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Chapter2.5 ストレンジ・トラップ+おまけ。

「フルーツバスケット編」の後の出来事。最後は少し深夜テンション入ってます。ギリギリアウト。

「あ〜あ。もう笑い疲れたわ」


 うっさいわ。

 こっちは痛いんじゃ。痛疲れたんじゃ。

 なんだよ『日本の人』『二ホンの人』『にほんのひと』って。そんなの日本でやっとけっつの。そしたら一億人が自分の椅子求めて山村交えて荒れ狂うわ。そして唯一座れなかった一人の日本人は晴れて地獄行き……やばい、面白そう。『逃●中』ならぬ『フルーツバスケット中』でどうだろうかはい名前が長すぎて無理ですね。

 とにかく、もうフルーツバスケットなる遊びはやりたくありません。あんなの、小学校の総合の時間、もしくはお別れパーティーの時だけで十分です。ちなみに、そこでは高確率で『日本の人』=『フルーツバスケット』です。なにこれどうでもいい。


 ――というわけで(どんなわけだ)僕たちは昼食を食べ終え、部屋に戻ってきている。言ったら、ここから自由時間だ。ルークが来たりしない限りは平穏な時間を過ごせる。ルークが来た場合は……おそらくルータスさんも来る。

 昨日はこの時点で三人ともベットに飛び乗りぐーすかぴーだったのだが、果たして今日は何をするのか。

「笑い疲れたからもう寝るわ。お休みなさい」

 身構えていたところ、久子がそんなことを言って昨日のようにベットに寝転んだ。はいはい。どんだけ笑いつかれたことをアピールしたいんですかねあなたは。必要ない必要ない。僕が笑える人だということを遠まわしに言わなくてもいい。

 ……。

 少しの静寂。

 しかし、次に聞こえた言葉は、ローランの一言だった。


「『にほんのひと』……ぷっ」

「ろぉぉぉぉらぁぁぁん! それはもう終わりだよぅ〜」

 ほらこういう風にローランに悪影響を与えるじゃないかよ! くそ。地球に帰ったら仕返ししてやる! 家近そうだしな!

 今頃久子も笑いをこらえているところだろう。

「…………」

 あれ。何も聞こえない。

「……すぅ……すぅ」

 というか寝息が聞こえる。


 え? あの久子が、僕とローランを残して寝る?

 もしかして、僕とローランは今この時点で二人きりの状態?


 フッフッフ。これは、パーティータイムの始まりだ。


 いや、まだ安心してはいけない。

 そう、今までの僕の経験が自分の心を抑制している。これが罠だということも、十分にあり得ることなのだ。いや、逆に、百パーセント罠だといってもいいのかもしれない。

 仮に、ここで僕がローランをすりすりなでなでぺろぺろしたとする。すると、寝たふりをしていた久子がぱっと起き上がり、逃げられない僕から『弱み』という、これからも様々な場面で活用されていくであろう便利グッズを奪うのだ。フルーツバスケットで散々痛めつけた挙句にこんなハニートラップまで仕掛けるとは、どんだけSなんだあなたは。


 ――だがしかし。

 だがしかし、今回に限っては、僕にも作戦というものがある。

 大体、寝たふりというものは、ばれにくい反面、怪しまれたが最後、ひどい仕打ちに合うというのは自明の理だ。コショコショなんかが代表例。ひとたび息が乱れれば、瞬時にウソがばれる。

 フハハハハ! 残念だったな怪盗メガネ。僕が穴があったらすぐに入るような哀れな人間だと思ったのが運のつきだ。今までの恨み、晴らしておしまい!


 え? なら、どうやって寝たふりを確認するのかって?

 そんなの、コショコショに……決まっているとしたら、結構久子の体をもてあそばなければいけないな……。い、いや、決して恥ずかしいとかそんなんじゃなくて、まあ、その、触ると罰が当たるというか……まあ、どうでもいい。とにかくこれはなし。それよりもいい方法があるのだ!

 よし。やるか。


「よし、じゃあローラン。僕の膝に座ろうか」


 どうだぁぁぁ!

 これぞ、『不審者発言攻撃ストレンジ・トラップ!』このアブないワード攻撃により、久子の体の反応を監視。少しでも彼女の体が動いたが最後、僕の容赦ない糾弾が始まるのだ!

 さてさて、どうだ?

「……すぅ……」

 だめか。

 45点久子は、同じように眠っていた。

 

 ……フッフッフ。しかしあなどるでないぞ地味っ子メガネめ。これには、もう一つの利点があるんだよ。

「わかった」

 ほらほら来ました。純粋な幼女が。

 ローランはそういって、僕の胡坐の上に座った。

 そう! これこそが僕の本当の狙い! そして、これこそがストレンジ・トラップの本当の目的! 久子の嘘を見抜くことができ、そして、僕も快感を得られる。フハハハハ! 我は頭がさえているなぁ。

 ああ、シアワセダ……。

 僕の下半身全体に伝わってくる幼女の柔らかさ。そして、眼前に迫るはきらびやかな金髪。ローブはきれいになっているので、清潔感もマッチ。いや、むしろ汚い方がローランというものをもっと感じられる気がするのでありだが。


