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第30話 拡散 3

やけくそ状態です。


眠たいを通り越してます。


朝が憎い!


朝がどこから来るのか?居場所が判明したら、ボッコボコにして……



坂下はショットガンの引き金を絞り築地もろとも、感染体に3発の散弾を打ち込んだ。


(班長っ!バディの約束!

お互いに噛まれたら人である内に……人として最後を迎えたまま留めを刺す!

約束は守りましたよ!俺も直ぐに行くと思いますから…三途の川で会いましょうや!)


涙で標的がにじむのを無視して坂下は銃口の先に感染体を探しはじめた時、森のバディである林の真後ろから感染体が襲いかかる瞬間を目撃した。


後ろから左肩を噛みつかれた林は、痛さの余り、手にしていた89小銃の引き金を引いてしまった。


バースト(1回の引き金操作で3発の銃弾が発射される)で!


都合3回に渡り噛みつかれた林は3回とも引き金を引いてしまっていた。


しかも、しっかりと保持されていない89小銃は竹原班や隊長が控えている方向に銃弾を浴びせていたのだ。


(チクショウ!班長に続いて林まで撃つのかよ!)


坂下は、林と襲う感染体に対して2発の散弾を叩き込んだ。


その途端に、坂下の左腕が物凄い力で掴まれた。


瞬時に身体を捻り、必死に抵抗しながら、ショットガンのストック(肩当て部分)を感染体の顔面に叩き込み、何とか逃れながらショットガンの弾丸を見舞った。


さらに近づいてくる感染体に発砲した後、次の感染体に対した時引き金がカチッと空撃ちし、残弾が空になったことを知らせた。


拳銃や自動小銃のように、空になった弾倉を入れ替えるだけと違い、ショットガンの装填には時間がかかる、坂下は装填を諦め、近寄る一番近い感染体に対して、ショットガンをバットのように振り回していた。


ひとしきり、胃の中身を床に撒き散らしかした森が周囲を見渡すと、襲われた築地を感染体ごと撃つ坂下を見た。


更に、坂下が次に自分のバディである林にも銃口を向けて散弾を発射しているところを見て、最後の精神の糸が切れた。


「逃げなきゃ!逃げなきゃ、撃たれる。」


坂下を見つめながら、床に座ったまま後退りを始め、何とか立ち上がりかけた時、最初に遭遇した臓物を引きる感染体に、ふくらはぎを噛み千切られた。


精神に異常をきたしていた森は痛みによる叫び声をあげることもなく、足を引きずりながら、たまにバランスを崩して床に倒れ込んだりしながら一路通路奥の貨物用エレベーターに向かった。


貨物用エレベーターまで30メートルをきったところで停電が復旧したが、森にはそんな意識はなくただがむしゃらにエレベーターに向かうのみで一杯だった。


ようやく、エレベーターに到着し、ICカードをかざしてエレベーターに乗り込み、

1階のボタンを押したところで出血多量状態で倒れ込んでしまった。


大型の貨物用エレベーターは定員が80名を越す巨大なタイプであり、扉が閉まるのにもかなりの時間を要した。


森は振り返ることなくエレベーターを目指していたので、森を追いかけるように感染体の大群が続いていたことは知るよしもなかった。


エレベーターの扉が閉まる少し前に、感染体の先頭がエレベーターに到着し、エレベーターはセンサーによって扉を再度開くことを選択した。


こうして、地下2階で徘徊していた感染体は、更なる食場。


いや!狩人達は、大いなる大地へ獲物を求めて解き放されたのである。


人類は、今この瞬間に生態系の頂上から引きずり降ろされようとしていた。


取り残され坂下は、その後2体の感染体を葬ることは出来たが、多勢に無勢……何ヶ所もの噛み傷を受けながら、最後は自分の自動拳銃を口にくわえて引き金を引き『人』として最後を迎えた。




福永


「と!くだらない揉め事をしてる場合じゃないで!」


「酒井!装備を再点検したら、築地班のところまで行くから用意しろよ。中曽根は竹原さんの応急処置と本部への連絡を頼む!

