表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
30/54

1 朝のベロ

この章も楽しんで書いていきたいと思います。


☆2章の5話の後に、久子と卓郎のキャラ紹介を追加しました。3/17

期待せずにご覧ください。

 ちゅん。

 ちゅんちゅん。


「ん……」

 あれ? 僕は寝ていたのかな?

 確か、久子とベットで格闘した後、これから五日間ここに滞在……とか何とか言って、それから……なんだったっけ。忘れた。

 何このデジャヴ。


「……んん〜」

 声のする方に体を転がすと、むずむず体を動かしている久子がいた。起きそう、ということか。


 ちなみに、メガネしてない。


 ……なんかいるよね。普段メガネで地味に見えるのに、外した途端超絶美少女になるやつ。アニメとかでは、そのギャップが萌えの対象になるんだろうけど。

 よく考えてみれば、久子のメガネ無しを普段あまり意識してなかった。というか見てなかった。じゃあ、いつ見るの?――

 …………。

 んん〜。では、今回のメガネなし久子の得点を発表します。

 ダララララララララララララ……ダン!


「よんじゅーごてん!」


「ダマラッシャァァァァーイ!」

「あべば!?」


 ひさこの ローリングウラケン!

 こうかは ばつぐんだ!

 たくろうは めのまえが まっくらになった!


「……何が、四十五点ですって?」

 寝起き特有のどすの利いたかすれ声。めっちゃ怖い。

「ひ、ひりまへん」

「あらそう……。じゃあ、メガネをかけて五十点にしてあげます」

「なにぃ!」

 なぜそれを!

「……メガネ付けた方がいいってのは、私も理解してるわよ。余計なこと言うな」

「も、申し訳ございません」


 これは がちで いっちゃいけないやつ の ようだ!


 コンコン。

「あ! 誰か来たのかな〜ごはんかな〜。ルンルン〜」

 ちょうどいい。雰囲気を変えよう。大食いの久子なら、きっとご飯のことで機嫌を直してくれるはず――


「みんな! おっはよー!」

「え? ルーク?」

 しかし、扉を開けたのはほかでもない、ルークだった。片手をあげて、意気揚々に挨拶をしている。相変らず子供っぽい。

「おお! 誰かと思えばムッツリか! 今日も元気そうで何よりだ!」

「いや……元気というわけでは」

 くらったばっかだし。そんなハイテンションで言われても困る。


「ん? どうした――あ! 鼻から血が出てるぞ!」

 あーやっぱり出てましたか?僕ももしやとは思っていたけど。


「ボクがなめてあげようか?」


「いらない――ってぎゃああああ!?」

 突然迫るベロ。


「ほら、どうしたんだよ♪なめてあげるって」

「ぎゃああああ! ぎゃああああ!」

 逃げようとするが、肩をがっしりとホールドされて、顔をそむけることしかできない。

 なんだよコイツ! ついに勝手に襲ってくるようになりやがった!

「助けて! 助けて!」

 必死の抵抗で振り向いて助けを呼ぶも、ニヤリ久子とぐっすりローランしかいない。というかローラン起きろや! こんなに叫んでんのに!

「ぺろぺろ」

「ぎゃああああ!?」

 頬に生ぬるい感触。もうダメ!ダメよ〜――

 …………。


「おい! ボケルーク!」


「……ハッ! 僕はいったい何を?」

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 いろいろ死ぬかと思った。


 声をかけてくれたのは、ルータスさんだった。ルークのお父さんだ。昨日のように、朝食に呼びに来てくれたのかもしれない。

「もう授業が始まるぞ。先生を待たせるなよ」

「はぁ〜い」

 だから子供かって。

 ルークはそう言ってとぼとぼとその場から立ち去って行った。

「すまないな。あいつ、またあの状態になってやがる。会議の参加はいつになるやら」

「あはは……」

 ほんと、一生無理かもしれないですね。


「何はともあれ、朝食だ。気を取り直してあの部屋に行くぞ」

「はい。……ほら、久子、ローラン、早く来て」

「んん〜。ごはん?」

 僕の呼びかけに、ローランが目覚めた。おーい。起きるタイミング違うぞ〜。

「…………あっ、おはようございます。ルータスさん」

 おーい。どこにトリップしてたんだよ〜。

 ほんと、この三人でサバイバルゲームをやったら、絶対一番に死ぬ自信あるよ。

「ああ。おはよう。ヒサコ」

「少し待っていてください。ほらローラン、行くわよ」

 やがて、ローランが久子に手を引かれながらゆっくりと歩いてきた。ローラン眠そう。きっと、ベットが気持ち良すぎたのかな。じゃあ、起きなかったのもしょうがないよな。うん。全部久子が悪い!


