第24話 伊集院 剛 6日前 ⑥
すみません。公私とも非常に忙しく、平均睡眠時間4時間で……
更新どころか執筆もまともに出来ていない有り様です。
圧倒的な事実と野口の発言によって、必然的に場は全員が容認した状態になった。
「俺と姫山君は今から、総理と官房長官に今の内容を伝え、協力させに行ってくる。
その後に、警察庁長官と国家公安委員長、警視総監にも協力させてくる。
皆さんは、ご苦労だが地元に戻られ用意を始めていただけないだろうか?
午後には国民義友党の星野さんに会って、脅し…い、いや…協力を求めてくる。
源五郎丸ファイルのネタでお願いに行くから、断れば政治家生命を絶たれるんだから、心配しないでいただきたい。
それと、マスコミの重鎮の年寄りにも色々と耳打ちに回らないとな。」
「あっ!ぶ、部下になんと説明すれば……」
上岡は決断がつかず、説明出来るはずがないのを承知で無理難題と思われる要求をした。
「上岡さん、一応私の方でシナリオは用意していますので、ご安心下さい。
この中に入っております。
疑問などありましたら、書類に記載されている番号に連絡頂ければ計画立案チームの者に直通で繋がりますんで…
野口さんと西郷にも。」
源五郎丸が3人に無造作にアタッシュケースを手渡した。
上岡は泣きそうな顔で震える手を必死に押さえながらアタッシュケースを受け取った。
「皆さんの警護。
まぁ、まずホアン側が現時点で接触や妨害などしてくるはずはありませんが、無関係第三者や不慮の出来事が起こってもなんですので……
織田さんのところから、特戦群のメンバー3名をつけてもらいます。」
源五郎丸が織田に合図をしながら伝えたと同時にドアが開きスーツ姿の3名が入ってきた。
(自衛官?しかも特戦群って?どう見たってちょっと体格のいい、サラリーマンじゃないか?
いつから、自衛隊の隊員が身分を隠して民間で活動してたんだ?
たく!うち〈警視庁〉の公安の情報の程度もしれたもんだな!)
訝しげに警官の目で3名を観察している西郷に対して
「西郷さんはご存知なかったかも知れませんが……
警察庁との合同のプロジェクトでしてね。
政府要人の紛争地帯への同行用のSP要員を自衛隊から出すことになり、その訓練の一環で警察庁に出向する前に自前で自衛官の匂いを消してるんです。
その一期生達です。
丁度1年を民間企業で過ごして、来月から警視庁で訓練の予定だったんですが、源五郎丸さんからの要請で3名を引っこ抜いてきたんです。
警視庁での研修はまだですが、既にアメリカでシークレットサービスの基礎6週間の研修は済んでますし、警察手帳も交付された立派な警察官ですので、今回の任務には影響はないと考えています。
まぁ、納得しろとは言いませんが…
この先、お互いが縄張り争いしても仕方ないと私は思いますがね」
織田が3名を紹介しなが説明した。
福岡行き旅客機の中・・
手配されたゆったりとしたファーストクラスの座席で3名は思い思いの姿勢で、源五郎丸から渡された資料を読んでいた。
(たった?これだけ?)
上岡はもう一度資料を確認したが、やはりシナリオと呼べる物はこの1枚だけであった。
1・複数のテロリスト組織がイデオロギーの垣根を超えて手を結び、世界規模でのバイオ(細菌)テロを計画しているとの情報がある。
2・細菌の種類や感染方法は不明。新たに開発された新種の細菌と思われる。
3・断片的な情報では試験的なエンデミック(地域流行)計画の後にバンデミック計画に移行すると思われる。
4・消息筋からの情報であり、政府として情報の信憑性を確認を急いでいる。
5・エンデミックという計画を信じれば、離島や島国での計画実施が懸念される
。
6・管理職以上を対象に上記の説明を行うこと。また、職員としての守秘義務を再確認させること。(但し反発を招く程強い強制は行わないこと)
7・報道発表については現状では国民の不安を掻き立てるだけなので様子を見て発表するので、出来る限り口外はさせないいこと。
8・この状態に対して、警察・海上保安庁などの法執行機関及び自衛隊で全国的な警戒活動を行う。特に、北海道、四国、九州は地理的条件が整っているので本州より高い警戒体制になる。
たったこれだけの8項目で?どうやって管理職を納得させるんだ?
