第36話 拡散9
あけましておめでとうございます。
昨年はご愛読ありがとうございます。
新年1発目の更新は山田さんでスタートです。
本年もご愛読 宜しくお願い致します。
うさぎが跳ねるように飛躍出来る年にしたいですね。
「聞いたか!姫のオーダー通りにいくぞ!渡!ついて来い!」
指示を出すや否や、石原はククリを鞘にしまい、感染体の群に歩み出した。
「おい!さすがにあれは無謀じゃないか?松田。」
俺は、武器を鞘にしまい感染体に歩みよる2人と松田を交互にみながら、MPー5を構えて数歩前に出た。
「まぁ、見てて下さい。四神って由来がわかりますんで。」
松田は、毛利のMPー5の銃身を軽く押し下げながら言った。
石原と渡は通路の左右に広がり、手を伸ばしてきた感染体の背後に周りこみ、背中を蹴り飛ばした。
蹴り飛ばされた感染体は、小沢の数メートルのところに転がり、既に蹴り飛ばした人間のことは忘れたかのように、小沢を喰らわんとして起き上がっていた。
石原と渡は、感染体に掴みかかれないように注意をしながら、1体1体を巧みに後方蹴り飛ばしていた。
「いらっしゃーい!」
小沢が舌なめずりをしながら、2体の感染体を迎え入れた。
右手の感染体の頭部にハイキックを浴びせ、そのまま左足を軸に回転しながら、右手をしなるように振り抜いた途端に、感染体の顔半分が砕けたように変形した。2体の感染体はそのまま床に倒れ込み永遠の死を向かえた。
石原と渡は巧みに感染体に当て身や蹴りを入れて後方に弾き飛ばしていた。
「次!」
汗一つ流さず小沢は次に近づいてきている感染体に挑んだ。
今度は、感染体の正面に構えて右足をやや後方に引き、正拳突きの構えから目にも止まらぬ速さで感染体の顔面に正拳を突き入れた。
感染体の顔面が一瞬凹み、衝撃はそのまま後頭部を突き抜け、まるで銃弾で撃たれような裂傷が出来ていた。
次の感染体に対しては、突き出して来ている右手を掴み逆関節を極め、柔道の一本背負いのように投げながら腕をへし折り、頭を地面に叩きつける瞬間に頭部にローキックを入れた。
「陸奥園明流『雷』ゆずぽんバージョン!!」
小沢は余裕綽々に必殺技のごとく、ポーズをとっていた。
アメリカ軍の特殊部隊が……手こずった相手を、マンガの技を使って殺ってやがる!
アメリカ軍の奴らがみたら、これぞ!オリエンタルマジックって騒ぎ立てるんじゃねえかよ!
守るもくそもねえよな。そもそも銃なんざぁ、必要のない闘い方じゃねえかよ!
毛利はあっけに取られていた。
あっという間に4体を葬った小沢は、とうとう石原や渡と同じ位置まで前進して、感染体に襲いかかっていた。
おい!おい!感染体に襲いかかる人間がいて、どうすんだよ!立場が逆になってんじゃねえかよ!
