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小悪魔彼女に惚れられました。 作者:南条仁

小悪魔彼女

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第30章:悪魔的なお誘い

【SIDE:桐原梨紅】

「……どれにしようかな?」

 私は家に帰ってから自分のタンスの中にある可愛いパジャマを選んでいた。
 マンションに戻った私達にいきなり美鶴さんが提案してきたのは『お泊り会』だった。
 今夜は先生の家でお泊り、一度しっかりと私と希美さんは先生について話し合いを行う必要があるという互いの意見が一致した。
 運命の直接対決って、何で先生の実妹と戦わなきゃいけないのかは疑問だけどね。
 それだけ希美さんの大河先生への愛情は深いということ。
 妹だからどうとか言ってられない。
 というわけで、私は一度家に戻ってさっそくママに許可をもらってお泊りの準備をしていた。

「梨紅、タオルとかこのバッグにつめておいたわよ」

「ありがとう、ママ。そこに置いておいて」

「それにしても日野先生の家族といつのまに仲よくなっていたの?」

 ママは私が美鶴さんや希美さんと関わりを持っていることが不思議らしい。
 大河先生を狙っている事はまだ秘密なので私は誤魔化す。

「いろいろとねぇ。すっごくいい人たちなんだ」

 嘘じゃないけど、基本的に悪い人じゃないと思いたい……。

「そう。梨紅にとってはお姉さんたちなのね。仲良くしてもらいなさい」

 そうかもしれない。
 私には兄妹がいないから美鶴さんや希美さんっていい意味でお姉さん的存在なのかも。
 ……どちらも腹黒くなければ、だけど。

「日野先生に迷惑をかけないようにしなさいよ?」

「分かってるってば」

 人様の家で迷惑かけるそこまで子供じゃない。
 それに私はそれ以上に危機感を抱いているの。
 希美さんに何をされるか分からないから怖いよ。
 私はお気に入りのパジャマをチョイスしてバッグにしまう。
 様々な準備も終了、あとは先生の家に行くだけだ。

「それじゃ、行ってきます」

 いざ、決着をつけるために出発。

「希美さんには負けないよっ」

 私は意気込みながら、気合を入れて先生のマンションへ向かった。

 

 
「……梨紅さん、次はこの魚をさばいてください」

「任せて。お魚をさばくのは結構得意なんだっ」

「へぇ、言うだけあって綺麗なものですね」

 キッチンに響く包丁の音、魚をさばく私の手つきはそれなりに慣れている。
 こー見えて、料理は得意なのですよ。
 私の隣に立ちながら料理をするのは美鶴さんじゃなくて希美さんだ。
 ……何でふたり揃ってお料理中なのかと言いますと、ただ今は休戦中なの。

『ふたりとも言いたい事は夜にたっぷりしなさい』

 マンションにやって来た私と希美さんに美鶴さんがキツイ口調で言う。

『だから、それまでは一緒にいろいろとしてみなさい。相手の事を知るのって大事なことよ。いがみ合う理由が大河だけなら、違う形で接してみるのも悪くない。話をするのは後からでもいいでしょう?』

 あの美鶴さんにしてはすごくいい事を言った。
 そのような理由で私と希美さんは休戦しており、言い争いはやめている。
 ちなみに先生の家に泊まると言う事に関して、大河先生は聞いていなかったらしく、

『ちょい待て、希美と梨紅ちゃんが一緒の部屋と言う事は……?』

『ふふふっ。大河、今日は久々にお姉ちゃんと一緒に寝ましょうね』

『……な、何だってーっ!?嫌だ、姉ちゃんとだけは姉ちゃんだとけはマジで無理……ぐふっ!?』

『せっかく、私が一緒に寝てあげるっていうのに叫ぶのはどうよ?希美はよくて私は悪いわけ?あん?』

 先生は美鶴さんに腹部を殴られて悶絶、そこまで拒否を示した先生が悪い気がする。
 何だかんだで彼女も先生の事を弟として大事にしてるもの。

「梨紅さんってお料理得意なんですね。意外で驚きました」

「よく親の手伝いとかしているから」

「私と同じなんですね。まぁ、私は姉さんに教えてもらったんですけど」

 リビングで「私のおかげだぞ~っ」と美鶴さんの声が聞こえる。
 テレビを見ながらも聞き耳は立てている様子だ。
 美鶴さんの料理が美味しいのは知ってるけど、姉譲りなんだ。

「……そう言うのって何だかいいなぁ」

「どういう意味ですか?」

「私はお姉ちゃんとか、兄妹いないから。そう言うのに憧れるかも……」

「そうですか。……あっ、梨紅さん。それは、少しだけ違いますよ」

 私が野菜を切ろうとしていたら、希美さんがすっと私の手に触れる。

「この野菜はこう切るんです。その方が見た目的にもいいでしょう?」

「うわっ、本当だ。こういう切り方もあるんだ」

 優しく教えてくれる希美さん。
 もしも、お姉ちゃんがいたらこんな感じなのかな?
 ……そもそも、大河先生が絡まなきゃ、ものすごく優しくていい人だったりする。
 それから何度か希美さんに指導してもらう機会があった。
 うーん、お料理だと彼女の方が知ってる事も手際もいい。
 こちらとしてはすごく教えてもらう事が楽しかったりする。
 最後のスープを作っている時に希美さんは小声でつぶやいた。

「何となく、梨紅さんの気持ちが分かった気がします」

「何が?」

「……いえ、何でもありません。そろそろ仕上げましょうか」

 くすっと微笑を浮かべた彼女。
 希美さんみたいなお姉ちゃんがいればいいのに。
 そんなことを思ってしまう自分がいた。

 

 
 ふたりで作り上げた料理の数々がテーブルに並ぶ。

「おっ、いい感じに美味しそうじゃないか」

 見た目の出来の良さに大河先生も褒めてくれる。
 先生に褒められるのは素直に嬉しいっ。
 私と希美さんは互いに見合って笑い合う。
 料理の味の方も思っていた以上によくできていた。
 こーいう食事もたまにはいいかも。
 大満足の夕食を終えた後、後片付けを私と美鶴さんがする。
 洗い物をしていると彼女はポツリと言った。

「希美って、小さい頃から大河にべったりだったのよ。大河も甘えてくれる妹を突き放したりすることなく、可愛がっていて……。あの子、甘える事になれているの。けれど、今日は違った。希美は梨紅さんに甘えられて嬉しかったんだと思うわ」

「甘えられるのが嬉しい?」

「そう。逆に自分が甘えられる存在になった事がなかった。それで、立場が逆転した事により、彼女も自覚が芽生えたのかもしれない。それが今日の料理作りで希美に起きた変化よ。梨紅さん、今日はあの子に甘えてあげてみて?」

 うーん、希美さんに甘えるって言っても、私達はライバルだもん。

「……特別の事なんてしなくていいのよ。普段の梨紅さんでいてくれればそれでいいの。あの子が変わればきっと、梨紅さんにとってもいい事が起きるはず」

「いい事ですか?本当に希美さんに甘えて何かが変わると?」

「えぇ。見ていなさい、すぐに分かるから。大河を手にしたいのなら、私の言う事は聞いておいた方がいいわよ?」

 それが怖いのだと、彼女の前では言えなかった。
 だって、美鶴さん絡みでこれまで何度痛い目にあわされてきたか。
 でも、私も何となくだけど、希美さんとの距離は縮まっていた。
 お姉ちゃんみたいな存在だなって思い始めていたんだ――。
 
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