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小悪魔彼女に惚れられました。 作者:南条仁

悪魔な彼女

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第11章:初デート《後編》

【SIDE:日野美鶴】

 初めてのデート。
 私の人生では男の子とふたりっきりで出かける事はほとんど記憶にない。
 弟の大河ならば何度かあるけども、それくらいだ。
 今まで出会いがなかったわけじゃないけども、積極的に恋愛に向き合ってきたわけではないから経験は年齢のわりには少ないと思うの。
 ……大河のことをバカにはできないわね。
 人の事ならどうとでも言えるのに。
 自分の事になると、臆病になってしまう自分がいる。
 それでも、私は彼の事が気になるのよ。
 大河内クンのことが……。
 美術館のカフェで私達はティータイムを楽しんでいた。
 こういう大きな美術館ではカフェなどを楽しむことができる。
 オープンテラスの席に座りながら私は紅茶の味を楽しむ。

「大河内クン、この後の予定も決めてくれているのかな?」

「そうですね。もう少し美術館の中を見てから先の事も一応はプランをたてています」

「ホント?頑張って考えてくれるんだ?」

 彼もこのデートに乗り気みたいで嬉しく感じる。
 女の子とデートらしいデートはしたことがないみたいだから、互いにドキドキし合っているのが何だかいい。

「日野先輩は楽しんでくれていますか?」

「私?こうして美術館のデートは楽しめているわよ。意外な発見と言うか、新鮮さがあるもの。大河内クンはどうかしら……?」

「僕は……楽しいですが不思議な気もしています」

「不思議?それはどういうこと?」

 彼に尋ねて見ると、私の方を彼は真っすぐに向いて、

「これまで女の人と一緒にいたいと思った事があまりなかったので……。でも、今は少しずつ、先輩との時間が楽しいと思えるようになってきているんですよ」

「そう、なんだ」

 面と向かって言われると恥ずかしい気持ちになる。
 彼は照れくさそうにするわけでもなく、真顔で言うから余計に……。
 大河内クンは、真面目な子なんだと思う。
 彼の気持ちが少しでも私に向いてくれるのなら、このデートに意味はある。

「そろそろ、行きましょうか。日野先輩」

「……うん」

 私は飲み終えたカップを片付ける。
 彼と再び美術館の中を歩きながら絵を鑑賞する。
 いつしか私の中で膨らんでいく気持ちに気づく。
 大河内クンが私にとって特別な存在になっていく。
 人が人を好きになるってこういうことなのかな。
 そんな事を思いながら私は彼の横顔を見つめた。

 

  
「大河内クンがあんなお店を知ってるなんて驚きだったわ」

 夕食後、私たちはのんびりとふたりで繁華街を歩いていた。
 美術館の後は繁華街を歩き、そして私達は雰囲気のいいお店で食事を楽しんだの。

「まだあまりこの辺りのお店は知らないのよね?」

「えぇ。それほどは。ですが、あのお店は久瀬達から教えてもらっていたんです。とはいえ、さすがに一人で入るには雰囲気が良すぎますから」

 苦笑い気味な彼だけど、私は嬉しかった。
 私を楽しませようとしてくれている。
 その気持ちがとても伝わってきたから。

「そういえば、帰る前にもう一ヶ所、よってもいいですか?少し歩くんですが」

「いいけれど?」

「最後は個人的にも気になっていた場所なんですよ」

 どこに連れて行ってくれるのだろうか。
 そんな楽しみ方に心が躍る自分がいる。
 些細なことでも好きな人と一緒にいる事は心が満たされる。
 私にとっては初めてに近い経験だ。
 私も女だったのね。
 そんな事を感じながら、私は彼の後をついて行く。
 繁華街から少し歩いた場所にある大きなビルだった。
 ここは私もスポットとしては聞いたことがある。
 この街のデートスポットは恋人同士でくる事が多い場所だから。

「……このビルの最上階は展望台になっているそうですね」

「うん。夜景が綺麗だって聞いたことがあるわ。私もここに住んで2年以上たつけど、ここには来たことがない。この下の映画館とかならたまに来るけども、最上階までは機会がなくて……。ここは大河内クンも知っていたんだ」

 このビルは映画館やボーリング場などがあり、最上階は展望台にもなっている。
 周囲にも恋人同士が寄り添って窓の外を見下ろしていた。

「行ってみましょうか」

 私達が近づくと、夜景がよく見える。
 この街を一望する事ができ、夜の街並みは光があふれている。
 煌めく輝きは本当に綺麗だ。

「綺麗ね。想像以上に眺めがいいわ」

「はい。僕もそう思いますよ」

「興味はあるけど来づらい場所だものね」

 恋人同士でもない限りはここにくることもない。

「ここも久瀬クン達のお勧めなの?」

「いえ、ここは久瀬からではなく、初めてこの街に来た時に知っていた場所なので。久瀬からも話は聞いていましたけどね。まさか自分がここに誰かを連れてくる事は想像していませんでした」

 微笑する彼と視線が交差する。
 彼の些細な行動に見惚れる自分がいる。
 私はこの1日のデートで、彼の事を愛している事に気づいた。
 大河内クンの存在。
 彼への気持ち。
 昨日、彼に助けてもらってから、私の中で大きくなり続けている。
 今日一日のデートは私達の気持ちの確認のためのデート。
 好きか嫌いか、興味があるだけの仲で終わるのか、それとも――。

「あのね、大河内クン」

「はい?何でしょう?」

 私は自分の想いのままにある言葉を口にしていた。

「――私、やっぱり、貴方の事が好きみたい」

 私の気持ちは答えが出ていた。
 だから、私は彼にそう答えていたんだ――。
 
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