毛利が呆れているところに
「人がこちらに歩いて来てます!保護します!牧田!フォローしろ!」
沖田が小沢達が感染体を襲っている方向とは逆の方向から歩いてくる人影を発見していた。
毛利は、沖田の報告が耳に入り何気なく沖田と牧田の行動を目で追っていた。
彼等が保護に向かった方向には3名の人間が此方に向かって歩いて来ていた。
何か変だな?こんな状況だってぇのにやたらと冷静というか、無防備に歩いてるぞ?でも、感染体の歩き方とは違うようだしなぁ。しかし嫌な予感がするな。
「沖田曹長!」
声を張り上げて注意を掛けようとした時、保護に向かった2人は既に3名とは10メートルを切る距離であった。
ユラッと3名が揺れるような動きをしたと思った瞬間に、3名はオリンピックの短距離選手並みの速さで駆け出して、沖田と牧田に近づいたと思った瞬間に、2人の首に空手の手刀のような感じで右手で斬りつけた。
「!」
毛利はMPー5を3名の方向に向けながら叫んだ。
「秋葉!舘!神田!逆方向注意! 新手かも知れん。ちっと感じが違うぞ!」
「確認!見てました。沖田を襲ったと言うことで敵対勢力と判断します。」
舘のS&W M686から連続で3発の357マグナム弾が発射されたが…着弾する間際に3名は弾をよける動きをした。
「クッ!弾丸をよけるって…人間技かよ!神田!お見舞しろ!」
舘が愚痴ると同時に神田はAA−12をフルオートで打ち出していた。僅か10秒足らずの間にドラム弾倉内の32発のダブルOバックの散弾が3名に襲いかかったが、僅かに1名の身体を貫いたただけだった。
「ウ、ウソ〜。壁を這ってるってか…壁を走ってるぅ〜」
そう、秋葉の言う通り、散弾の嵐をかいくぐった2名は人間技とは思えないスピードで壁を伝って走ってきているのであった。
タン・タン・タン 秋葉が放った5・56ミリ弾は1名の腰から足に当たり壁から落ちた。
壁を走りきったもう1名は、舘と神田の2メートルほど手前に着地し、ゆっくりと顔を挙げた。
舘と神田を真っ直ぐに見つめる目は白濁しており、口を開きながら2人に飛び付いてきていた。
「感染体だ!」
神田がいち早く反応して、迫る感染体に回し蹴りを浴びせていた。
カウンター気味に入った蹴りは見事に感染体の顎を捉え、感染体は数メートル吹き飛んだ。
「やったか?」
舘が拳銃をホルスターに直しながら神田に怒鳴った。
「いや!手応えが軽い。まだ、来るぞ!」
言った矢先に、感染体は跳ね起きて2人に向かって飛びかかってきた。
今度は舘が飛びかかる感染体を紙一重でスウェーし、すれ違い際に渾身の右ストレートをこみかみにぶち込んだ。
感染体は壁に激しく叩きつけられて、頭から大量の血液を吹き出しながらも起き上がり、まだ襲おうと身体を捻るように、舘に飛びつこうとした。
そこに、狙いすました神田の踵落としが感染体の脳天に突き刺さり、感染体の息の根を止めた。
「走ったり、超人的な動きとか……こいつら進化してるのか?」
神田が倒した感染体を見下ろしいた時、いきなり強烈な体当たりをくらった。
「危ない!」
秋葉が叫んびながら89式を構えたが既に遅かった。
神田の首には、先ほど襲われたばかりの牧田が喰らいついていた。
「ま・き・た?…た…ひめ……」
神田は最後の力を振り絞って、牧田だった感染体の首に腕を巻き付けてへし折った。同時に首を咬み千切られた神田は絶命した。
舘もほぼ同時に沖田だった感染体に飛びかかられたが、ギリギリでかわすことが出来た。
舘を飛び越した感染体は、丁度秋葉の構えている銃口の目前に飛び出す形になり、3発の5・56ミリを顔面に浴びた。
秋葉が壁から引き剥がした感染体は、毛利によって10発近い9ミリ弾を頭部に撃ち込まれていた。
「な・な・何なんだよ。走り出されたら……マジでヤバイぞ。壁を走れるなんて……どんな運動能力なんだよ!」
毛利は走る感染体が現れた方向を警戒しながら、誰になく聞いた。
「グッ…ガハッ!」
「おい!何やってんだ!」
松田が、3本手鉤(但し鉤の部分が尖った槍状になっいる)で舘の頭を貫いていた。
「舘さん。感染してます。首んところの傷……沖田さんの時にひっかかれたみたいです。」
舘の首には、腐りかけた傷があった。
「毛利さん!こちらは簡単に片付きましたよ!
神田!牧田!……舘!お・沖田曹長?
どうしたんですか?何があったんですか?」
「走るんだ……オリンピック選手並みに速い上に壁を走りやがるんだ。忍者みたいに……」
「何を寝ぼけたことを言ってるんですか?毛利さん?」
タン!
