ルークの心後編~三章へのプロローグ~
休載中ですが、キリが悪いので、これだけ載せることにしました。
再開までは、もうしばらくお待ちください。
最近、ムッツリとの距離が近くなってきた気がする。
理由は――というかこの気持ちに理由なんていらないんだけど――主に行為のことが大きい。この二日間で、ムッツリの頬をなめたり、ムッツリと同じベッドで一夜を過ごしたり……。そのたびにボクの心がドクドクと波打って、興奮を抑えられなくなってしまう。話せなくなるわけではない。もともとは、ただ単にボクのかわいさに微笑んでくれたことから始まったわけで、そこから、だんだんと仲良くなっていったから、この気持ちに気づいたところで、接し方は変わらないのだ。
しかし、この二日間、ムッツリと会うことはできていない。
少し早く起きてしまったので、まだ外は薄暗い……というよりかは暗い。こんな時はいろんなことを考えるのを日課にしている。
もし、ムッツリがボクのことを好きでいてくれているなら、向こうの方から会いに来てくれるはずだ。なのに来ないということは、なにかしらボクの方に原因があるということかもしれない。
「やはり、あのおしりぺんぺんが悪かったのか……」
思い当たる節はあるが、それが決定的な証拠というわけではない。しかし、ボクはどちらかというと『セメ』のはずだ。それに対して、おしりぺんぺんをされている姿は、まさに『ウケ』そのもの。これでは、ムッツリがボクに興奮を覚えないのも当然かもしれない。これからはもっと攻めていかないといけないな。
たとえば……僕がムッツリのおしりをぺんぺん、いや、パンパンしたら……って駄目だ! それはもう最終段階に近いな……。もっとソフトな『セメ』を考えよう。
そうだな……。買い物に二人で行って――
そんな感じで、いろいろなことを考えていると、外が次第に明るくなってきた。そろそろ食事へと向かわなければいけない。扉を開け、階段を上り、二階へと向かう。
「なぁ……聞いたか? あのニホン人、明日に旅立つってよ」
えっ?
今、なんて言った?
部屋の中からだから、音の大きさは小さかったが、ボクは声をしっかりと聞いた。
いや、聞いてしまった。
「そうかー。さみしくなるな」
「もう少し芸をやってほしかったけど、まあ、あちらも暇ってわけじゃないみたいだしな」
「ならしょうがないな」
主は、ジョン兄さんとハッサルさんだと思う。二人とも声のトーンが低くなっていて、悲しそうだった。
――というかそんなことはどうでもよかった。
ボクの足は、もうすでに自分の部屋へと向かっていた。
裏切り。
願望。
焦り。
後悔。
ボクの心の中がさまざまな流れによってかき乱されていく。これまでに味わったことのないような感覚。好きとか嫌いとかじゃなくて、もっと重要な何かが失われてしまうような感覚。
その感覚に耐えられなくなり、ベットに倒れこんだ。
寝転んでいる間にも、いろいろな感情が浮かんでは消え、流れては止まる。
「……やっぱり嫌だよ」
考えて、考えて、考えた。
そして、その心は、ある一つの考えにたどり着く。
――『決意』へと。
次、三章です。
話も少し真髄に近づいていきますのでお楽しみに。