダーイ?
笑えない冗談だな」
女剣士の眉間の皺が深くなった。なんだかすごく嫌な顔をされている気がする……。
あ、嫌な顔というよりこれ、殺気だ。
「この私に向かって、よくそのような言葉を吐けたものだな?え?」
「えっ!?
いや、本名!本名なんですけど!
一体全体これはどういうことなんですか!?」
「本当に、ほ・ん・と・う・に、その名なんだな?」
「はっ、はひぃ!!
そうです、変態でごめんなさい!!
まだ死にたくありません!!
美少女と映画館デートや水族館デートもしてないうちからあの世逝きは勘弁してくださいぃ!!」
「……まぁいい。
嘘をついているようには見えない」
女剣士は言って剣を下げた。
ひ、酷い目にあった……。
「お、お姉さんのお名前は?」
変な汗をかきながら俺はなんとか場の空気を変えようと、質問してみた。
「イリヤ・ブラッド・レーヴァテインだ」
おお!メチャクチャ格好いい名前だなおい!あとスタイルもすごくいい。出るとこがしっかり出てへこむところはちゃんとへこんでいる。世の女子達が皆憧れるような体型だ。
「じろじろ見るな、不躾な!弁えろ!変態!」
「はっ!すいません!」
おっといけねぇ、じろじろ見てしまっていたか。だがこれで見ないというほうが変である。男からすれば理想的な肉体と美貌、それに加えてこの強さ。天は二物を与えないというが、こっちの天はこの人にいろいろと与えすぎたみたいだ。俺に与えられた贅肉と交換してくれ!
いや、そういえば俺の体も変だぞ。なんか妙に軽い。視線を下へ。腹が……腹が出ていない!!
「ハラショー!!」
嘘!?分厚い脂肪層が、無くなっている。しかもうっすらとシックスパックが見えちゃってるじゃないの!?なんというささやかな、神からのサービス!!
ということはもしや、顔は、顔はどうなっているのだ!?
イケメン!
イケメンに違いない!
イケメンの雰囲気がする!
イケメン特有のにおいが、俺から発散されている気がする!!
「あの、鏡とかお持ちじゃありませんか?」
「鏡?あぁ、ほら」
「貸してください、グフフ……ありがとうございますって全然イケメンじゃねえぇぇぇぇぇ!!!
そのまま……そのまんま過ぎるよ。
ちょっとだけ頬のあたりがすっきりしてる気がするけどほとんどそのままだよぉ……」
「おい」
「グスン……はい?」
「隠せ」
2019.7.29追記
イリヤの素敵すぎるイラストが届きましたので掲載致します。
凛々しくも美しい女剣士を描いて頂いたのは、津南優希 様です!
僕が惚れ込んで無理言って書いてもらいました!
本当にありがとうございます!