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第6話

1000アクセスを超えました。

田中の乗った高級セダンがスロープを下る少し前、福岡の「イーター対策本部」の研究所内のあるラボで………………


「ねぇ、先輩?本当にこのH1N1亜種株の中に、犬に感染し凶暴化させる突然変異体が混ざってると思います?」

若い研究者はマニュピレーターを操作しながら、先輩に話しかけていた。


「グズグズ言わずに、培養を続けなさい!

ユタ州の科学者が偶然に変異体を産み出したと説明を受けたでしょ?」

額に汗を滲ませマニュピレーターを操作しながら、質問をした若い研究者と幾つも年の変わらない先輩は答えた。


「あんたも、4日前のあの説明会で記録動画・・・・・・見たんでしょ?」


「見ましたよ!まるでB級ホラーでしたよね?

「人」がゾンビになって人を襲って喰うんですから。マジで…人肉を食ってるところなんか・・・・」


「それなら、その後の捜査官の話しも聞いたわよね。わずか半日で人口3000人の街を・・・・・

気化爆弾で吹き飛ばさないと感染を止めれなかったのよ!

派遣された数百名の陸軍部隊も、この株を持ち出した特殊部隊2名と科学者の助手名1以外全滅だったのよ!・・・

でも、聞いた限り助手の方は、助かったとは言えないと思うけどね」


眉間にシワを寄せながら、思い出すのもはばかると言う感じでメガネを外しながら、目頭をキツく揉んでいた。


「助かったとは言えないって微妙な言い方ですね。

ネェ、先輩。その助手さんの説明の時は、僕達は追い出されたけど、先輩は残されてましたよね?どんな説明だったんですか?」


「う−ん……。

どうせ一段落するまで外には出して貰えないんだし……

まぁ、説明した方が安全かもしれないわね。


助手の人なんだけど…



どうも、「ゾンビ」みたいなのよ。

だいたい1時間に一度だけ1分程度心臓が動くらしいんだけど、脳波を含めてそれ以外の反応は皆無らしいわ。」


「先輩!!そ、その助手って、隣のバイオメディカルルームに居てるんでしたよね?

壁一枚離れたところに、「ゾンビ」が居るんっすかぁ?」


「そうなのよね。私達のチーム。

主任が休みでしょ。

私が代理になっちゃったんだよね。

何せ隣でしょ。

何かあった時に知らないと対処出来ないしね。」


緊張感なく両手を挙げて「仕方なでしょ、業務命令なのっ!!」

「私達のH1N1亜種株からの変異株の特定と変異過程の追求とワクチン作成。ゾンビそのものからの抗体やワクチンの作成。

手段は多い方が確実でしょ?

ゾンビは、ベッドで完全拘束してるから大丈夫よ」


「そりゃぁ、そうでしょうが…なんか、ヤバい感じがしません?


でも先輩、対処っていったってどうするんですよ。

映画じゃないんですから……僕達は鉄砲持ってませんよ」

後輩は完全にマニュピレーターを放り出して、興奮した様子で迫っていった。


「大丈夫よ。自衛隊の隊員さんが沢山居てるでしょ?デッカい鉄砲持って!いざなったら、バキューンと一発よ」と先輩は笑いながら右手を銃にして後輩を撃ちながら


「きゅうけ〜い」と言い、コーヒーメーカーに向かって行った。


二人は休憩スペースでのんびりとまったりしながら


「先輩は今日で3日も詰めてて、ほとんど寝てないっしょ?

今日は僕が変わりますからゆっくりと寝て下さいね」


「本当に?

ありがたいわ。

柊博士は人類の為に早く見つけなければとおっしゃるんだけど、こっちも生身んだからね。

正直寝ないとね〜」


「そうっすよ。もう上がって下さい。」


それから暫くして、彼女が準備を整えてラボから出ようとした時に内線がなった。


後輩が手で出て行ってと合図しながら


「ハイ、第3ラボ。山形です。有紀先輩っすか?有紀先輩は上がりました。はい、3日も詰めてたんです。」


肩をポンポンと叩かれ、後輩の山形が顔を向けると先輩の有紀が電話を貸せと手を伸ばしていた。

「代わりました。西尾です。いえいえ、遠藤博士こそ大変でしょう。

これがなければ4ヶ月ぶりにご自宅にお帰りになれたんですから……

え・ええっ?!

まぁ…………はぁ〜私で良ければ………はい……

はい、3分後にドアの前ですね。わかりました。」


電話を置き、有紀は大きなため息をついた。


「先輩?どうしました?」


「採血に行く羽目になっちゃった。」


「さ・採血?バイオハザード?っすか?」


「違う・違う。お隣のゾ・ン・ビ・の採血。 

看護部が全員嫌がってたのは聞いていたんだけどねぇ………

ずっと遠藤博士が採血してたらしいんだけど…昼間に階段から落ちて…右手が使えないらしいわ。

博士が3日間やってるけど特に危険は感じないそうだし……博士も同席だしね

死んでるのに採血って言うのも変だね。」


努めて明るく話そうとはしながらも、有紀の顔は真っ青で引きつっていた。

流石に山形も代りますとは言えず。


「でも……他にも、柊博士とかキャサリン博士とかいるじゃないですか!何も先輩じゃなくたって……」


「柊博士達は来客だそうだし、まぁ、今日のラストオーダーってことかな?」


有紀が内線を気にしないでドアから出ていれば…

山形が勤務を交代せず一人で作業をしていれば…

もしくは、山形が採血に行っていれば…


遠藤博士が怪我をしていなければ…


田中達の飛行機が1本遅ければ…


この世に地獄は現れなかっただろう……


全ては


必然性のある偶然なの


神々の思し召しなのか


悪魔の気まぐれなのか


人類は……未知の恐怖と遭遇することになる。



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