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第14話 須永分隊 応援

ご無沙汰してます。3話分のデータがぶっ飛びショック状況の中、予定外の仕事を押し付けられて……ヘトヘトで立ち直りに時間がかかってます。長い目で見てやって下さい。

「こちら、須永。我々はメディカルルーム方向から撹乱に出る。

福永。すまん!我々が気づけば良かったんだが…」


「了解!今から交戦に入ります。」


須永は、振り返って部下全員の顔を順に見て、言った。


「俺達は、鈴元、松下、山岡、徳永を助けられなかった!」


「福永達は命に代えても助けるぞ!


本田、俺、稲本、長谷部しんがりは阿部で出るぞ。

撃つ時は躊躇するな!


元は……「ヒト」だったかも知れないが……


今はバケモノだと思え!」


本田を筆頭に全員が駆け出していった。


バイオメディカルルームの前を走り抜ける際。


ちらりと目をかすめた、鈴元と松下の亡骸に、須永は心の中で敬礼し、強く決心した。


(スマン!きっと迎えに戻るからな!少しの間二人っきりにするぞ!)


もう1ブロック先と言うところで、無線から青島の声が届いた。


「こちら、青島。須永曹長!至急返事を!」


無線は隊の全員に聞こえており、先頭の本田がスピードを一気に落とし、隊はものの数メートルで停止した。


須永は、自分の人差し指と中指で両目を指差し、そしてゆっくりと前方を指差しながら、本田と稲本に右方向と左方向を警戒する様に指示した。


「こちら、須永です。どうしました?」


「こちら、青島。

よく聞いてくれ。

監視カメラの映像を点検していたんだが、先ほど君達が待機していた、2ブロック先に岡田博士がいらっしゃるんだ。

非番のずなんだかに……調べ物をしてたらしいんだ。……………………………」


「…………………………………………………」


沈黙に耐えきれずに阿部が無線に割って入った。

「すんません。それは俺達に、岡田博士の保護に迎えってことですか?」

「スマン!

この非常事態なんだ。

遠藤博士がああなってしまった以上、岡田博士は最優先保護対象者の中でも、トップ3なんだ。

柊博士とキャサリン博士は警務隊が保護に向かった。

至急、岡田博士を保護しろ!」


「福永さん達を見殺しにしろって言うんすか?」

納得が出来ずに阿部は青島につっかかっていく。

「………………………………………………」


「命令だ!阿部3士」


青島は非情な声で言い放った。


「なら、そっちから隊を出せばいいじゃないっすか!何も、俺達じゃなくても…」


阿部はまだ納得が出来ずにいた。


「青島2尉、了解しました。我々は岡田博士の保護に向かいます。

保護した後はどちらにお連れするのですか?」


須永は口々に文句を言う部下の1人1人の目に『黙れ!』と目配せしながら、拳を血がにじむほど握り締めていた。


「岡田博士は第3研究室にいらっしゃる。

保護したら、そのまま、第2格納庫に行くんだ。」


「第2格納庫?ですか。お連れしますが…格納庫では行き止まりになるのではないですか?。」


隊員全員がお互いを顔を不安げに見合っていた。

「緊急の脱出口があるんだ。

格納庫のCー2のエリアに行ってくれ。

右奥の壁沿いにコンテナがあるはずだ。

コンテナの開閉番号は情報端末に送信しておく。一回こっきりのワンタイム・パスワードだからしくじるなよ。」


情報端末とは、各分隊の隊長と副隊長及び通信要員の左腕に装着されている、箱型の小型コンピューターである。(今のスマートファンのデータ通信専用版みたいな物である。)


「ちなみに、格納庫側からしか開閉操作が出来ない………

其処までは君達だけで、やるしかないからな。」

「こちら、須永。了解しました。

情報端末データリンクさせます。」


情報端末を操作しながら、須永は続けた


「内側からの操作ですので、博士は本田と稲本の2人で外に出しますので、迎えを寄越しておいて下さい。

引き渡し後に直ぐに、現場に戻ります。」


「……………………………」


「2尉、聞こえてますか?」


須永は自分のインカムを指で軽く叩きながら尋ねた。


「コンテナは地下駐車場に直結している。

補充兵2名と軽装甲機動車を2台用意しておく。君達は、そのまま別の施設まで岡田博士を警備して貰う。

行き先は補充兵に伝えておく。以上だ。」


「ちょっ…?青島2尉!」


通信は一方的に遮断され、情報端末にはデータが届いた証として、ランプが僅かに緑色の点滅を繰り返していた。


(クソッタレ!鈴元や松下の亡骸も回収すら諦めろと言うのかよ!)


ガン!!本田が壁を叩き、うつむいた眼からは涙がボロボロと落ちていた。


「助けにも行けない!

鈴元のアニキの亡骸に手を合わせる事も出来ないなんて……あんまりじゃないかよ!

なぁ……?」


誰にともなく本田は叫んでいた。


「みんな、聞くんだ。いつも、鈴元は何んて言ってた?

任務から目を背ける奴は?」


「全員でデコピンっす」

本田が涙を袖で拭いながら答えた。


「鈴元さんのデコピンは痛いからな。

弔い合戦より任務って言われるぜ。」


長谷部が、本田の肩を抱きながら、無理やりの笑顔でみんなに言った。


「長谷部……よく言った。」


須永は長谷部と本田の肩に手を置きながら、部下の1人の顔を覗き込んで……


「鈴元と松下に後ろ指さされる訳にはいかんからな。行くぞ。

鈴元と松下に敬礼っ!」

全員が、バイオメディカルルームの方向に向かい敬礼をし、順にもと来た通路に駆け出して行った。


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