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第38話 拡散10 本部壊滅

よくよく考えたら、やっぱり主人公の田中さんが殆ど登場してなんですよね・・・

もう少し拡散編(いつの間にか『編』扱いしてます)にお付き合い下さいね。

襲われた直後の本部 


「駄目だ!突破される!

向井、堀内、井川 下がって防衛線を張るんだ!急げ!」


本部警備班長の志村曹長が銃声に負けないように大声で叫んでいた。


「了解!」


向井と堀内が交互にM870(ショットガン)を乱射しながら後方に後ずさりを始めた。


本部中央あたりで両名は装填されている散弾を撃ち尽くした。


「リロード」と叫び、M870をひっくり返して腰の弾薬ポーチに手を突っ込み散弾をつかみ出して装填を始めた。


タン・タン・タン!・タン・タン・タン!・タン・タン・タン!・タン・タンタ・タン!タン・タン・タン!


向井と堀内がリロードしている間、志村と井川が89式の3点バースト(点射)でゾンビに対して発砲していた。


「これだけか?志村!」


ゾンビに向かってP226を撃ちながら、岩永が志村の横の位置にサポートについた。


「この4名だけです。ゾンビの数が多すぎます。まだ20体近くはいてます。さらに、襲われた本部員達もチラホラと奴らの仲間入りが出てます。」


「リロード」


今度は、志村と井川が89式の弾倉を床に落としながら、胸の前にあるポーチから新しい弾倉を引っ張り出して銃に装填した。


「2階に上がりましょう!2分はここで食い止めますから、3尉は残りの本部員をつれて2階に行って下さい。2階についたら我々が上がる援護をお願いします。」


「本部員!2階に上がれ。銃と弾薬以外はいらない!急いであがれ!」


青島や黒瀬などの本部員で生き残っている者が2階への階段を駆け上っていった、最後尾の岩永が2階に上り、1階の援護を全員に指示し拳銃を向けると


「ぐぅわっぁぁぁぁぁ」


向井が2体の感染体に飛びつかれた瞬間だった。


「向井!」


井川が向井を助けようと動きかけた瞬間に、向井と向井を襲った感染体は堀内が放った散弾に身体を貫かれていた。


「2曹(井川)間に合いません!」


堀内が悲壮な顔で、向井を撃ったあとに次の対象物に銃口を向けていた。


「堀内!次のリロードの時に上に上がれ!

次は井川!最後は俺が上がる、もう少しだ。耐えるんだ!」


「リロード」


堀内は、一言叫んで2階に駆け上った。


「わぁぁぁぁ。噛まれた!」


井川が噛まれながらも、89式のストックで噛み付いた感染体を殴り倒していた。


「班長!先に上がって下さい。俺がギリギリまで階段前で粘ります。最後は楽にして下さいね!」


「了!任せたぞ!」


志村も2階に駆け上っていった。


「クソッタレが!」


井川は右手に89式、左手にP226(自動拳銃)を持ち目に入る感染体に次々と発砲していった。


カチ!


カチ!


89式とP226を全弾撃ちつくしたところで、井川は腰の銃剣用のナイフを引っ張りだして、感染体の群れに突っ込んでいった。


「おりゃぁぁぁぁぁ」


2体の感染体の頭部にナイフを突き立てた後に、井川は絶叫を残して感染体の群の中にしずんでいった。


「クソッ!・・・・・」


見下ろすしか成す術もない2階の岩永は手すりを叩いていた。


「堀内!上り口を警戒!M870なんだから、出来るだけゾンビがまとまった時に撃てよ!残弾にも注意するんだ。

2尉は?青島2尉は?」


「ここだ。助かったよ、志村曹長。2階なら階段を上がらないと駄目だから何とかなるだろう?

