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小悪魔彼女に惚れられました。 作者:南条仁

小悪魔彼女

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第13章:小悪魔の囁き

【SIDE:桐原梨紅】

 今日は大河先生のためにバレンタインデーのチョコを買いに友達と繁華街に来ていた。
 明日が当日ともあって、お目当てのお店にはバレンタイン用のチョコが店内に大量に並べられていて、他にも多くの女の人が買いに来ている。
 私の友達、東雲と片瀬のふたりはそれぞれ片思い相手と彼氏にチョコを選んでいる真っ最中。

「うーん。いざ買いに来たものの、どういうモノをあげればいいの?」

 私が彼氏と付き合ってる片瀬に尋ねる。
 私も別に先生が初恋相手じゃないけど、チョコは誰にもあげた事がない。
 中1の頃から付き合ってる子なので経験値は私達より高い。
 私と同じく片思いのいる東雲も気になってる様子だ。

「男の子が好きなのってあまり甘すぎないものじゃない?」

「うーん、チョコは甘い方が美味しいけど?」

「それは梨紅の好みでしょ?彼氏のお兄さん、大人なんだからビター系じゃない」

「ビターチョコレートかぁ。と言う事はこれとかあれとか……」

 東雲は同級生相手なので普通のチョコにするみたいでふたりで別の売り場へ。
 私はひとり大人向けのチョコ選びを始めた。

「ビター系って食べたことないんだよね。苦いの苦手だし」

 基本的に甘いもの好きだから私は苦めのチョコは食べない。

「……でも、先生ってば休憩のお茶菓子も普通に食べるし、別に甘いものが嫌いなわけじゃないはず。となると、ビターだとまずくない?うわっ、どっちを選んだらいいんだろう」

 最近はスイーツ男子とか呼ばれるお菓子好きな男の子も多い。
 男子=甘いモノが苦手、というのは単純な考えかも。
 あ~あ、もうワケわかんなくなる。
 チョコひとつ買うのにこれだけ悩むなんて……。

「面倒だから先生に聞こう、っと」

 私は失敗を恐れて先生に直接尋ねることにする。
 あげる事は既に明言してるわけで、今さら気にしてもしょうがない。
 携帯電話をかけると先生はすぐに出る。

『もしもし、梨紅ちゃん?どうしたんだ?』

「あのね、先生に聞きたい事があるんだけどいい?」

『聞きたいこと、いいけど……ぬぉっ!?』

 電話先で先生の驚いた声がする。

『ねぇねぇ、大河クン。この辞書借りるわよ』

 そして、その後には女の子の声もした。

「先生、今は誰かと一緒なの?」

『え?あ、うん。友達と一緒にテスト勉強中。それで梨紅ちゃんは何の用?』

 先生の女友達、美鶴さんの話だとそれほど親しくしてる相手ってあんまりいないって言っていたから気にする事じゃない。
 でも、沢崎さんみたいな例もあるし、油断はしちゃいけない。

「先生、その相手って本当に本当のお友達?」

『は?本当の友達?親友と言う意味では……俺達は友達なのだろうか?』

『誰と話してるの、大河クン?女の子?もしかして、女の子!?やだぁー、大河クンに彼女?付き合ってるの?』

『だぁっ!?いきなり何する?彼女は別に恋人じゃないから向こうに行ってくれ』

 追及を避けたくて先生が言った一言に軽くへこむ。
 そりゃ、私達はまだ付き合ってないけど言い方ってあるじゃない。

『……うわっ、堂々と恋人じゃない発言しちゃって最低だ、大河クン。いいのかしら、そんなこと言って?相手の子、傷つけても知らないからねー。女の子を傷つけたら後が怖いんだよ?』

『傷つけなくても怖い人は怖いんだよ』

『あははっ、それは言えてる。まぁ、ダメならダメで大河クンには私がいるしね』

 誤解はよくない……これは普通の会話で他意はないはず。
 “私がいる”って意味を考えちゃダメだってば。

『あっ、梨紅ちゃん。それで何だっけ?』

「先生なんて知らないっ!ふんっ」

 イライラを抑えられずに私はムカついたのでそのまま電話を切る。
 私はホントにただの家庭教師の生徒でしかないの?
 結局、私はビターチョコを購入してから友人たちと合流する。

「梨紅、お兄さんにいいの買えた?……膨れてるけど何かあったの?」

「別に何でもないよ。片瀬たちは?」

「いいのあったよ。自分用もつい買っちゃった」

「そうなんだ。ごめん、私ちょっと用事ができたからもう帰るね」

 友人たちと別れると私は急いで先生の家に向かう。
 あの女の相手が気になるんだよね。
 何となくだけど、私の敵の予感がしてたまらない。
 先生を狙う相手は多いかもしれない。
 彼のマンションにつくと、インターホーンを鳴らす。

