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小悪魔彼女に惚れられました。 作者:南条仁

小悪魔彼女

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第32章:微妙な心境

【SIDE:日野大河】

 何だか俺の知らない所で何かが動いているらしい。
 希美と梨紅ちゃんの様子が変なのだ。
 俺の部屋に蒲団を敷く姉ちゃんに聞いてみることにした。

「あのふたり、何かあったのか?」

「別に何もないんじゃないのー?」

「何かあるからお泊りしたんだろ?」

 わざわざうちで泊まるってのは何か変だと俺でも気付く。

「それに妙に梨紅ちゃんが希美に対して変な視線を向けたりさぁ」

「それを逆だと思わないのが大河なのよねぇ、はぁ……」

 ため息で返されてしまった。

「逆ってどういう事?」

「例えば、希美が梨紅ちゃんに対して、敵意をもった視線を向けている、とか?」

「何で希美が敵意を持つんだよ。姉ちゃんじゃあるまいし」

「……私の場合は“敵意”じゃなくて、“殺意”だから。あんまり調子乗ってたら、泣かすわよ?」

 俺は本物の殺意を向けられていた。
 姉ちゃん、めっちゃ怖いっす。

「――ごめんなさい」

 即謝罪&頭を下げなきゃいけないレベルの殺気でした。
 実姉に鳥肌たつ殺気向けられるってどうなのよ。

「分かればいいのよ。人間、素直になるって大事よね」

「……素直に謝らないとひどい目にあわされると思ったんだよ」

 美鶴姉ちゃんを怒らせると本気で怖いんだ。
 子供の頃からどうにもこの人に対しては恐怖という感情しかない。
 なのに今日は一緒に同じ部屋ってどれだけ俺に怖い思いをさせるのだ。

「それで、あの二人は何をしているんだ?」

「仲良く一緒にお風呂に入ってるわ」

「へぇ、そうなんだ。あの二人って仲がいいよな。まるで姉妹みたいで可愛いよ」

「……大河って本当に平和な子よねぇ。少しくらい空気読め。わざと読まないだけって思わせる時がたまにあるんだけど?」

 怒ったり、呆れたりと大変な姉だ。
 ……俺が悪いのか?

「大河。アンタの鈍感さに対してもはや言うべき事はないわ」

「ついに俺って見放された?」

「まだかろうじて見放してはないわ。そんな鈍感かつ、変態な大河にも私からひとつだけ言ってあげる」

「変態違うし。ぬぉあっ!?ベッドの下を探そうとするな!?」

 油断も隙もない姉である。
 そこに怪しいものはありませんが……多分。

「この部屋探せば、適当に変な物は見つかるし、アンタの性癖がいかに変態かつマニアックなのかあの子たちに暴露してもいいわ。まぁ、それは別に男の子の趣味としてどうでもいいの。私が言いたいのはあの子たちを見守りなさいってこと」

「はい、先生。男の尊厳をバカにされただけで、意味がさっぱり分りません」

「意味が分からないなら、幼稚園から人生やりなおせ」

 ……ひでぇ、今日は暴言吐きまくりだな。
 今日の姉ちゃんはどこか機嫌が悪いのか。
 俺は姉の機嫌を伺うので必死だ。

「もうっ、イライラするわっ。大河っ!」

「は、はい!?」

「アンタが希美をどう思ってるのか知らないけど、あの子は天使でもなければ従順な妹でもないの。今まで散々、アンタに恋人ができそうだったチャンスをぶち潰してきた張本人なのよ。その辺、いい加減に理解しなさい」

「……はい?」

 希美が俺の恋人になるかもしれなかった女の子達に影響を与えただと?
 思い当たる節がまったくなければ、希美がそんなことをするはずがない。
 到底、信じられる事じゃない。

「また姉ちゃんの戯言、訂正、いい加減な事を……げふっ!?」

「戯言って言った?せっかくの忠告をそう言ういい方するわけ?」

「訂正って言ったのに、お腹を殴るなよ!?」

 口は災いのもと、その意味を身体で理解しました。

「……アンタが余計な一言を言うからでしょうが。希美は天使じゃない。あの子は悪魔なの。分かる?……私と一緒とか言ったらもう一度行くわよ?次はその下を潰すわ」

 拳を握りながら脅すなよ、本気で怖いから狙いを定めないでください。
 俺は痛む腹部を押さえ&守りながら、姉にびびりまくる。

「だ、だって、希美が悪さをするはずがないじゃないか。俺の天使だぞ」

 俺を尊敬してくれて、素直で、笑顔が天使みたいに可愛い女の子が悪魔のはずがない。
 梨紅ちゃんはどちらかと言えば小悪魔っぽいけどさ。
 うちの希美に限ってそんなはずがないんだ。

「思い返してごらん。これまでアンタに恋人ができそうだった時、何が起きた?」

「仲良くなって告白しようかなって時には大体、向こうから引かれたかも……」

 攻勢に出た時には大抵、関係が終わっていて……俺の態度が極端のせいではないか、そう思い続けてきた。
 俺って女の子に対して免疫とかほとんどないから仕方ない。
 口説くタイミングをミスったのだと後悔してきたのだ。

「……思い出しなさい。そのタイミングの前に必ず、大河は希美をその子に紹介しなかった?いきなり学校前ではち合わせた、とか、デート中に声をかけて来たとか。どこかで希美が絡んでこなかった?」

「うーん。そうだったっけ?」

 言われてみればそう言う事もあった気がする。
 女の子と遊んでいる時に偶然にも街中で希美と遭遇した事や、帰りに買い物に付き合ってと、校門前で待っていたとか。
 普通のタイミングで出てきたので気にした事がなかったけれど、偶然だろう?

