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第16話 伊集院 剛 1週間前

なかなか 定期的な更新が出来ません。

挙げ句に、添削漏れめありそうですが…

大きな気持ちで…大目に見て下さい。

伊集院 剛 7日前


深夜。


「そうか。間違いない情報なんだな?

…………!

イヤ!

今のところ、君がそれ以上嗅ぎ回るのは得策じゃないな。


うん・うん……

私から補佐官に電話して確認するよ。


ハーバードで同期だったし、通商の時に貸しがあるから、何とか口をこじ開けさせるよ。


党の連中や閣僚の中でも知らされてない者には、くれぐれも気づかれないように頼むよ。


そうか、君と防衛長官だけか、烏沢君からすざわ(首相)にもまだ知らされてないんだな?


判った。


また、連絡するから、暫くは他言無用だぞ!」


ジャパンテレコム社長の伊集院 剛は、目頭を強く揉みながら、深く椅子にもたれこみ……


揉まれて真っ赤になった眼で天井の一点を穴があくほど見つめていた。


蔵前くらま翁は何を考えているんだ?


一歩間違えれば、日本は滅びかねないんだぞ……伊集院は心の中で叫んでいた。


伊集院は何かを決心したのか、おもむろに、机の上のインターホンを操作しながらも、頭の中では、自分がこれからしなければならない1日の行動を目まぐるしいスピードで考えていた。


「はい、源五郎丸です。どうなされましたか?」

コール音1回で相手の声が受話器から聞こえた。

こいつは、いつ寝てるんだろう?


早朝・昼間・深夜…コール音が2回以上鳴ったことがなく、電話口に現れる。


関心しながらも、伊集院は注意深く、相手の声が寝起きなのか、意識がはっきりしているのかを読み取ろうと耳をすましながら……


「夜中にすまない。

内密な話しがあるので、秘匿通話に切り替えて貰えるかな?


同時に、私のファイルサーバにもアクセスしてくれ。

パスワードは、今携帯に送った」


相手の返事が聞こえる前に、ブーーーンと耳障りな高周波音が聞こえた。

ジャパンテレコムが政府や自衛隊・警察関係用に特別に用意している盗聴が出来ない二重化デジタル暗号回線に切り替わった。

ただ、自衛隊や警察に提供している暗号とは違う自社で開発した暗号化方法を利用しているところが若干違うが……


「切り替えました。大丈夫です。


パスワードも届きました。

直ぐにアクセスします。

アクセスには2〜3分程かかりますのでご了承下さい。」


源五郎丸は静かに答えた。


「早速だか、1週間前にアメリカのユタ州で問題が発生したんだ。なんと言えばいいのか…」


次の言葉を探している間に、源五郎丸が切り出した。


「ユタの件ですか?


それならば、極小的なバイオハザードのエンデミック(地域流行)と報告を受けてます…」



「………………………!?」


伊集院は、声にならない声を上げていた。


国家・与党の中枢にあらゆる情報網を持つ彼すらも、今しがた聞かされた情報だと言うのに、源五郎丸はまるで、四半期の経営報告書を読み上げるかの様に淡々と切り出した。


「発生から1時間程度で、偶然バカンスの途中で立ち寄った、ペンタゴン(アメリカ国防総省)作戦部の佐官が遭遇して、かなり早い段階で軍が投入されました。


おおよそですが発生から3時間程で投入された模様です。


規模ですが……


米統合特殊作戦軍から

レンジャー2個中隊。


デルタ(特殊部隊)2個分隊が派遣されましたが

作戦行動から6時間後に80%の隊員が罹患し、他地域にアウトブレイクの可能性が極めて高くなり……………


アメリカ空軍の


F−22が8機3編隊


Fー16が8機3編隊


で地域一体を


第一派がディジーカッター


第二派がサーモバリテック(燃料気化爆弾)


