11 「腐~ん」
……R15。
苦手な方は、ルーク来た辺りで飛ばして下さい。
「ここが、君たちの部屋だ。自由に使っていい。……良かったな。どうやら父さんが君たちを気に入ったらしい。本当は、朝食もないはずだったんだが……これからは、朝食はともに食べるということになった」
そういうルータスさんも笑っていた。異論はない、と言ったところだろう。僕達のネタを気に入ってくれたのかもしれない。
「あ、ありがとうございます!」
「本当においしかったです! でも、どうやってあんな料理を?」
久子も、興奮気味だ。まあ、その気持ちはわかる。
「私に聞かれてもわからないよ。料理をする人がいる」
「あっ。そうですか……」
「……とにかく。昼食は買って食べてくれ。呼びに来るのは、そのあとに君たちが戻り次第になる。ただし、何度も言うが、町に出るときは絶対に日本語を話してはいけないぞ」
ルータスさんは、最後の部分を、念を押すようにゆっくりと話した。よっぽどいけないことなんだろう。
「はい。もちろんです……というか、いい部屋ですね」
案内された場所は二階、そして、城の入り口から見て奥にある。部屋はなかなかの広さだった。六畳は軽く超える。僕の部屋に比べれば、かなり大きい。
さらに、木とわらと布を下から組み合わせて作ったベットがあった。少ない藁の牢獄や、直に草の野宿に比べれば、何ランクも上だ。
さらに、窓からは、城の後ろに広がる山を一望できる。……窓? ガラス? ……まあいいや。とにかく絶景だ。
「ここは、カズトヨの部屋だったと言われている。清掃の時以外はだれも入っていなかった部屋だ」
「えっ! そんなところ使っていいんですか?」
「ああ。構わない。……というかぜひともだ。私たちはニホン人を尊敬している。気にする必要はない。では、また後でな」
そう言って、ルータスさんは去っていった――
「ムッツリ! ヒサコにローラン! 会いに来たよ!」
――と思ったらなんか来た。
コイツ、ルータスさんがちょうど去っていくタイミングを見計らって……こういうところは、賢そうだ。
「ルーク……授業は?」
久子が聞く。非難の感情が感じられるのは気のせいかどうか。
「ああ。終わったよ。終わったら、自分の部屋に戻れっていわれてるんだけど、抜け出して来ちゃった! あは。あははは!」
そう言って、ルークはベッドで転がった。どんだけうれしいんだよ。
というか、初めて会ったときはそんな幼稚な行動取らなかったよな? もしかして、このルークこそが本当の顔だったりして。そう考えると、少しかわいいかも――おっと、これを僕が言えば色々アウトだ。
「あはは! ……はぁ――ところでキミ達。これから何か予定はあるのか? 無いのなら、話の続きをしたいんだけど」
ベットで騒ぎ終えたルークが、笑顔で聞いてくる。
「あ~……昼ご飯を食べた後に、ルーカスさんに呼ばれている以外は何もないけど」
「え? おじいちゃんに呼ばれている? ……それは、恐ろしいよ」
突然震えだすルーク。
「何でだよ?」
「怒られて、おしりを叩かれるんだよ! あれは痛い。もしかして、ムッツリとかも、おしりを叩かれるのか?」
「それは……違うと思う」
たしか、そんな怒っているようには――いや、見えなくもなかったけど、第一そんな怒られるようなことしてないし。
というか、ルーカスさんが、ルークのおしりをたたいている光景がシュールすぎる。
久子だったらもっとシュール。
ローランは……アリ。
「ええ。私も、叩かれはしないと思うわ――」
久子も否定して……いや、部分否定か?
「――掘られるのよ」
デデ〜ン。
浜野、アウト。
「掘られる……おしりを、掘られる?」
繰り返すな。
「ひさこ、それってどういうこと?」
ローラン! そこ、一番疑問を持っちゃいけないとこだよ!
「ふっふっふ。食いつきがいいわね……では、オトナの授業といきましょうか」
「久子! もうそこらへんで――ばべぶっ!?」
はい。顔面平手打ち。
「オトナ! ということは、この授業を聞けばボクは未熟者を脱出できるのか!」
うん。変質者にはなれると思うぞ。というか、僕の心配は?
「……むっつり」
ああ! ローランはちゃんと僕の心配を!
そうそう。そうやって、顔をなでて……これこそ、イタイのイタイの飛んで行け〜! ってやつだな。
「おもしろい」
「……ふ、ふぇぇぇん」
あれ、涙が。どうしてだろう。
「で……ほらほら。ローランもおいで」
「うん」
「実はね。男には穴が――」
あ……ほっとかないで。ほっとかないでェェェ!
*
「おお……すごい。これこそ、未知の領域……」
「よくわからない」
授業終了。
なんかルークさん放心状態になっていますが、大丈夫でしょうか。
でも、ローランが意味をつかめていないだけでも、良しとしよう。……いや、そんな簡単に良しとはできないが、ローランのかわいさに百歩譲って!
「どうだったかしら。……さすがにローランには早かったけど、仲間を増やすことができて光栄だわ」
「おお……穴……穴……」
ルーク影響受けすぎだろ。
「純粋な少年には刺激が強すぎたかもね……」
「強すぎだよ! 聞いてて吐き気がしたわ!」
特に、両手で表したあれとあれが想像力を掻き立ててグロいわ!
「でも、本編ではカットされているでしょう(はさみでちょん切る)?」
「当たり前だ! これ載せたらいろいろ台無しになるわ!」
「腐〜ん。じゃあ、台無しにしてあげてもいいのよ(腐笑)?」
「へ?」
「ほら、ルーク。ちょうどいいところに、ベットで寝ている男がいるわよ」
「……ん? ……ほんとだ。あれは、ムッツリ……ムッツリィィィ!」
「ぎゃあああああああ!?」
前言撤回! これは、ローランがいくらかわいくても許せない!
ルークは、まるで獣のように、ベットで泣いていた僕を襲った。
「ああ、ムッツリ! ムッツリ!」
「あああああああああ! そ、そこはだめ! そこはだめだああああああああああああああ!」
「えい」
「……ハッ! ボクは、いったい何を?」
「はぁ……はぁ……はぁ……」
死ぬかと思った。
というか、なんだ? 何が起こった? またローランが助けてくれたのか?
でも、自分にかかる重圧は消えていない。
……ん? これは、軽い?
僕は目を開け、首を上げ――
「むっつり、だいじょうぶ?」
「……ぶ」
ぶひぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!
ああ。幸せだ。
もう、どうでもいいや。
血まみれローラン完成です♪