1発の銃声が起こり。秋葉の89式から硝煙が上がっていた。
首を喰い千切れた神田が感染体として蘇ったところを秋葉が撃ったのだ。
「姫!撤退して下さい!松田!姫を頼むぞ。」
いきなり、石原が小沢を松田の方に突き飛ばした。
「な・何よ!石原!」
小沢が石原に文句を言いかけた時には、石原と渡は手に得物(ククリナイフ、日本刀)を持ち、通路の奥を睨み付けていた。
其処には8体の感染体がいた。
3体が通路に立っており、5体がヤモリのように壁に張り付いていた。
そう、理由は定かではないが雛形を祖にした感染体は恐ろしいほどのスピードと、どうやら、協力して狩りをする能力を持っている様子であった。
「石原さん、俺も闘います。」
松田が3本手鉤を胸の前にし、前方を直視しながら言った。
「駄目だ!お前は生き残らなきゃ駄目なんだ……神田や舘が殺られたんだ、この感染体は普通じゃない。
姫、どうやら四神も年貢の納め時みたいですわ。もう……我がままは辞めにしましょうや。
この先は松田……と添い遂げて下さい。
あいつは、ずっと姫一筋ですから……
姫のことを一番良く知ってる男です。親父さんの言葉と思ってくだせぇね。
松田!ぜってぇ、姫を守り抜くんだぞ!
毛利さん、お嬢ちゃん、悪いが、ギリギリまで援護射撃お願いしますわ。命に代えても、奴らは全部仕留めますから………。」
2人は通路の奥に進み始めてた。
「秋葉!左」
「了解!」
毛利と秋葉はお互いに左右の壁に張り付く感染体を狙って射撃を開始した。
しかし、ヤモリみたいに吸盤があるわけでも無いのに……どうやって壁にくっついてるんだ?
壁に張り付いている感染体は短時間に恐ろしいほどの進化を遂げていた。両手、両足の平にミクロいやナノに近い体毛がびっちりと生え揃い、まるで蠅のように壁に身体を固定しているのである。
毛利と秋葉の射撃は的確に感染体のいた場所に着弾していたが、着弾するのを見越しているように寸でのところで感染体は上下のどちらかに移動し弾丸から逃れていた。
「秋葉!バーストなら、上下も同時に撃つんだ!」
そう言いながら、毛利はMPー5の射線を感染体を中心から盾に変更して、何も考えずに銃口を上下に振った。
射線を上下にする方法は見事に効をそうし、1体の感染体の顔に数発の9ミリ弾が吸い込まれていった。
毛利の射線を習い、秋葉も感染体に対して縦に発砲を始めた。
元々、射撃の腕前は毛利が逆立ちしてもかなわないだけあり、瞬く間に左手の壁に張り付いていた感染体を撃ち落とした。
「な!何んだ」
毛利が担当していた右側の壁を這っていた感染体残り2体が、1体は天井にもう1体が通路に降り立ったのだ。
「毛利さん、新手です。」
通路を歩いていた3体から分離するように、更に3体が現れた。
「くそったれ!通路の奴ら、重なってやがったのか?
えらい知能が発達してやがるぞ!
秋葉!まずは天井の奴を殺るぞ!
左手から斜め下をてぇ~」
毛利が感染体に対して感染体から右方向の横軸に射線を取り、MPー5から9ミリ弾をバラまいたところ、予想通りに左に回避仕掛けたところに秋葉の5・56ミリ弾が襲いかかった、数発を右肩に喰らい天井から落ちたところを見事に秋葉の斜め射線の銃弾が感染体を貫いた。
毛利と秋葉が天井の感染体にかかっている間に、通路では壁から降り立ったた感染体と3体の影から飛び出した感染体の1体が合流して2体の感染体と石原・渡が対峙していた。1体は先程別れたばかりの藤波隊の一員であった。
「藤波隊も全滅か。俺が先に立つ。」
渡が、石原より数歩前に進んだ。
刀を鞘にしまい若干腰を落とし、左手で鞘を握り右手で刀を握り締めている。居合い抜きの構えであった。
2体の感染体がほぼ同時に、渡に襲いかかった。
チン!チン!と甲高い金属音がしたと思った瞬間に2体の感染体の首が胴体からズルッと滑り落ちた。
「あと、5体!」
2体の感染体が驚くほどのスピードで渡に迫っていた。
チン!と先程と同じ甲高い金属音がしたが、感染体の首は落ちずに、右手首が1つ落ちていた。
「ちっ!」
舌打ちをしながら、後方に飛び下がった。