第三派がMk77爆弾


で爆撃。


更に、C−130ガンシップ5機


A−10、15機


アパッチヘリ 20機


ヘリはA−10が夜間要撃には適してないので、陸軍ナイトストーカーズが夜間要撃にブラックホークで参加した模様です。


で、爆撃後に動く物全てを無力化。


爆撃とその後の要撃が夕方から夜間に及んだため

翌未明から


デルタ1個中隊


SEALs4個小隊で


破壊出来なかった、地下鉄などの地下地区を捜索し殲滅したとの事です。

地上部隊は、先に投入された558名の内デルタ2名と民間人1名が生還。


後続部隊は、地下鉄線路内で感染体約200と遭遇し、デルタから30名SEALsから20名が戦死しましたが感染体は殲滅したとの事です。


夜間要撃から未明までは特殊作戦群第19特殊部隊が約1000名で街を取り囲み包囲したので、感染体が市街には出ていないと判断されています。

街は山などに囲まれていない平野部だったのと、隣街まで100kmと離れていたので、情報操作も問題なく処理された模様です。


表の情報はこれぐらいですが……


どうも、感染体が一体捕獲されたらしいのですが……


これ以上は掴めておりません。」


何が表の情報だと言うのか?

伊集院が受けた報告より詳細であった。


「い・いつもながら、君の情報網はどうなってるんだろうな?

私の情報より詳細じゃないか!

参ったな…………」


「すみません。

直接会社への影響は考えられなかったので、明日にでも報告書をと用意していたところだったのです。

特別、社長がご関心を持たれるとは…」


流石の源五郎丸も伊集院の意図を計りかねていた。


「公安の外事1課は軍の動きまで把握しているのかい?

そこは、統合幕僚本部の管轄じゃないのかね?」

伊集院は、源五郎丸を自社に拾った時の事を思い出していた。


同時、腹心の姫山ひめやま警察庁長官から


キレ者なんだが、部下の失態を庇い、ヤバい状態で警察庁公安部では庇いいきれないスゴ腕がいる。

きっと役に立つ奴だと。

更に、伊集院が引き取る事で関係者からの圧力を抑えることが出来るし、なにより『公』から『私』への異動で情報に制限がかけれることが関係者が一番望む解決策であり、地下に潜りでもされたら……


とたっての依頼で引き取ったのだ。


ただし、伊集院は源五郎丸に一つ条件を出していた。


「信用出来る奴達を引き込んで、何処にも負けない情報網を築け。ただし、もう国家の後ろ建てはないからな。」


源五郎丸に会った瞬間に

こいつは情報の世界でしか生きれない奴だ。


と伊集院は感じたのだ。

それならば、『私』の範囲で最高の情報網を作らせて、企業としての情報戦を任せれば良いのだ。

源五郎丸は伊集院の期待以上の成果を挙げ続けていた。


「仲間が一騎当千と言うんでしょうか?

私と同じで一匹狼ばかりなんで……」


いつもと同じようにはぐらかしながら源五郎丸は答えるのだった。


「社長!………………」

冷静沈着な源五郎丸が、思わず、声を張り上げた。


伊集院のファイルを見たのだ。


「そうなんだ。先程の君の報告の中の感染体だか………

3日後に福岡の柊博士の元に届くらしいんだ。


しかも、お膳立ては、かの 蔵前翁ときたもんだから……


国内…いや、合衆国大統領でも、阻止は出来ないだろう。


唯一は貴子夫人ぐらいだったのだが………」


蔵前翁とは


齢90歳を超えてなお、国内はおろか海外にまで影響力を持つ人物である。


莫大な資金を元に、世界中に関連会社を持ち、フォーブスに掲載される、世界トップ10社の半数の社長の首を、一声で変えられる実力者である。

一説には、その豊富な資金は「徳川埋蔵金」や「ヒットラーの隠し財産」など、どこかに「ある」と噂される謎めいた資金の行き着く先となっている。


「なぜ、蔵前翁がこの事件を嗅ぎつけたのか?

