第25話 伊集院 剛 6日前 ⑦
すみませ~~ん
やっと・やっとの更新です。
2ヶ月以上 睡眠時間 4時間に耐えます。ご理解下さい。
で…今回、西村寿行先生の小説の組織と名前を拝借しております。先生のファンの方がいらしたら、イメージを壊してすみませんです。
「残念ながら、間違いなくエスですね。証拠については、お見せしてよいのか早急に室長に確認をいたします。
私が説明出来ます範囲ですが、他の3名については全員が友好国でして、アメリカとイギリス、ドイツの諜報機関と密接な関係を持っています。」
「他の3名ということは、副隊長と係長は含まれていないんだね?
!友好国ではないと言うことなのか?」
「副隊長はキタ(北朝鮮)係長は中国です。
係長は、本庁の公安時代にミイラ取りがミイラにってパターンです。
ただ相手が一枚上でして…本庁も大したことのない情報を定期的に受け取ってるので、全然疑ってもいません。
副隊長は……微妙なところですね。
本人の意志ではなく、奥方が嵌ってしまった新興宗教の糸を操っていたのが朝鮮人民軍総参謀部偵察局の日本支部だったと言うことで、奥様やお孫さんが人質状態なんです。
奥方も信仰を変える様子もなく……副隊長が北に脅されて協力させられていることは知りません。」
「………………………
参ったな。二人とも幹部職員なんだぞ。
戻り次第、拘束しなくちゃならないじゃないか。
しかし、公安の係長を誰に拘束させりゃいいんだ?……」
「そのことの対策についてですが。
書面に残すわけにはいきませんと言う室長の伝言で………
他言無用で聞いていただけますか?
流石にエスに選ばれるだけあって5名ともかなりの情報を知る立場におられます。
その点を逆について、通常のシナリオ以外に別シナリオを用意します。
5名以外に、副本部長や参事官、SAT隊長に対しては、別の情報を与えるんです。」
「別の情報?……!罠を張るのかい?」
「遠からず近からずです。
中国と北朝鮮は既に感染体のことは感づいており、世界各地で情報収集を進めています。
今回の目的は原則的には2つです。
まずは福岡から監視の目を離させる。
次に両組織の国内活動の実質的な責任者をあぶり出す。可能であれば責任者ごと組織も潰します。
現時点では責任者の一歩手前までしかたどり着けていませんので、このチャンスを利用するとのことです。」
「き・君ぃ!
只でさえ説明が困難な状況において、対諜報機関活動まで追加すると言うのかい?
県警の公安課員を係長の頭飛ばしで動かすのは到底無理というもんだよ。
ましてや、刑事部は面が割れてるし…
本庁のメンバーも係長なら…大概は知ってるだろうし…
監視体制なんて組めやしないよ!
二人とも拘束するしかないって。」
西郷は新たな面倒事は頭っから拒否したい気持ちに勝てなかった。
「副隊長を拘束された場合によっては、ご家族は見捨てると言うご判断ですか?」
(あちゃー!忘れてた!副隊長の奥さんとお孫さんが相手の手の内何だったな。
待てよ、なら副隊長は此方に引き込んだらいいんじゃないか?)
名案とばかりに西郷は声高に自案をヒトミに説明した。
「無理ですね。それってバレたら相手に取っては裏切り行為になりますよね?
それより、副隊長には今のままで協力を続けてもらいます。
今回は黒幕の特定が出来ればいいだけですから。
相手がわかれば対策も打ちやすいですので…
まぁ、様子を見て副隊長は異動になるでしょうが……
それよりは、確信犯的な係長の方が面倒です。
残念ですが…救いようはないですね……」
「き・君はいともあっさりと言うんだね。
刑事が刑務所に入るってぇのは…
想像を絶する目にあうんだよ!」
「知りすぎた係長を刑務所に送るだけで、両組織が納得されますかしら?