「はい?あら、梨紅さんじゃない。大河に用事でもあるの?」

「こんにちは、美鶴さん。あの、大河先生はいますか?」

「大河?ううん、うちにはいないわよ?」

 ……あれ、予想が外れた。
 てっきり、先生の家にいるとばかり思っていたのに。

「先生は今どこに、誰と一緒にいるんですか!?」

「何を慌ててるの?……あぁ、そう言う事か。ふーん。気になるお年頃ってやつねぇ」

 美鶴さんは察しがついたようで微笑する。
 このお姉さんの微笑は綺麗だけど何を企んでいるのか分からなくて怖いの。

「きっと大河は可憐さんの家にいるはずよ。男と女がふたりっきりの部屋で何をしてるのかしらねぇ?気になる?」

「き、気になるのが普通じゃないですか。ていうか、美鶴さん、この間、私に嘘を教えたでしょう。何が恋人ですか、妹さんだって先生から聞きましたよ。全然話と違うじゃないですか!」

「……妹?私に妹なんていないわよ?騙されてるんじゃない?」

「え?そ、それじゃ本当にあの人が……本当に先生の?」

 写真の美少女が妹じゃなかったの!?
 それじゃ、あの子は誰?

「あははっ、嘘よ、嘘!あれは私の可愛い妹だから。単純な嘘にひっかかってばかりね」

 ホントにややこしいからそう言う嘘はやめて欲しい。
 こっちは真剣に悩んでいるんだからねっ!

「……美鶴さん、恋する中学生を苛めて楽しいですか?」

「うん、それなりに。真っすぐで可愛いじゃない」

 笑顔で答える美鶴さんは本当に悪魔に見えた。
 ぐすっ、もうこの人、本当に信じられないよ。
 でも、ちゃんと可憐さんの家を教えてもらう事ができた。
 どうやら、向かい側のマンションに住んでる大学の同級生らしい。

『大河と可憐さんはマジで怪しい雰囲気よ。これは冗談ではなくね』

 と、美鶴さんいわく親しい女性らしい。
 ……もう信じないから、美鶴さんの言う事なんて。
 どうせ、ただの知り合い程度にしか仲良くないんでしょ。
 さすが2度同じ手をくらう私ではない。
 私がその人の部屋に入るわけにもいかないのでちょっとだけマンション前で待つ。
 やがて、先生がそのマンションから出てきた。

「さっすが、大河クン。頼りになるわ」

「……都合よく利用されているだけの気がする」

「気のせい、気のせい♪本当に頼りにはしてるんだからね。……あれ?」

 そして、私と目が合う女性。
 この人が可憐さんらしい、仲はよさそうだ。

「……梨紅ちゃん?」

「この子が大河クンのカテキョの子?可愛いじゃない」

 彼女がこちらに近づいてきて笑みを見せる。
 今度こそは先生と本命的な仲のよさを見せる人な予感がする……大ピンチ!?

「はじめまして。私は桜塚可憐よ。大河クンの友達なの」

「……どうも。大河先生とはどういう関係ですか?」

 余計なことは言わず、私がストレートに聞くと彼女は答えてくれる。

「私と大河クンは同級生で友達の関係よ。別に同じ部屋にいたから一線越えたわけでもなければ、越える予定もない間柄だから余計な心配なくてもいいからね?下手に勘違いされて恨まれるのは嫌だから」

「本当にですか?」

「本当だってば。それにこのヘタレな大河クンに何かできるとも思えないじゃない」

「それは確かに……」

 それは納得できるけど気に入らないの。
 大河先生はいつものように「そこに同意されている俺って……」と嘆く。
 他人にヘタレと言われたくなければそれだけの努力をすればいいのよ。
 でも、先生からヘタレ属性とったら可愛くなくなるから個人的には嫌だ。

「さっきの電話ってキミだったんだ?大河クンって女の子の扱いが幼稚園児並に下手だから困るわよねぇ。鈍感過ぎると言うか気遣いが妙な所で足りてないっていうか。基本的に良い人間ではあるけど、時々苛立たせるタイプの人間ね」

「俺ってそんなに嫌な奴だったのか?」

「自覚ないの……?」

「そんな今さら?的な表情で言われるとは思わなかった」

 うなだれる大河先生に私は慰める。

「いいんだよ、大河先生はヘタレでいいの。ヘタレじゃなければ先生じゃない」

「その慰めが余計にキツイっす」

 止めを刺してしまったらしく拗ねた先生はマンションへと帰ってしまった。
 大河先生のいなくなった後に私は最後の確認で可憐さんに尋ねてみる。

「……先生の事、気に入ってますよね。好きにはならないんですか?」

「ふふっ。彼の手前、そうは言ったけどどうかしら?人の気持ちなんてきっかけでいくらでも変わるものじゃない。未来永劫、ないとは言い切れないわ。でも、梨紅ちゃんが大河クンの事を好きなら、私は応援してあげるわよ?」

「私にそう言った人は意地悪したりするのであまり信じられません」

 可憐さんは「私は美鶴さんじゃないから」と苦笑する。
 個人名を言わなくてもすぐに分かる美鶴さんって……。

「それじゃ、まずは近いバレンタインデーの話かな。彼の好みは甘い系のチョコよ。間違ってもビター系なんてあげちゃダメだからね?彼ってビター系は大嫌いだからさぁ。私も義理で用意しておこうかな。梨紅ちゃんもがんばってね」

 嘘~っ、買ってきたのはビターチョコレートなんだけど、どうしよう!?
 
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