知事としては県職員だけじゃなく県議会に対しても対策をとらないいけないのに?
あの五月蝿い議員達がこれで納得するはずがないじゃないか!
上岡は心の中で毒づきながらも、頭をかき乱し抱え込んでいた。
その上岡の体をフッと人影が覆った。
「失礼します。」
「考え事をしているんだ!邪魔しないで……」
相手に答えながら、顔を上げた。てっきり、キャビンアテンダントだと思っていたところそこには、予想外に若い女性がニッコリと微笑んでいた。
(あっ!伊集院さんの秘書の娘!・・・・・でも少し雰囲気が違うけど、いや〜綺麗だ)
先ほどの会合場所に案内してくれたジャパンテレコム 秘書課のアスカ・D・ガードナー(デビルフェアリー)に瓜二つの女性であった。
口をポカンとあけている上岡に対して女性は少しムッとした怒りの表情を向けて一言
「アスカとお間違えではないでしょうね?私、ジャパンテレコムの戦略統合室 ヒトミ・E・ガードナーです。アスカは双子の妹ですので、お間違いなくお願いしたいですね。」
綺麗な顔に似合わず冷たい声色で言い放ちながら、上岡に断ることも無く横の座席に座り込んだ。
そして、大きな澄んだ声で遠慮することなく
「福岡空港までの間ですが、計画立案について質問があればお伺いしてお答えするように指示を受けていますので、質問などありましたら、何なりとどうぞ」
なるほどな、ファーストクラスに俺達だけとは不思議なもんだと思っていたけど、貸切みたいだな。しかし、双子って・・・一卵性か?全然違いがわからねえな。
西郷はふざけた様子でヒトミに手を振りながら愛想を振った後に野口に振り返った。
「野口さん。何だかわけのわからないことに巻き込まれていませんか?俺達?この先どうなるでしょう?」
野口は頭が痛むのかヒトミが現れて依頼ずっとコミカミを抑えながら、うつむいてボソボソと独り言を言っていた。
「どうしたんですか?野口さん?気分でも悪いんですか?何か飲み物でも用意させましょうか?
あっ!君ぃ〜、何か冷たい物はないかな?」
笑顔で近づいてくるCA対して、おもむろに顔を上げた野口は
「何でもいいから、一番強い酒を持って来てくんか?」
「お客様、ご気分が優れない時にアルコールは・・・・・」
CAが困った様子でいると、彼女の後ろからヒトミがウオッカの瓶を野口に差し出してきた。
「ご気分が優れませんか?」
ニッコリとした笑顔の中に心配する表情をのぞかしているヒトミに対して野口は一言。
「Ultimate angelとDevil fairyの dangerous twinsに遭遇して笑っていられるほど、わしゃ、世間知らずじゃないんでな!
ったく、半蔵の奴は・・・・二人共揃えるとは。
アスカとは仲直りしとるんじゃろうな?イスラエルの二の舞はないじゃろうな?」
ヒトミは横から何事かと二人を見比べている西郷に気づかれないように、決して笑みは絶やしていないが、底冷えするよな冷たい眼を野口に向けながら
「えぇぇぇぇ・・・野口さん、イスラエルのことご存知なんですか?
もう3年の前のことですよ〜〜〜。
もうあんな馬鹿なことはしませんよ〜。
来月には25のおばさんになっちゃうのにぃ〜。」
その22歳の小娘がイスラエル諜報特務局の7割を姉妹喧嘩で壊滅状態にしたんじゃろが!
と叫びたい気持ちをグッと飲み込んで
「半蔵に迷惑をかけんように、姉妹は仲良くするんじゃな!」
投げ捨てるように言い、野口はおもむろににウォッカの瓶を口に傾けた。
わけがわからない西郷は
「兄弟喧嘩はよくないねぇ。血を分け分身みたいたもんじゃないか!
