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小悪魔彼女に惚れられました。 作者:南条仁

小悪魔彼女

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第17章:デートスポット

【SIDE:日野大河】

 日野大河、19歳は悩んでいた。
 人生に……ではなく、デートスポットに俺は悩んでいる。
 梨紅ちゃんとのデートを約束してしまった。
 彼女も頑張ってるし、遊びに行く事は別にいい。
 俺も春休みで大学は休みだし、アルバイト以外は暇でもある。
 問題は俺の経験だ。
 人生19年、女の子とのデートなんて数えるほどもない。
 デートとは可憐みたいな女友達と出かけるのとは違う。
 朝から俺はデートスポットを探して雑誌を眺めながら考えていた。

「……どこがいいのやらさっぱりわからん」

 そもそも、相手が年下の中学生だと言う事も問題だ。
 夜遅くまで連れまわすわけにもいかない。
 おのずと場所も限られてくるわけだ。

「何を悩んでいるの、大河?」

 リビングで雑誌とにらめっこをしている俺を鬱陶しそうに見つめる姉ちゃん。
 片手には掃除用のホウキ、もう片方にはちりとりと掃除のお姉さんスタイルだ。
 先日の黒い悪魔の騒動以来、掃除はかかせないと大学が休みの今は毎日のように朝から掃除をしている。

「んー、姉ちゃんか。あのさぁ、女の子ってどこにデートに連れて行けば喜ぶと思う?」

「……それって現実に生きてる女の子の話?」

「だから、俺の妄想でもなければ幽霊でもないって。梨紅ちゃんだよ。彼女を遊びに連れて行きたいんだけどね。女の子って何が喜ぶのかよく分からないくて……こうして悩んでいるわけだ」

 俺が読んでいる雑誌には『絶対に失敗しないデートの仕方』という特集だ。
 しかし、どれもこれも、“女子中学生”との交際方法ではない。
 夜景の綺麗なホテルやら、バーなど当然ながら同世代のデートスポット特集。
 本を買ってきたあとに、ティーンズ雑誌を買えばよかったと後悔。
 どうにもこの雑誌では参考になりそうにない。

「あっ、そうか。大河って全然デート経験ないもんね」

「……めっちゃ笑顔で言われる事じゃないし」

「だって、経験ないでしょ?誰とも付き合ったことないんだから」

 うぐっ、何度もしつこく言われなくても分かってるって。
 そりゃ、彼女の一人もできた事ないのは事実だ。
 だが、それは俺だけの問題ではない。

「そういう美鶴姉ちゃんだって彼氏がいたことなんて……ハッ!?」

 気づいた時は手遅れで俺の眼前にはホウキの先っぽが付きつけられている。
 やべぇ、地雷踏んだ。

「私はいないわけじゃない。まだ本当に愛する人に出会っていないだけよ。何度も告白して連敗続きのヘタレな大河と一緒にしないで。それに私だってモテないわけじゃない。気になっている子もいるし、恋をしたことがないわけじゃない。分かる?まだ何か他に文句でも?」

 冷や汗をかきながら俺は「な、何でもありません」と謝罪する。
 何だよ、同じ事を言い返したら問答無用ですか。
 こういう性格だから俺以上に彼氏ができないのでは?
 姉と弟という立場の差に俺は涙しておく。

「さて、お互いの経験のなさを攻め合うのはやめにしましょう」

「姉弟間の一方的な言葉の暴力に異議があるんですが?」

「却下します。で、デートだっけ?」

 無理やり話を変える姉ちゃんは俺から雑誌を奪い適当にめくる。

「……アンタ、合コン相手のお姉さんとデートするんじゃないんだからこの本じゃ参考にならないんじゃないの?」

「それはさっき気づきました」

「面倒なら適当に繁華街で遊べばいいじゃない」

「歳の差もあるから趣味が違うところもあるというか……」

 その程度ならば俺でも考えつくし、この前みたいに楽しめればいい。
 だが、デートとはそういうものじゃない気がする。

「ていうか、何でアンタがあの子とデートなんてするの?付き合ってるわけ?」

「いや、違うけど……。この前、彼女の小テストがあって、いろいろとあり、デートをすることになったんだよ」

「どうせ、梨紅さんがテストの点がよかったらデートしてとか強引な約束をしたうえに、結局大して点数がよくなくて残念だったのにもかかわらず、大河に頑張った事を評価してとかいう我が侭を言ってきたからデートをする事になったのね」

「……なんで何も話していないのに具体的に分かるんだ」

 姉ちゃん、梨紅ちゃんの事が嫌いなのか。
 むしろ、いい遊び相手というべきなのかもしれない。

「好かれているわね、大河。あの子、本気でアンタの事を好きなんだと思うわ。あぁ、純情って可愛いわよね。私ももう少し若さがあれば純情路線でいけるのに」

「そもそも、純情って言うキャラじゃないし。姉ちゃんには慎ましさがまず足りていない。そもそもどんな路線でも向ける相手がいないっていうのが……」

 そこまで言って、俺は自分の口を押さえる。

「待ってくれ、違うんだ。今のはつい口がすべったというか、事実だというか」

 気づいた時には遅かった。
 俺は僅かに遅れた判断ミスを呪う。
 そこにはこちらにホウキを遠慮容赦なく向ける姉がいた。

 

 
 ……数分後、失言は痛みに変わった。
 チクチク痛いよ、地味に痛いっす。
 背中にささったホウキの痛みに俺は嘆きながら、

「……で、どこに行けばいいのかアドバイスをくださいませ。お姉さま」

 俺は散々ホウキでつつかれて、ようやく許してくれた姉に尋ねる。

「アンタがデートという形式にこだわってるならアクアリウムでいいじゃん。ほら、郊外にできたアレ。まだ一度も行ってないんじゃないの?水族館が嫌っていう女の子って少ないもの」

「アクアリウム?そんなのあったっけ?」

「そうか。アンタがこの街に来たときには既にできたから話題になっていなかったわね。一昨年の夏に出来た水族館があるのよ。初デートに悩むならそこにいけば?」

 水族館、おおっ、デートらしくていいじゃないか。

「それもありだな。それなら、梨紅ちゃんも納得してくれるに違いない」

「……そんなに相手の事を気にして考えること?そもそも、アンタってあの子の事が好きなの?ただの家庭教師の生徒なら気にしなくてもいいじゃない?」

 俺にそう言う姉ちゃんは何だか嫌な笑みを浮かべている。

「そ、それは……」

 実際のところ、梨紅ちゃんは可愛い。
 俺の好みのど真ん中は年上美人のお姉さんだ。
 しかし、妹系の年下美少女に甘えられるのも悪くはない。

「よくよく考え見れば、アンタを好きだっていう女の子って初めてじゃない?」

「それは失礼だぞ、姉。俺だってちょっとはモテるんだよ」

「今まで女の子から告白されたことは?」

「それっぽい雰囲気は何度かあったけども……告白はありません」

 言っていて悲しくなる自分がいた。
 人生、恋愛がすべてじゃないんですよ!
 だからと言って他に何かあるわけでもなく、とても悲しい。

「大切にしなさいよ。むしろ、付き合っちゃえばいいじゃない」

「そんなに簡単にいくものじゃないって」

「機会逃して泣かないようにね?アンタってそういうところ、疎いから」

「……まぁ、考えておく」

 即決できる問題ではないので今回は置いておく。
 今はデートの事を考えなければいかないのだ。

「さて、どういうプランを立てようか?」

 デートと一言で言うが、難しいんだなぁ……漫画喫茶じゃダメですか?
 
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