見た限りは全滅臭いが、兎に角行くぞ。」


倒れている隊員のズボンのサイドポケットから散弾を何度かに分けて自分のサイドポケットに移し、更にショットガンに装填しながら福永は小走りで向かった。


福永は…数体の感染体の死体と、築地、林、坂下の死体を発見し、念のために生死を確認していた。


「森がいないな?」


福永が1人足りないことをいぶしがっていた時に


「た・大変っす!え・えエレベーター!」


酒井の素っ頓狂な声に釣られ、貨物エレベーターの方向をみて、ショットガンを床に落としてしまった。


「嘘だろ?彼奴、エレベーターの操作が出来るのか?」


「本部!本部!こちら福永!Sー3の大会議で研究会があった模様!そこが感染体に襲われ、大量に研究員が感染した模様です。

大量の感染体が・・・

S-2の大型貨物エレベーターで上に上がりました!


繰り返します。


大量のゾンビがエレベーターで上に上がりました!


酒井!エレベーターまで走って何階で止まるか確認しろ!


本部!本部!」


「こちら青島!オープンチャンネルで流す!


無線が復旧したばかりで通信か混乱している。


至急用件がある者以外、一旦無線を切れ!


至急用件者は最初に一言で用件を述べろ!


以上。」


「福永!感染体の被害拡大の恐れについて!」


「青島だ!どういうことだ!」


「福永です。地下2階です。


よく聞いて下さい!


Sー3の大会議で研究会があった模様!


そこを感染体が襲い大量の感染体が発生した模様です。


今その感染体がS-2の大型貨物エレベーターで上に上がりました!」


「とーくーなーがーさーん。いっーかーいーにーとーまーりーまーしーたー」


「なお、エレベーターは1階に止まった模様です。以上。」


「福永!何故、阻止しなかったんだ!他の者はどうしたんだ!」


田坂が無線に割って入ってきた。


「お言葉ですが

西脇分隊は私と酒井を残して全滅!


斉藤分隊は暗闇の中で感染体と遭遇し殲滅活動開始し、竹原副長が重傷、他生存者中曽根だけです。

可能な限りの排除は試みました!


感染体は暗闇にも関わらず、研究会場を襲ったのかもしれません。


私と酒井が到着した時はもうエレベーターの扉が閉まる寸前でした!


エレベーターが何故使えたのかは不明です。


なお、斉藤分隊の森3士が行方不明です!」


「な・なんてことだ!」


田坂はガクガクと震えだし


「き・貴様達がキチンと感染体を始末しないから…ど・どうすれば!


あ・青島ッ!対応策を10分で作れ!


責任は作戦立案の貴様だからな!」


本部全員が冷たい目で田坂を見ていた。


「警備!田坂3佐を拘束!外に出して監視しておけ!



全館の隊員に無線でコードレッドのアラーム発令!」



矢継ぎ早に命令を下す青島に叫びながら飛びつこうとした田坂は警備のスタンガンで意識を奪われて別室に連行された。


「通信士!回線を織田陸将補につなげ!繋がったら回せ!


本部員は本部維持の最低限の業務に絞り、手の空く者は館内の監視カメラで現状を確認し報告!


取りまとめは黒瀬!


警備!今、本部にいてる警備の員数は?


待機の警備班と実働の班の状況を把握!


岡田博士以外の最重要保護対象者の確保に必要があれば班を組み替えろ!

最重要保護対象者の確保が出来れば、順次レベル下げて、レベル3の研究者まで拡大!


初動は青山班を当てろ!


保護対象者の確保の指揮は岩永3尉!


三笠2曹!


残りの分隊、馬場分隊と鶴田分隊と、斉藤と須永のところの明け勤務者で1分隊隊を編成しろ!


3分隊を研究所の外に出すぞ!


馬場か鶴田か用意が出来た方から先に、1階または建物付近に散開し感染体を索敵、殲滅活動!


警備は、藤原と藤波の班を合体させて藤原に指揮を取らせて、館内の安全確認に向かわせろ!


それと、地下2階の生き残りを引っ張って来い!

いいか!時間との勝負だ!


以上。散開!」


「2尉!陸将補と回線開きました!」


「よし!こっちに回線まわせ!」





雛形(遠藤博士の助手)4時間前~現在


遠藤先生になんて報告したらいいんだろう?昨晩たまたま、話しをした自衛官が賛同したせいで…勝手に……実行してしまった!


少しだけ、ほんの少しだけ僕の血液を口に垂らしただけで、いきなり手を掴まれてしまった。


慌てて、引き剥がしたけどあいつの爪で指を引っ掻かれてしまった。


引っ掻かれたが、体液や粘膜感染ではないから大丈夫だろうが…身体はかなりダルいな…


あの勢い!やはり僕の仮説、空腹は正解だったようだ!