「では、行こうか。……ちなみに、今回は芸はやらなくていいぞ」

「え? どうしてですか」

「実はな……影響が大きくて、会議に集中できない人が現れてな。見たい気持ちはやまやまなんだが、少し控えることにしたんだ」

「あはは……」

 やっぱり一大ブーム起こしちゃったか。そりゃあ、あんなノリのよくて完成度の高いもの、ブーム起こって当たり前だからな。僕達まさに外道って感じ。


「あの……実は私たち、もう五日間で旅立つことに決めたんです。だから、できる時間も限られているんですけど」

 久子が言う。

 そんなにネタやりたいのか?この人。

「そうなのか!? うーむ。でも、父さんが決めたことだからな……少し聞いてみるよ」

「あ! いいんですよ! 別にやりたいわけじゃないですし、ネタがあるわけでもないので」

「ねた? それはなんだ?」


 あちゃちゃ。ルークと同じ反応。

 久子も、やってしまったみたいな顔になっている。



 フハハ! せいぜい、これから連発されるであろう●に耐えるがいい!



「ネタとは、それこそ武●●のことです」

「ブ●●●ン? ブユーデではなく?」

「はい。武●●です」

「では、ブ●●●ン! ブ●●●ン!ということか?」

「はい。武●●! 武●●!です」

「ヒサコ、悪いが少しやってみてくれ、そのブ●●●ン。振りがわからんのだ」

「武●●×3」

「ほほう。初めのブ●●●ンの時に右手の握りこぶしを前に。次のブ●●●ンの時に左。そして、最後は左右にブ●●●ン、ということだな。実は私も少しブ●●●ンが気になっていたんだ。会議の時も、実は頭の中でブ●●●ン! ブ●●●ン! と――」


「いい加減にしろォォォォォォォ!」


 止まらない! ●が止まらないよ! いくらなんでも報告されるよ!

「――ああ、すまない。少し、盛り上がってしまったよ……ほら、そうこうしているうちに着いたぞ。君たちは昨日と同じ席に座ってくれ」

 開いたドアからは、昨日と同じように椅子に座っている王族の皆さんがいた。

(あっ……ほら、見て、あれ)

(ん? ――ぶっ!)

 視線の先には、僕たちを見ながら、嬉しそうに握りこぶしを交互に前に出すおじさん。

 シュール! 実にシュール!

(これは、儲かるわよ)

(それ一番最低なやつだ!?)

(冗談冗談。でも、ルータスさんが言っていた意味がすごくわかるわ)

(ごもっともです)

 こりゃあ、集中もできたもんじゃない。


 席に座ると、ちょうどルータスさんがルーカスさんに何かを伝えている所だった。その話が終わると、「では、朝食にしようか」というルーカスさんの声でこれまた昨日のように何人かが立ち去った。


「君たち」

 食事を待っていると、そのままルータスさんが僕たちの所に来た。

「ねたのことなんだが……五日間という期限を伝えても、父さんはもうやらなくていいと言っていた。君たちを嫌っているわけではないが、会議に支障をきたすことだけはやめてほしいとのことだ。あ、だから、役人の授業については構わないぞ」

「はい。こちらこそ、申し訳ございません」

 ルーカスさん、あなた本当に王に向いてます。けじめありすぎ。カズトヨさんも安心だ。


「ああ。……あと、一つ伝言がある。旅の成功を祈る、とのことだ。では、食事が運ばれるまで待ってくれ」

 そう言って、ルータスさんは自分の席に戻っていった。

(ルーカスさん、すごい人ね)

 久子の耳打ち。どうやら久子も僕と同じ考えだったようだ。

(僕もそう思った。お辞儀でもしようか)

(賛成)

 ぺこり。

 立ち上がってお辞儀をすると、ルーカスさんは少しだけ手を挙げて答えてくれた。


 神ですね。







申し訳ございません。


……外道な笑いで申し訳ございません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