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ゴミはゴミ袋に?

ピーッピーッピーッ………


カラスやすずめの鳴き声に混ざって聞こえる機械音が、脳内に響く。


ガラガラガラッ…

カサカサカサカサッ…

「よいしょっと!」

何かをつかみ、軽やかな掛け声とともになにか投げている。

声の主は中年のおっさ……男性の様なもの。

明るさや、作業に対して快くこなす様な声色。


「なんだこりゃ、やけに重いな。中身見とくか…」


うっすらと、意識が覚醒し始めた自分は何が起こっているのか、どうしてこんなところにいるのかを考えること0.2秒……

頭を突き抜けるような全身の痛みに、声が漏れる。

「っ!!!」

「おいおい?人は勘弁してくれよ。って、にぃちゃんじゃねぇーか!何やってんだ?」

どこか聞き覚えのある声だと思ったらゴミ収集車のおっさんだった…

いつもゴミ出しの日ギリギリに持っていくことが多く、顔を覚えられているようだった。

「ここは、どこだ?なんで袋に入ってここで寝てんだ?」

はっきりと意識が戻り周りを見ながら(袋越し)発言する。

「聞きたいのはこっちだ。よりによってにぃちゃんが入ってんだからな(笑)」


よく見れば、自分の入っていたのはゴミ袋のなかで、収集場所にほりこまれていた。

「なっ!?へっ!?とりあえずおっさん降ろして?袋開けて?」

「気色悪いな。ゴミ袋のなかで、しゃべんなや。ほらよっと」

袋が開けられると同時に外の空気が入ってくる……

「くっさっ!!」

「それを集めてまわるものの前でいうかね?」

呆れたように、マスクを外しながらこちらに向き直る。

「イテテッ、あちこち痛いんだけど。知らない、ですよねー」

「また、嬢ちゃんと喧嘩でもしたのか?相変わらず懲りないねぇー」

「ハハハッ……」

苦笑しながら自分の体を確認する。

あざなし!骨折なし!出血なぁーしっ!

一人で無言でベタベタ体のあちこちを触る…「………」

視線を感じ、振り向くと冷たい視線を送り続けていた。

「にぃちゃん。いいたかないけど、年頃の男がパンツいっちょで頭から血流しながら、それはイタイぞ?」

………

暫くの沈黙の後。

「にゃっろ!また、脱がして外に出しやがったのかっ!」

喧嘩後全裸に近い状況でよく出されていることが多い………

ほぼ、それだ。

「仲いいんだか悪いんだか……

そこどいてくれねぇーと、仕事にならんのだが?」

「あぁ、スイマセン」

とりあえず収集場所の小屋の様なものから身を出すと、朝日が目を焼かんばかりに照りつけていた。

もう時期秋になる。

最近の朝は肌寒い。

そこに全裸に近い状況で外に、袋に入れて暗がりに出せば下手すりゃ凍死する……

(まじで、容赦ねぇー…)


「にぃちゃん!寒いなら手伝え!少しは温かくなる!」

「へーい…」

体のあちこちはいつの間にか消えてしまい。

今は元通りになっている。

頭の出血もとっくに止まっているらしかった。


「ふーっ。いつもあんがとなにぃちゃん!」

そう言い残し、颯爽と運転席に戻っていき、次の収集場所へと向かっていった………


「さてと。戻るか」

パンツいっちょで家へと向かい始める事にし、人目がないかだけ気にする。

いつも外に出されていながら今更感もあるがそこは年相応の羞恥心ってのがあるから仕方ない。


家は収集場所から近く視界の端には見えている。

日本中のどこにでもある二階建ての4LDKぐらいの一軒家。

玄関先の標識にはちゃんと苗字がかいてある。


玄関を開けようとすると何の抵抗も無く開いた…

「鍵いつも開いてるよな。危ないなぁー」

そんなことを言いながら、風呂に入るため脱衣所へ向かう。

シャワーだけにし、着替えがリビングにおいてあった。俺が昨日たたんだのが置きっぱなしであったのでそこから引っ張り出し、着替えを済ます。


自分の部屋へと向かう途中、点々と階段に血が落ちてが気にしない。俺のだし。


ガチャ!

部屋を開ける昨日の壁やら窓が悲惨なことになっていたが、そこには無数の木材を適当に打ち付けられていた。

電気をつけ、部屋を見回すと入口真横で身を寄せ合うように2人の姿があった。

その部分だけモノクロが似合うと思ったのは、2人が、疲れ果てた顔のうえ白目を向いていたからである。

そんなふたりに俺はベッド上の布団を、ガラスの破片やホコリなどを気にしながらはらいかけてやった………

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