何を目的にしてるのか?が見えないんだ」


伊集院はストレートに疑問をぶつけた。


「事件の件は多分、ゲ−リ−・タウンゼント卿でしょうね。


タウンゼント卿は現英国政府の大きな後ろ建ての一人ですし、卿の息子は英国情報部の部長ですから…


情報は入手出来る立場にあります。


またこれだけの情報をリークする危険を負うんですから、見返りもそれなりと考えられます。


それらから考えて、多分目的も推測は出来ますが……」


源五郎丸は自信たっぷりにロイズ保険機構の最高責任者の名を挙げた。


だけでなく、目的まで推測出来ると言い張った。

「源五郎丸君、、タウンゼント卿だと言う根拠はなんだ。

天下のロイズ保険の最高責任者だぞ、彼は……


しかも、蔵前翁の目的まで分かると言うのかね?」


「実は、先月のメキシコ湾沖のIBP社の油田事故でロイズと言うかタウンゼント卿は、壊滅的な保険支払いが発生するのです………


公式にはロイズ保険は受託していないと声明を出していますが……


IBP社がかなりの高額な保険料を提示し、タウンゼント卿と数名の実力者が密かに受けたんです。


契約書の写しも見てますんで間違いはありません。


既に、我社のロイズに出資している分は引き揚げさしてますが……


ご存知の通り、ロイズ保険は、金持ちの集団が自己資金で保証しているものですので、今回のタウンゼント卿を含めたメンバーが破産すれば……


ロイズは再起不可能になります。


多分、蔵前翁から、資金を捻出するか…


メキシコやアメリカからの非難の声を鎮めて貰うか?


まぁ、両方でしょうね。」


「目的はなんだ!

それだけの金を出すほどの目的なのか?」


知らないことばかりの事実を聞かされた事と、既に今の話しから目的が分かってしまった伊集院はかなりイライラしていたが、勘違いであって欲しいと願いを込めながら源五郎丸の推測を訪ねた。

「実は、かなり以前から翁の計画らしきものは掴んでいまして、


目立たないように妨害工作はしていたのですが


最近、セキュリティーの担当者が遣りにくい相手になりまして……


半分は出し抜かれている次第です。


申し上げにくいのですが…


そのう……蔵前翁と社長は、ご親族の筋にあたられますので……


実は、貴子夫人のご遺体は荼毘に臥されずに、冷凍保存されている様子なんです。


社長、葬儀の時にご遺体に会われましたか?


そうなのだ、蔵前翁と伊集院は親族の関係にあった。


宰相の家系と日本一の実力者の婚姻による、親族関係は、影響が強すぎるためトップシークレットとして扱われていた。


しかし、血生臭い理由の政略だの政治だのでなく、純粋な気持ちから結ばれた蔵前翁と貴子であった。


貴子は、伊集院の母の妹であり、早くに母を亡くした伊集院にとっては叔母であり育ての母でもあった。


物静かだが芯の強い美しい叔母だった。


数多くの婚姻の誘いを、伊集院のために断り続けて、蔵前との婚姻は40を大幅に過ぎていた。


しかし、幸せな結婚生活も10年が経ち、伊集院が政界に初当選したと

同時に重い病に倒れ1年ともたずに他界したのである。


政界1年生の時代には、貴子の育てた息子だと、影から支え続けた蔵前であったが、

伊集院の実力が自分のバックアップなど必要がないことを悟ると、自然と伊集院との距離をおき、表社会からひっそりと身を引いたのである。

その後、唐突な表社会からの引退を受け日本の黒幕と呼ばれ出されたのだ。


「確かに、薬の副作用で恥ずかしいからとの遺言と言われた……


貴子さんを蘇えらせる?

と言うのか?


彼女は亡くなったんだぞ!


たとえ、蘇っても、


『ゾンビ』でもいいと言うのかっ!」


思わず、伊集院は電話口に向かい大声で怒鳴っていた。


「社長!


落ち着いて下さい。


何も、ゾンビにするなんて…突拍子過ぎますよ。

多分、ゾンビへの変異の過程から蘇りや不老不死の研究への、糸口を掴むためだと思われます。


我々の間では、翁の蘇りや不老不死の研究への、のめり込みは有名ですし、かなり怪しげな研究にも資金を出されていますから。


しかし、この、柊博士は社長もご存知でしょ?


遺伝子工学とウイルス研究の世界第一人者ですよ。


しかし……万が一施設外にアウトブレイクした場合は……

今の日本の自衛能力では、初期対応に失敗したら………


取り返しのつかないことになりますね。


…………………」


そのことについて、二人はお互いに受話器を握ったまま、一声も発せられなかった。



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