さっきから、無線がダメになっていて救援も呼べないんだ。」


「そうですか。救助がないのはキツイですね。何名ですか?2階に逃れたのは・・・・・」


「俺と岩永、黒瀬、高柳、墨田の5名だ。」


「わかりました。まずは、弾薬の確認をしたいのでそれぞれのスペア弾倉を一箇所にまとめて下さい。

私は、堀内のバックアップに付いてます。2分でお願いします。」


志村は、この短い会話の間に4発の発砲音を確認しており、かなりの数の感染体が階段に取り付いていることが手に取るように感じられていた。


「堀内!替わるから、少し後方で休め!」


「了解。ありがとうございます。どんどん登ってきます。最初は蹴り飛ばしてたんですが、足をつかまれたら洒落になんないんで・・・」


「わかった!それと2尉に他のメンバーの弾薬を確認してもらっている。散弾はあとどのくらいある?」


堀内は弾薬ポーチに手を入れて、散弾を数個ずつ引っ張りだして残弾を確認した。


「12発です。M870に3発残ってますから・・・計15発ってことになります。9ミリ(P226)のスペアは2本、銃に1本です。

班長の89はどうなんですか?」


堀内は、M870に散弾を装填しながら答えた。


「最後の弾倉だ!(30発)9ミリもスペアは1本しかない。P226も既に何発かは撃ってるから。20数発ってところだな。」


「2尉んところに確認行ってきます。」


「了解!来やがった!」


階段の登り口に2体の感染体が取り付いて階段を登り始めていた。志村は、感染体が階段の中ほどまで来るのを待ってから、先頭の感染体の額に5・56ミリを打ち込んだ。うま旨い具合に後ろの感染体を登り口に取り付いた感染体を巻き込んで落ちて言ってくれた。


「弾さえあれば当分は何とかなるか?」


堀内が戻ってきて、弾薬の状況を報告した。


「班長!2階のメンバーの残弾ですが・・・・ダメです。墨田は銃すら持ってませんし、高柳と黒瀬さんは2~3発銃に残っているだけです。

岩永さんは、最後の弾倉を入れたばかりだそうです。2尉も5発くらい撃ったとのことでした。」


「そうか・・・・・。よし、黒瀬と高柳の銃から弾を抜いて2尉のマガジンに入れてそのマガジンを岩永3尉のスペアにするんだ。あまりは俺の銃に入れるから・・・

この先は、俺とお前を岩永3尉の戦闘員で切り抜けるしからな。」


「了解ですが、1階のゾンビの数から言ってもギリギリっすね。何か、他の手を考えなきゃだめっすね。」


あきらめ気味に堀内に志村はヘルメットを叩きながら、


「上にいてりゃ、最悪は上がってきた奴らを蹴り落とすだけでも当分は何とかなる。まずは、弾薬を整理して、岩永3尉と俺たち二人で順番に上り口を警戒するんだ。わかったら、指示通りにするんだ。まずは、お前が休憩しろ、岩永3尉を呼んでくれ。」


1分もしないうちに、岩永が志村の隣にやってきた。


「堀内から聞いたよ。曹長の方法しかないだろうな。堀内は向こうで休ませているから、君も少し休んでくれ、ここは俺が見ているから。」


「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて少し休憩させてもらいます。」


疲れきった身体を引きずるように志村は堀内の近くにいき、ドカッと通路にへたり込むように座り込んだ。


「岩永。俺も手伝うよ。」


青島がこうもり傘を手にしながら現れ、こうもり傘で槍を突つくような仕草をして苦笑しながら


「ないよりゃぁましだろ?誰かの忘れ物みたいだ。隅に転がってたよ。2階からなら、これで感染体の目ン玉でも突っつきゃ、死なないまでも、1階には転げ落ちるだろうよ。」


「県庁の本部には連絡はついたのですか?」

「ああ。一応はな。今頃SATに扮した、西部方面普通科連隊の連中が100名ほどこの地区に投入されているはずだ。

さらに、第一空挺も200名ほどがこの地区の外回りを軽装甲機動車で警戒に入る予定だから、多少の犠牲は出るにしても・・・・何とかなるだろう。」


「2尉!こちらに・・・見てください。入り口の方です。」


ぼんやりと2階から1階の感染体を眺めていた黒瀬が叫んでいた。


呼ばれた青島は。その場で立ち上がって入り口の方向を見ると、そこには、感染体と化した田坂がボンヤリと立ち尽くしていた。


あ~あ、たいして指揮能力もないのに上昇志向だけで任務を引き受けるから罰があったんだよな、まぁ、同期がどんどん出世していくんだから、エリートにはたえられなかったんだろうな。