口封じは当然の処置ではないでしょうか?」
冷酷なことをさもありなんと軽く言い放つヒトミを凝視しながら
「君、日本は法治国家だよ。いくら、公安の事案とは言えども…殺すとかなど論外だよ」
「案外と甘ちゃんなんですね。」
呆れたと言わんばかりにヒトミは肩をすくめた。
「まぁ、どちらにせよ。西郷さんはあまり気にされなくていいと思いますわ。
既にお二人は室長が手配されたチームによって……
24時間体制の監視下に入ってますので、西郷さんはきっかけを与えていただくだけですから…
キャリアさんが、こんなに甘いから、ここは(日本)は諜報員の天国なんですかね〜〜」
ヒトミは完全に、西郷を小馬鹿にした態度をとっていた。
(仮にも、日本の警察組織のキャリアに向かって、この女〈アマ〉なんて口聞きやがるんだ!)
歯軋りしながら、睨みつける西郷を無視してヒトミは言葉を続けた。
「先程の別情報ですが…
ある程度事実を混ぜます。
まず、ゾンビみたいに発症すれば人喰いになるウィルスが作られて、実際に数千人の街で発病し軍が鎮圧を試みたが失敗に終わり、秘密裏に感染者ごと街を焼き払った。
アメリカ軍の特殊部隊が原因追求のために感染者を1名確保したが、確保された感染者は現在軍の監視下になく謎のごとく行方不明であり、これには何らかの組織が関与している可能がある。
また、設備面やバイオテクノロジーの先端性の関係で日本のどこかに秘密裏に研究対象(軍事利用かテロ利用か不明)として連れてこられる可能性が高い。
公安外事課からの情報では関西地方に新しく埋め立てられた。『マリンアイランド』(国家事業で、ほぼ福岡県の2倍の広さの埋め立て地で、経済特区地域として国内外のバイオテクノロジー関連企業が集まり、街自体が多国籍市街地化している)に感染者が運びこまれる可能性が非常に高い。と警戒されている。
この地区は、経済特区として各企業にある程度の自治権を与えられているからであり、さらには、本州とのアクセスは5?に渡る連絡橋のみなので、最悪の感染拡大が防げる点からも最適な条件と考えられる。
しかし、大都市圏にそんな事態の可能性があることを公には出来ないので、新型の細菌テロの可能性という情報にすり替えて、九州地区に偽装的に警戒態勢を取り、順次に世論を安全でした、問題は発生しませんでしたと誘導していく。
同時に、マリンアイランド内の企業には、順次臨検に入れるように法案化していく。
つまり、実際の危険に対処するための部隊を整備しながら、対諜報機関には危険は九州に存在するように見せかける情報戦略であり、本来の最大危険地域を関西である。とし、全然関係のない関西地方を囮にして情報収集に集まる諜報員やその枝(協力者やエス)を監視し組織自体を可能であれば一網打尽にする作戦です。
また、この作戦自体は友好国の諜報機関にも説明は行わず、作戦自体にリアリティを持たすために友好国も騙す。と言う説明になります。
勿論、アメリカ・イギリス・ドイツ・中国・北朝鮮にはこちらの意図通りに情報が伝わることになります。
実務については、本庁(警視庁)公安特科隊【西村寿行先生!隊名お借りします!】を投入されるそうです。
本体は関西に投入されますが、若干名は九州にも(念のため)投入されます。
公安特科隊は、府警や県警の指揮下に入らず、各科員の独自判断で行動します。
確保した人物の拘束が必要な場合のみ、留置処理を行いますが…
その際は、麻取(厚生労働省・麻薬取締事務所)の身分と施設を活用するとのことで、府警・県警とは完全に一線を引いて行動する。そうです。」
西郷が話しについてきて、理解出来ているのかを探るようにヒトミは一旦喋ることを中断し、西郷をじいっと見つめた。
「公安特科隊?そんな組織は本庁の公安にはないぞ。ってか聞いたことないぞ?
今回のための特別編成か?」
「聞かれたことありませんか?