「……ホントだ、俺に恋人ができるかもって時には大抵、希美がその子にあってるかもしれない。中学の時から合わせたら5、6人に妹を紹介した記憶がある。んー、でも偶然だろ?よくあることじゃん」

「ふーん。微妙に大河ってモテるのね。案外、地味に恋人作り、頑張ってきたの?本当に可哀想。……それが悪夢の始まりよ、アンタにとっても、その女の子達にとってもね」

 姉ちゃんの不吉な台詞に俺はゾッとする。

「ま、まさか?偶然に決まってる。あの希美だぞ?ぽや~ってしてる、おっとり系の妹がそんな姉ちゃんみたいな策士なわけがないだろ?ありえないってば!?希美が何かを企むはずがない」

「あの希美だからよ。アンタが知らない一面をあの子は持っている。従順に甘えてくれる妹、それが大河の認識でしょう。でもね、あの子の裏面はえげつないの。大河に好意を寄せる女の子の認識は……」

「……に、認識は?」

「悪魔そのものよ。遠慮容赦一切せず。アンタに恋人ができるのを阻止する。全力で関係を潰そうとする」

 いやいや、それは信じないぞ!?
 どこをどう考えても全くもって想像すらできない。

「可愛い顔してるから皆が騙されるのよね。そんなことをするはずがない、ありえない、あれは何かの嘘に違いないって。希美の牽制を受けた子達はそうやって考えてるうちにアンタへの愛情が冷めるってわけ。フラれ続けた理由、それは別に大河のヘタレ癖だけのせいじゃないってことが分かった?」

「分かりたくない。俺は信じないぞ、そんなこと。希美がそんな真似をするはずがない」

 これまでだって、希美はずっと俺の事を応援し続けてきてくれたんだ。
 高校時代によく落ち込んだ俺をいつだって優しく慰めてくれたのは希美だ。

『あーあ、またフラれた。何でだろうな、はぁ……』

『大河兄さんの魅力に気づいていないだけです。兄さんは優しくていい人なのに、その魅力に気付けなかった。その人達の見る目がなかったんですよ。絶対に兄さんは素晴らしい人に出会えるはずですから、頑張ってください』

 あの優しい妹が内心、腹黒い笑みを浮かべていたはずがない。

「どうしても信じないのね?」

「どー考えても信じられる根拠がないからな」

「根拠ならあるわ。それもアンタを納得させるだけの根拠が」

 姉ちゃんは自分を指差しながら、はっきりとした口調で言う。

「――根拠は希美はこの“私”の“実妹”だってことよ」

「そ、そうだった!!バカな、あの希美がこれまで俺の邪魔をしてきたと言うのか!?嘘だ、そんなの嘘だぁああ!!!」

 頭を抱えて崩れ落ちる俺、希美に裏切られたショックはかなり大きい。
 希美が俺のことを裏切るなんて嘘に違いない、嘘だと言ってくれ……!!

「……ようやく納得させたのに、私も何だか泣きそうな気分よ。私の妹っていう説明一つで信じられるのってどうなの。どこまで私は悪魔だって思われているのかしら?大河のこと、心配してあげてたのに……くすんっ」

 姉ちゃんもなぜか俺につられるように落ち込んだ顔を見せる。
 この人が落ち込む理由がさっぱり分からん。

「忘れていたよ、希美は美鶴姉ちゃんの妹だったということを」

「……大河、一発殴っていい?マジで殴るわ。お姉ちゃんの怒りをくらいなさい」

「自分で言ったのにっ!?」

「うるさいわっ!私の心は今ものすごく傷ついたの。こんなにも弟想いのお姉ちゃんなのに何て仕打ちなの。ひどいわ。大河のバカっ!」

 殺気めいた雰囲気で俺を責める姉ちゃん。
 ……意味が分かんないんですけど、ぐぉ!?
 一方的に姉の攻撃を受けて俺はベッドの片隅に逃げる。

「暴力反対っ!?の、希美が本当に俺に意地悪してきたとして、その理由は……?俺ってあの子に嫌われるようなことをしたか?恨まれる覚えがないぞ」

「それも違う。恨む理由なんてないわ。あの子はね、大河が大好きなのよ。ブラコンなの、重度のブラコンだから誰にもお兄ちゃんを渡したくない。大好きな人を誰かに取られたくないって必死で周りが見えてないの。ブラコンなうえにヤンデレが追加していると言ってもいい」

 我が天使の希美がブラコン+ヤンデレって……どういうことさ?

「……大河ってバカで、どうしようもないヘタレだけど、私達姉妹にとっては大事な家族なのよ。あの子の行動は褒められたものじゃない。それでも、アンタに対しては敵意じゃなくて好意だけよ。今までも、これからもずっとね」

「それは俺に向けられてきたものは信じてもいいと言う事?」

「そう。希美は悪い子じゃないの。ただ、大河に対して極端で歪んだ感情を抱いているだけ。その辺をしっかり受け止めてあげるのが大河の兄としての役目よ」

 希美にダークな一面があるなんて今でも信じられないけれど、もしも、そうだとするなら過去を含めてこれまでの不可解な事にも納得ができる。
 本当に希美が俺の邪魔をしてきたのか?
 と、なると……まさか、今度は梨紅ちゃんが危ない――!?
 
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