青島は、エリート面して怒鳴るだけの命令しか出来なかった田坂を哀れみの眼で見た。


「ん!おい!そこの者!危ないぞ!気をつけろ!」


普通に歩く人間が2名、本部内に入ってきたのを発見して青島は大きな声で注意をした。しかし、同じように1階を眺めている黒瀬からは大型モニターが死角になり見えていない様子だった。

青島の声に反応したのは周りの感染体だけであった。感染体はその2名には脇目も振らずに、叫んだ青島を求めるように2への階段に殺到し始めた。


何故か、叫んだ青島は自分の背筋がゾッとするのを感じて、それ以上声を出すことが出来なかった。


その時、岩永は数度目の感染体の上昇をこうもり傘を使い退けており、以外に使いものになるこうもり傘が気に入り、P226自動拳銃を通路の置いたままで感染体を階段から落とす作業に必死になっていた。


何とか声を出そうとした青島は、普通に歩くゾンビが視界から消えた瞬間にやっと声を出すことが出来た。


「曹長!至急こちらに来てくれ。」


志村と堀内が疲労した身体を引きずるように青島の元に近づいてきた。


「2尉、何かあったんですか?」


志村が89式小銃の安全装置を解除しながら1階と青島を交互に見ていた。


「いや、見間違いじゃなんだが・・・・その・・何というか、普通に人が歩いて入り口から入ってきたんだ、2名。それが、感染体はそいつらに見向きもしなかったんだ。」


堀内が手すりから乗り出すように1階を覗き込みながら


「それらしいのは見えないっすね。全部、見慣れた感染体です。2尉の見間違いじゃないんですか?」


堀内はもっと奥を見ようとして、さらに身体を手すりから乗り出して1階を見下ろしていた。


「2尉。疲れてんじゃないですか。やっぱり見えないっす。

おーい!のろま!ここまで来て見やがれ!へへっ~と、届くもんかよ!馬鹿ッたれが!もっと弾さえありゃ、ここから喰らわしてやんのによ!」


調子に乗った堀内は、右手を突き出して中指を立てながら、感染体をおちょくるように威嚇していた。


少し離れた場所から同じように1階を見下ろしていた黒瀬は堀内の方に目を向けて注意をしようとした。


「堀内!落ちるとやばいから、いい加減にし・・・・」


黒瀬が言い終わる前に、堀内の足元からいきなり人が現れて、堀内の頭を鷲掴みにしまるで猫を放りなげるように、やすやすと1階に放り投げた。


「う・・・わぁぁぁぁぁ。・・・痛たたたた。クソッたれ!えっ?」


既に堀内の周りには感染体は波のように押し寄せて来ていた。


「離せ!クソッ!離しやがれ!」


ズドン・ズドンと堀内は自分に近づく感染体に対して滅茶苦茶にショットガンを乱射し始めた。数体の感染体は散弾に弾き飛ばされたが、四方八方から伸びてくる感染体の手・手・手。

あっという間に堀内は感染体に飲み込まれるように消えかかり、僅かにM870の銃身だけが突き出ていた。


「いでぇぇぇぇぇ~~。はなぜぇ~。ぎゃぁぁぁぁっ!」


断末魔の叫びとともに、痙攣を起こした堀内の人差し指は引き金をひいてしまいM870に残された最後の散弾を発射してしまった。その弾丸は、堀内を心配するように2人で1階を覗き込んでいた青島と志村の頭を一瞬のうち吹き飛ばした。


「何だ!こいつは!クソッ。離せ!離せ!な・なんて力なんだ。」


志村と青島の頭が吹き飛んだ時、階段で感染体が登ってくるの阻止していた岩永は突然凄い速さで登ってきた感染体に咄嗟に反応が出来ずに、組ふされる形になり、格闘技で言われるマウントポジションにいるゾンビに必死に抵抗していたが、あっという間に喉笛を噛み千切られていた。