確か、公安関係者の中では公然の噂の……
たしか、『公儀お庭番』とかって噂されてませんか?」
ヒトミの台詞にハッとした西郷は…
「あ、あれは、公安課員が日本の暗部と警察の暗部を牛耳っていると言う自負に自惚れないように……
公安課員を律する組織があるらしいぞって言う、新人向けの………
公安部の都市伝説だ!……のはず?………
ほ、本当に特科隊ってのがあるのか?」
「さあ?私は、たんなる通信会社のOLですから……」
クスッと想いだし笑いをしながらヒトミ答えた。
(中郷さんや伊能さん、突然に表舞台に引っ張り出されたから…怒るんだろうなぁ。
北も中国もかわいそう。あの二人相手じゃねぇ〜〜
まぁ、私やアスカよりはいいのかも知れないけれど…)
ヒトミの思い出し笑いを侮蔑と受け止めた西郷は、血の気がなくなるほど強く両拳を握り締めながら……唯一の抵抗のごとく、出来るだけさり気なく
「まぁ、先輩が立案したんだから……
魑魅魍魎が現れたって不思議じゃないな。
その内に、秘密結社に仮面ライダーだって言われかもしんないしな。」
更に覚めた眼でみつめられた西郷は
(こんな若い女性に仮面ライダーは通じないか)
と無駄なジョーダンに自己嫌悪に陥っていた。
「ご理解いただけたんでしたら、詳細を説明させていただいても構いませんか?」
一は同福岡に到着し、ヒトミはとんぼ帰りで東京に、他の者は慌ただしくそれぞれの職場に戻り、この難解な作戦が無事に終わることを信じ、部下や秘書に幹部職員の招集を命じていた。
夕刻に幹部への説明が終わり上岡は、横山市長に面会を求めて、協力を要請しにいった。
つい、半日前に会った時とは別人のように協力的な横山に違和感を感じながら、影のように一緒に同席している、初めて見た秘書の暗いイメージに気をとられながらも、全面的な協力の確約が取れた。
疲れ果てた上岡は、自宅に戻る車中で深い眠りに落ちていた。
同じころ、上岡とも横山とも一線を引く市・県議会の議員達は、各自の後ろ盾から紹介された訪問者に、一人ずつ全面的な服従のごとくの協力を確約させられていた。訪問者が去った後、議員達は各々で物に八つ当たりしたり、涙を流し神頼みを行い、何とか自分を落ち着かせる努力を朝方まで続けたていた。
一方、西郷は幹部職員への説明後の対諜報機関対応の別シナリオの説明に汗を流していた。
★東京★
「これで、準備万端かな?」
流石の伊集院も疲れた顔を見せていた。
「そうですね。後はホアンからの接触を待つ事と、まだご相談はしていませんでしたが、現場にジョーカーと言いますか……ダークホースと言いますか?
この先って流石に予測不可能なんで、こちら側の人間で何にでも対応出来そうで予測不可能な人物を予備知識無しで送り込みたいんですが……
ただ、この人物が一般入社なんで……」
「一般入社?イリーガルでもなく。軍や法執行機関や諜報機関崩れでもなく?
アスカやヒトミでは駄目なのか?」
「Ultimate angelとDevil fairyの dangerous twinsですか?まぁ、それでも構わないんですが……
私のイメージは、今回ばかりは、軍や圧倒的な戦力だけでは太刀打ち出来ないんじゃないかと……
人間の持つ基本的な生存本能を、関係する者にいつの間にか植えつけてしまうような存在が必要なんではないかと……」
「なるほど……その人物の詳細ファイルは?」
源五郎丸は、『田中一郎』と記載されたファイルを伊集院に手渡した。
「田中一郎か………確かに不思議な人物だったな。」
伊集院は、ファイルを
捲り始めた。
と同時に、源五郎丸の携帯電話が静にバイブレーションを起こしていた。
見知らぬ番号表示に、ニヤリと笑いながら、源五郎丸は隣室に向かって歩き出した。
「ゲンだ。ホアンか?」
また、歴史は1歩 歩みを進めた。
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