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小悪魔彼女に惚れられました。 作者:南条仁

小悪魔彼女

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第6章:先生の嘘つき!

【SIDE:桐原梨紅】

 大河先生が私にとって大事な男の人になりつつある。
 彼を知れば知るほど心を占める割合が増加中。
 本当に恋ってすれば楽しいものよね。

「――俺、桐原さんのことが好きだ」

「――私は貴方の事は興味ないわ」

 クラスメイトに呼び出されて告白されるのも私とっては珍しい事ではない。
 放課後の校舎、最後まで教室に残るように言われてわざわざ待ってあげた。
 告白という行為に対する勇気は理解できる。
 だから、告白の言葉だけは聞いてあげる、ラブレターなら最後まで読んではあげる。
 それが告白を受ける側の最低限の礼儀だ。
 けれども、どんな告白をされても、受けてあげるはずがない。
 私は同級生には微塵も興味がないのだから。

「ま、待ってくれ。他に好きな人がいるとか?」

 諦めきれないのか彼は私に尋ねて来る。
 外見もいいし、評判もいい彼はクラスではそれなりの人気の男子。
 これで私が年上好きじゃなければ恋人になってあげてもいい相手。

「えぇ。好きな人がいるの。大好きな人がね」

 私は大河先生に惚れている、この想いが揺らぐ事はない。

「私の心は彼だけに向けられているの」

 だって、他の誰と話しても気持ちは高揚しない。
 あのドキドキと心臓が鼓動する感覚を得られるのは大河先生だけだもの。

 

 
 家に帰るとママが何やら忙しそうに出かける準備をしていた。

「おかえりなさい、梨紅」

「ただいま。……何しているの?これから出かけるの?」

「何言ってるのよ。昨日言ったでしょ、今日は私とパパの結婚記念日だからお出かけしてくるって。聞いていなかったの?」

 そんな話をしていたような気もするけど、はっきりと覚えていない。
 昨夜は勉強に関する説教もされていたので聞いてなかった。

「と言う事は、私の晩御飯は?」

「それも昨日、それなら適当に私が自分で作るって言ってたでしょ」

「……言ったっけ?」

 ママは呆れた顔をして、「私の話を聞いてなかったのね」と嘆いていた。
 私はこう見えても料理は得意なので、暇な時は自分で作る事も多い。

「お金はテーブルの上に置いてあるから適当に食べておいて。今日は遅くなるから」

「別に帰ってこなくてもいいけど?」

「そう言ってくれるのならお言葉に甘えるわ」

 そこをにこやかに笑みを浮かべて言われると子供として照れるんですけど。
 まぁ、深く気にしないでおこう。
 大人には大人の事情があるんだよ、きっとね。

「そう言えば、昨日、大河先生を見たわよ」

「……ん?それがどうしたの?」

 同じ街に住んでいるのだから会う事くらいあるはず。

「隣に綺麗な女性を連れていたわ。恋人かしらね?仲よさそうにしていたもの」

「あははっ、何その冗談……ありえないでしょ」

 顔は笑顔で、心はちょっと焦り気味。
 だ、誰、誰と一緒だったの!?
 それ以上はママも情報は持っていなかったので分からずじまい。
 同じ大学の人とか、バイト先の知り合いだとその程度だと信じたい。
 大丈夫、あの女っ気のない大河先生だもの。
 でも、出会いがないだけで顔もいいし、気にいる女性がいないわけじゃない。
 私の中を不安と言う言葉がグルグルと渦巻いていた。

「それじゃ行ってくるわ。戸締りだけはしっかりとしておきなさい」

 ママが出かけていく後ろ姿を見て私は軽くため息をつく。

「ホント、うちの両親って仲がいいわよね」

 何かと月に一度は記念日だとふたりでお出かけしているのでいつもの事だ。
 そう言う関係って羨ましいとさえ感じる。

「……私も将来はそんな相手と出会えればいいな」

 なんて思ったり、まだまだ先の事だけどね。
 記念日とかを大事にしてくれる彼氏を作りたい。
 大河先生は優しそうだけど、ちょっと鈍い感じだから大丈夫かな?

「と、いつまでもここにいてもしょうがないし……」

 私もスーパーへ食材を買いに行くことにする。
 基本的に外食よりも自炊するタイプなんだ。
 料理も好きだから、こうして堂々とできるのは楽しい。
 その後、思わぬショッキングな光景を目撃する事になるなんて……。



 
 近所のスーパーではいつものように買い物カゴを片手に食材選び。
 今日はお肉が安い日なので、お肉メインの料理にしよう。

「肉じゃが、シチュー、カレー……何にしようかな」

 まだ肌寒い1月なので、お鍋でもいいけどひとり分を作るには面倒だ。
 メニューに悩んでいたその時だった。
 目の前を男の人が通り過ぎていく。

「……え?」

 見慣れた後ろ姿に私は思わず声をあげる。
 そこにいたのは大河先生だった。
 片手にお肉のパックを持って歩いている。
 こんな場所で会うのは偶然だと思って声をかけようとする。

「大河せん……せぇ――?」

 けれど、私は声をかけられなかった。
 私の視線の先には先生と初めて見る女の人がいたから。

「なぁ?たまには肉もいいだろ?いや、お肉にするべきだと神のお告げだ」

「意味不明だし。鶏肉ならいいけど、牛肉はダメ。高カロリーはダイエットの敵よ」

「いいじゃないか、魚メインも飽きたんだよ。俺もまでヘルシーメニューに巻き込まないでくれ」

「文句があるなら自分で作りなさい」

 大河先生が文句を言ってる相手は大人っぽくてスタイルもいい年上の美人だ。
 あの彼と一緒に長髪美人がお買いものってどういうことなの?
 ママが言っていた事を思い出して余計に混乱する。
 そうよ、これは同じ大学の何でもない人と買い物しているだけに違いない。

「そりゃ、俺も料理を作ってもらえる事には感謝するけど」

「大河は昔から好き嫌いが多いからね。私だって考えてあげてるのよ」

「そう言いながら苦手のエビを取ろうとするな。俺はエビアレルギーなんだ」

「ただエビ嫌いなだけでアンタにエビアレルギーはない。見え透いた嘘をつくな」

「エビをなめるなよ!?エビの尻尾はあの黒い悪魔のゴ●ブリの羽根とほぼ同じ成分なんだからな!エビ怖い、エビ嫌い……まさに人類の敵だ、あれは宇宙からの侵略者なんだよ」

 何だろう、そのやり取りの自然さに私は自分でもかなりショックを受けている。
 あの女慣れしてなさすぎる先生が自然に話をする事ができるなんて。

「バカな大河は放っておいて。今日はシーフードカレーにしましょう。魚介類たっぷりのね」

「断固拒否する。肉たっぷりのビーフカレーを要求する。肉~、俺に肉を食わせてくれ」

「はぁ、アンタは子供か。分かったわよ、たまにはアンタの好きなモノにするわ」

 まるで新婚夫婦のように楽しそうに(?)会話しながら会話するふたり。
 これってもしかして、もしかしなくても……。

「……大河先生の彼女?」

 湧きあがる疑問に私は彼らを遠目に見ているだけしかできない。
 先生の嘘つき!
 付き合ってる恋人はいないっていってたくせに、どういうことなの!?
 
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