岩永を襲った感染体。それは、雛形を祖とする感染体の1体であった。感染体は恐ろしいほどの速さで岩永の喰いちぎり、その肉を咀嚼し始めた。

その横を、ふらつきながら階段を登ってきた感染体が横切り、怖で立ちすくんでいた高柳と墨田に向かって、両手を突き出しながら迫っていった。


反対側に位置していた黒瀬は、咄嗟に逆方向に逃げ出したが数歩と走らないうちに何かにつまづくように転んでしまった。

恐る恐る、自分の足元を見た黒瀬は信じられない物を見たかのように大きく目を見開いていた。通路の横から手が伸びてきて黒瀬の足首を掴んでいるのである。


「何なんだ。2階だぞ。3メートの高さなんだぞ。どうやったら手が届くんだよ。」

叫びながらも、掴まれていない方の足で必死に掴んでいる手を蹴り飛ばしていたが、掴んだ手は怯むことなく、逆に黒瀬の足をどんどん強く握りはじめた、ブッシュュュュ~という音がした途端に黒瀬の足が握りつぶされ血飛沫が散った。


「ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」


握りつぶされた足を、信じられないという目で見ていた黒瀬は更に信じられないものを見ることになった。空中に感染体の顔がでてきたのである。

黒瀬には分からないが、正確には黒瀬のいる2階通路の底(1階から見た場合には天井)に、感染体は張り付いたようにくっついていたのである。

感染体が、2階通路に身体全体を現した時には、大量の出血と理解出来ないものを見たことによって黒瀬の神経は破滅していた。


「キャハハハハ!キャハハハハ!」


痛みを感じることなく喰いちぎられる黒瀬は、ある意味、幸せ死を遂げたのかも知れない。


「来るな!来るな!」


感染体に詰め寄られて、通路の一番奥まで下がっていた高柳と墨田は壁を背に必死に足蹴りなどで抵抗していた。


「うわっわわわわわ!」


「や・止めろ。お前・・何考えてんだよ。止めろよ!」


いきなり、墨田が高柳を感染体に向かって押し出し始めた。


高柳は必死に抵抗しているが、墨田は突き当たりの壁を梃子のように利用して高柳を感染体の方に力いっぱい押していた。


「あんたが、あんたが、犠牲になってくれよ!その間に俺は逃げるんだ!」


「や・止めろってば・・1人じゃ逃げれないって・・・」


「うるさい!死ねぇぇぇぇぇ~~」


墨田は、一瞬押す力を弱めることによって高柳のバランスを崩さし、転じて一気に押すことによって、感染体に高柳をぶつけて2体の感染体もろとも押し倒すことに成功した。


墨田は他の感染体は動きが鈍く壁や手すりにぶつかりながら近寄ってきており、目の前の感染体を高柳を使って阻止できれば、何とかかいくぐれば助かると判断したのだった。


目論み通りに、感染体をかいくぐった墨田は、死んだ志村のもとに駆け寄り、89式小銃とP226拳銃を奪い、近寄る感染体を撃ち殺し、階段に群がる感染体には2階の感染体に体当たりを食らわし階段から落とすことによって将棋倒しの要領で感染体の動きを封じながら2階から1階に向かった。


1階に飛び降りて、出口から通路に出た瞬間に墨田は脱出が成功したことを確信した。


後は、走って、どこかで部隊を探すだけだ!やった!俺は生き延びた。


走り出した墨田の頭上から、1体の感染体が天上から落ちるように飛び降りてきた。墨田はまともに感染体と正面衝突し突然の衝撃に驚いている間に、感染体の右腕に身体を貫かれていた。


「嘘だろ。ここまで生き延びて逃げのびたのに・・・・・・・」


この脅威の感染体は、その後に偶然にも次なる獲物として小沢が率いる班を襲ったことで、全員が葬られることになったことは既にご存知であろう。




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