俺にも妹がいてさぁ。3つ下のくせにまぁ生意気で……」
「あまり飲み過ぎないで下さいねえ〜」
西郷の必死にその場を変えようとする努力を無視してヒトミは手のひらをヒラヒラさせながら席に戻っていった。
一人取り残された西郷は…静に下を向いて…
どうせ、俺なんか…といじけるしかなかった。
暫くすると黙々とウォッカを煽る野口の横で、感心したり唸ったりしながら西郷は書類に没頭していた。
「で、議会対策にはどんな手段で?」
「今日の別便で、弊社の特殊クレーム対応係から5名のベテランが、各議員に接触します。100パーセント黙らすことはお約束出来ます。」
「ぼ、暴力とかじゃないだろうね?」
「大丈夫ですよ。二人は50過ぎの女性ですし…まぁある意味、情報の暴力かも知れませんが…」
「情報の暴力?」
「人には絶対に他人に知られたくないことが一つもない人はいないそうです。室長のうけおりですが…」
休憩とばかりにカップの珈琲に口をつけながら、ヒトミは満面の笑みを上岡に投げかけていた。
ずっと眺めていたい欲求に打ち勝ち上岡は質問を続けた。
「マスコミ対策はどうするんです?」
「テレビやラジオは、今日中に社長と室長が脅し、いや、説明と協力依頼に行きます。
同時に姫山さんと真弓さんが新聞社と出版社に…
三流出版社やゴシップ誌などはアスカが率いるチームが対応します。まぁここに対応される会社は可哀想ですが……
IPSは社長の一声で、問題のある書き込みは即時削除します。」
「なんで…一介の私企業が、こんなに手早く情報操作が出来るんだ?
伊集院さんがその気になれば、クーデターも可能じゃないか?」
数々の質問の答えを聞き思わず上岡は唸ってしまった。
「当然ですわ。社長が政界にいらしたら間違いなく総理大臣ですし、腹心の室長は日本一、世界でも5本の指に入る情報通ですから……
二人とも、その力を個人的に使うことなど毛頭考えていらっしゃらないから、人がついてくるんですわ。」
上岡の疑問が不思議とばかりに首を傾げながらヒトミは答えた。
「まぁ…確かにヒトミさんの言われる通りではあるが…実際に直面したら流石に不気味なもんだね。」
無理やりな笑顔で上岡は話しのお茶を濁した。
「あっ!」ヒトミが唐突に声を上げた。
「室長から伝言があるんです。いくらマスコミやネット対策をしても、4〜5日が限度だと…
そこから2日以内ぐらいに何らかのアクションがないと、勝ってに不安な様子だけが独り歩きするそうなんで…ギリギリのタイミングとして1週間くらいのところから、情報を小出しにして行くので、タイミングに合わせてシナリオを届けるとのことでした。」
「届ける?何故?なんだい、今渡してもらっても変わらないんじゃないのかな?」
「さぁ〜?私には分かりかねますが…。情報戦略は日々変化しますし、知事も下手に台本を知ってしまうと素の反応が出来ないからじゃないでしょうか?」
(全く、言われる通りだが…この会話自体完全にヒトミさんに主導権を握られてコントロールされてるな。まだまだ、僕も修行が足らないな。)
上岡が自嘲している間に、ヒトミは席を立ち書類に納得がいかず、何度も書類を捲り直す西郷に近づいていった。
「何か、腑に落ちない部分がおありですか?」
出来る限り思考を邪魔しないように細心の注意を払ったヒトミの喋り方であった。
「いや。このページに記載されている、警視以上にも関わらず情報を通達してはならない5名のメンバーについて、理由がかかれていないんだよ。
特にSATの副隊長と公安の係長は信用が置ける人物だと思うんだが……
この二人を外すのは難しいなぁ。説明がつけにくいんだよね。部下からの信頼も厚い人物だしね。」
「その5名はエスです。」
「エス?」
「はい。エスです。」
「エスって、公安の奴らが使うエスって理解でいいのかな?」
「はい。5名とも、俗に言う“スパイ”です。」
「馬鹿な!他の3名は…そこまで親しくないが、副隊長と係長は……警視庁からの出向者で、身元調査も完璧なはずだ!」
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