でも、どうやって先生に報告したらいいだろう?

何故って?決して自己ピーアールじゃない!


柊博士より、絶対に遠藤先生の方が優秀なんだ!なのに、遠藤先生にくだらない採血なんて仕事をまわしやがって!


喰ってやろうか?


しかし、何だか、無性に肉が食べたいな!


指が凄く痒い!痒い!痒くて堪らない!


ん?何だ!かきむしり過ぎて、骨が見えてるじゃないか?


包帯かなんかを探さなきゃ!


いや、それより食事だ!お腹が空いた…




(雛形くん、今日の勤務は終わってるはずだよね?夕食にもこないし…


遠藤博士に聞いたら、昼から自室に閉じこもってるって…


いきなりで怒るかしら?

良いわよね!だって、2週間前からお付き合いしてるんだもんね!


ここね!)


雛形の恋人である、矢部良子が夕食に現れないことを心配し訪ねてきたのである。


手には手作りらしいお弁当を携えていた。

ICカードをかざして雛形の部屋に入った矢部は、机の前にフラフラと揺れながら立ち尽くしている雛形に声をかけながら初めて雛形に後ろから抱きついた。


「?」


矢部は雛形の身体にまるで弾力がないことに気がついた。


しかも、死人のように冷たかった。


看護士である矢部には、はっきりと自分が抱きついているのが死人だと確信出来た。


雛形から離れた矢部は


「嫌!どうなっているの?雛形くん?」


振り返った雛形の目は白く濁り、口からは腐臭を吐き出していた


「き・きやぁぁぁぁ!」





警護 青山班


「例の感染体とやらが…誰かのミスで部屋から出ちまったらしいぜ」


「そうらしいな。でも動きは遅えぇんだってよ

初めてビデオで視た時にはビックリしたけど…

まぁじっくり狙えばなんとかなるだろうよ」


「ここに来てからの4日間の実弾練習で過去5年間分以上の実弾を撃ったしな!

しかし、かなりの数だと連絡があったぜ。

停電騒ぎで数はわからんらしい。」


白峰2曹と黒田3曹は、レベル1にランクされている各博士の助手の部屋を確認に回っていた。


既に柊博士の第2・3助手と博士達の作成データの分析・整理を担当している職員3名の5名を保護して引き連れていた。

「でも、地下1階にはいないんだろう?

福岡にはかなりの部隊が展開されてるらしいから…すぐに制圧出来るんじゃないか?」


末端の自衛官を萎縮させず士気を低下させないために、アメリカ軍が制圧出来なかったことは原則尉官以下には知らされていなかった。

詳細を知らされていたのは、戦闘を専任している部隊だけであった。


「おう、ここだ!」


「BA−1−201っと!」


黒田は左腕に装着されている情報端末に、保護完了のステータスと更新した。


その間にICカードで部屋の扉を開けた白峰は、開いた扉から出てきた2本の手に頭を捕まれて一瞬の内に室内に引き込まれた。


何かが噴き出すような音を疑問に感じた黒田が部屋の中を覗くと、白峰が床の上で首から血飛沫をあげて倒れていた。


「白峰!」


黒田が白峰に駆け寄った時には、既に白峰の身体は最後の『生』を吐き出すかのように…小刻みに痙攣していた。


「白峰!

な・何があったんだ?」


黒田の目線の先にピンクのサンダルを履いた足が現れた。


「ん……」


誰だ?と目線を足に沿ってあげていった黒田は、どす黒い染みを視た瞬間に


ヤバい!


咄嗟に右の太ももに装着されていた自動拳銃のホルスターに手を伸ばし拳銃に指先が触れたところで、右肩に信じられない痛みを感じた。


恐る恐る自分の右肩を見ると、既に肩の肉は喰い千切られていた。


「に・逃げて下さい!」

そう警告するのが精一杯だった。


そのまま、雛形だった者に押し倒された。


矢部だった者は、咀嚼しながら通路に新たな肉をあらたな獲物を求めて、通路に向かって踏み出していった。


少し 疲れました。


何故?計画的に執筆、投稿出来ないんでしょう?

ご意見・ご感染いや!ご感想お待ちしてます

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