感染体は切られる瞬間に右手で刀を払い、天井に飛び上がったのである。
後方に下がった渡に対して、2体の感染体が壁を蹴飛ばしたスピードに落下スピードが加わり、信じられないスピードで渡に襲いかかった。
渡は迫り来る感染体に対して、右手斜め下からすくい上げるように刀を薙ぎ、1体の頭部を斜めに切り裂いたが、スピードに乗った感染体身体からの抵抗力が次の1体の頭部に刃が届くのを阻止し起動を変えてしまった。右肩から左脇腹を切り裂いてしまったのだ、喰らいつこうとしていた感染体の引き裂かれた上半身が渡に飛びかかる格好になり、感染体の開かれた口は偶然にも吸い尽くように渡の肩に当たった。
「ぐわぁああああ~」
渡は右肩から血飛沫を振りまきながら、感染体共々通路に転がった。
ガッチリと渡の右肩に噛みついる感染体は更に強く噛みつき、渡の右肩の肉をごっそりと食いちぎった。
「く・くそったれ~」
刀を杖に立ち上がった渡は、ヨロヨロと感染体に近づいて、その額に刀を突き立てて……
「松田!姫を頼んだぞ!」
一声叫びながら、腰のホルスターから拳銃を抜き、おもむろにに口の中に突っ込み、引き金を引いた。
その時、 石原は他の2体と対峙していた。
何だ?こいつらは!噛みつこうとはせずに…手刀で首ばかり狙って来やがる
毒づきながらも石原は、右の感染体の手刀をククリで防ぎながら、左の感染体の脇腹にミドルキックを浴びせていた。
左の感染体が大きくバランスを崩した瞬間に、石原は右の感染体にズイッと接近し、両方のククリナイフを交互に薙いた。パックリと首が開き、そのまま首は胴体から落ちた。
落ちた首の位置から、他の感染体の抜き手が飛び出してきて、石原は後方にバク転をする要領で避けながらも、抜き手の肘を蹴り潰していた。
ククリナイフを構え直した石原は、予想外の展開に我が目を疑った。
後方に控えていた1体が、一瞬の内に肘を蹴り潰した感染体の真後ろに現れて……
その感染体に後方から石原の方向に向かって蹴り飛ばしたのである。
感染体は人間の筋肉などのリミッターが外れているため、信じられない力とスピードで弾き飛ばされた感染体をよけることが出来ずに石原は感染体と抱き合うように吹き飛ばされた。
唯一の救いは、蹴り飛ばされたが背骨に損傷を負っていたので噛みつかれなかったことであった。
弾き飛ばされ、感染体ともつれ込んでいる間に、もう1体の感染体が石原に近づいて、その鋭利は爪で石原の首に傷を付けていた。
な・なんだ……反撃をしたいが、腕が動かない……く・首が痒い・痒い・痒い……意識が……意識が……い・し・き……
石原を襲った感染体は研究所の職員の姿をしており、胸には『雛形』とかかれたネームプレートがついていた。
そう、スピードど知恵を持った感染体の祖である。
雛形だった感染体は石原の変化に満足したかのようにニヤリと笑みを作った。
「ううおおおおおっ~」
松田が3本手鉤を突き出しながら雛形に襲いかかり、見事に雛形の頭を串刺しにした。
こうして、走る感染体の祖は葬られた。
松田は3本手鉤を感染体から引き抜き
「ありがとうございましたぁっ」
静かに、感染体へと覚醒していた石原の頭部に3本手鉤を突き刺した。
大粒の涙を流す松田を、そっと小沢が抱きしめていた。
「ありがとう。四神、松田さん。」
「しっぽりとしているところに悪いんだが……
またぞろ、走る奴が出てこられたらかなわんし、メンバーもごっそりと減っちまったし…他のメンバーと合流しないか?」
小沢が顔を赤らめて松田から離れながら
「そうですね。行きましょうか」
コソコソと死体の間をうろちょろしている秋葉に
「秋葉さんは何をしているのかしら?」
ビクッとして行動を止めた秋葉を見て
「俺が、言いつけたんだ。追い剥ぎみたいなことはしたくないが……お宅達と違って、俺や秋葉の生命線は弾薬だからな。死人には弾薬は必要ないだろ?
2人にも、持てるだけの銃器と弾薬は持って貰うからな!
秋葉!用意が出来たら出発だぞ!」
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