 さてさて。僕のストレンジトラップはまだまだ続くぜ〜。


「よしよし。いい子だね〜ローラン。じゃあ、僕の方に向き直って」

「……んん〜……すぅ」

「じゃあ、ぺろぺろするよ。……ぺろぺろ。ぺろぺろ。んー! とってもおいしくて、僕は我を見失いそうだ」

「…………」

「ああ! いいよローラン! そのまま! そのまま!」

「……すぅ……すう……」


 ……というか、ここで一つ思うことというか、言っておきたいことが出てきた。

 いや、久子が寝ている可能性がほぼ百パーセントということはもちろんなんだけど、僕が言いたいことは、そういうことじゃない。


 要するに、僕は臆病な人間だということだ。

 いや、あるいは僕は常識的な人間だったということかもしれない。


 というのも、僕は実際にローランを膝に座らせはしたものの、ぺろぺろまではしていない。ただ、脳内で想像しながら、快感に浸っていただけなのである。

 かといって、僕は最初から想像をしようとするようなひ弱な人間ではない。しっかりと、ローランのほっぺ辺りをぺろぺろする予定ではあったのだ。その柔らかな感触を、舌という敏感な部位で感じたかったのだ。

 だが、できなかった。

 

 その、純粋な瞳に見つめられたせいで。


 ローランが向き直った時、僕の目に飛び込んできたのは、なにも恐れないまっすぐな瞳。これを見た瞬間、僕は悟ったのだ。『この子の記憶を汚してはいけない』と。この子にとって、自分のほほを他人の舌が這いずり回るという経験は、一生の恐怖を植え付けさせるのではないか、と。


「むっつり、どうしたの?」

 僕の目の前のローランが、少し心配そうな声を漏らす。

 あはは。僕はなんてバカだったんだ。

 久子が起きていることを確認するという立派な名目を、自分自身で無理やり納得させ、そして自分の愚行に正当性を持たせるなんて、愚かな人間のやることじゃないか。僕はなんてバカだったんだ。

 そう、久子が起きているとか起きていないとか関係なく、僕は紳士的にローランと遊ぶべきだった。にもかかわらず、ただ、無駄な発言だけをしてしまった。これじゃあ、ただの喋り損だ……ってあれ?


 よく考えたら、僕ってかなり危なくね?


 想像してみてほしい。久子が僕の攻撃を我慢して起きていた→→「僕の膝に座ろうか」&ローランぺろぺろ発言。しかしぺろぺろはしていない。→→久子は目を閉じている……。

 

 うわああああああああああああ! やってしまったああああああああああああ!

 

 どうしたセカイの救世主田中卓郎! われはこんなにもバカな人間だったのかぁぁぁぁ!

 これはもう、久子が起きていないことにかけるしかないっ! それしか、ない……それ……しか……。


「むっつり、だいじょうぶ?」


 ――ああ、神よ。

 こんな私にも、いつもと変わらぬ眼差しを向けてくださる神よ。

 大げさだけど、こう思わざるを得なかった。

 混乱していた心が、ゆっくりと、ゆっくりと落ち着いていくのが感じられた。



「うん。大丈夫。……そうだ、ローラン。何かして遊ばない?」



 やっと、この言葉が出てきてくれた。

 僕が、真っ先に言うべきだった、この言葉が。

「じゃあ、じゃんけんがしたい」

 そして、ローランも笑顔でこう返してくれた。




 きっと、世界にはロリコンがいないといえば、嘘になる。誰しも、その純粋なまなざしを見ればかわいいと思うだろうし、恋愛対象になる場合もあるかもしれない。だから、本能に逆らえず犯罪をしてしまう人だっている。

 しかし、やっぱり一緒に遊ぶのが一番楽しい。

 こうやって、いつ終わるかわからないじゃんけんをやり続ける方が、ぺろぺろするよりよっぽど楽しい。


 そう、僕は思ったのサ――。

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


〈ムッツリの謝罪会見〉


「ええ〜。皆さん。中にはお気づきの方もいらっしゃるでしょうが、僕、田中卓郎は、この時に紳士的なロリコン発言をしたにもかかわらず、11「ここは天国か?」において、全くその精神に反する行為をしましたことを、ここに深く謝罪します」

 パシャパシャ!

 パシャパシャパシャ!

 記者「どうしてその行為に踏み切ろうと思ったのですか?」


「はい。それは、文章にもあります通り、寝ているローランの無防備な表情を見て、ムラっときたのもありますし、なんせ寝てましたから起きているときのようなあの眼差しをみることもなかったですし……」


傍観者A「この、人でなし!」

傍観者B「僕たちのローランに傷をつけるな!」

傍観者C「地獄へ行けよ!」


「うわあああああああああああーあーあーあーあー!」


傍観者「…………」


「日本のォォォォォォォ! 少子高齢化社会ではァァァァァァ! 子供の数が減少シィィィィィィィィ! 子供との触れ合いが、あーあーあーあーあー―――! 減少していますゥゥゥゥゥゥ! そんな中ァ! やっとローランの隣をゲットしたんデス! ローランとォォォォォォォ! キスガァァァァぁしたい! 君たちにはわからないでしょうねぇ! 僕のローランを愛する気持ちなんて! あの眼差しはァァァァァァァァァ! 確かに効きましたあーあ―――あ――――! しかし! やっぱり本能にはぁ! あらがえないんですううううう!」


記者「では、これは愚かな欲望による行為だったわけですね?」


「……?(みみをふさぐ)」


記者「では、これは愚かな欲望による行為だったわけですね? 何度言わせるんですか」


「…………はい」


記者「聞こえてましたよね? もういいです。最後に何かありますか?」




「……感情的になり、誠に申し訳ございませんでした」






流石にこれはまずいか?

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