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第12話 西脇分隊の悲劇

もう直ぐ4000アクセス!

楽しんで貰えるように頑張ります

有紀以下5人(匹)のゾンビ達は、大きな声に向かい、のそりのそりと一歩ずつ近づいていたが……

「ウガッッッッッ」


と小さく唸り先頭を歩く有紀だったゾンビが止まった!?


まるで待ち伏せをするかのように、有紀がとまりその横に元凶の助手が並び、ゆらゆらと身体を揺らして停止した。


その横を、山岡と山形が追い越すように迂回して曲がり角の手前で立ち止まった。


まさしく待ち伏せの体制である。


種の保存や繁栄の本能なのか?


兎にも角にも狩人達は配置についたのだ。


そこに、知恵を持ちながらも愚かな『餌』たる人間が、

警戒していれば充分に抵抗できる武力を持ちながら無防備に近づいていたのである。


福島は

「俺は未来の目を持つ勇者。イーグル・アイなんだよ。凡人は黙ってな。」

と、言い後ろを振り向きながら角を曲がり、山口の視界から消えたと思った途端に…………


「う・ウうワァぁぁぁ……ばっ、ばけも……

ぎっぎやぁぁぁぁぁぁ〜い、いだぁぁぁぁぁぁぃ」


「ぎやぁぁぁぁぁあ、や・やめでぇ……」


絶叫する福島の声がした。


「何なんだよ。ふくしまぁ〜、念の入った芝居だなぁ!

それともICカード持ってるゾンビでもいたのか?」


福島の一人芝居と疑っていない山口はのんびりとしていた。


しかし、山口の指摘も

まんざらではなかったのである。


ゾンビの1人(匹)の山形の右手にはしっかりとICカードが握られていたのだから………


「山口!何があった?今のは悲鳴じゃないのか?」


加持が怒鳴るように聞いてきた。


西脇分隊は、ダラダラと行軍してたので、先頭の山口達と中ほどにいた、西脇や加持との間が30メートルほどに間延びしていた。


「大丈夫です。福島の悪ふざけです!直ぐに注意してきます!」


駆け出そうとした山口。

「待て!俺が行く。

馬鹿野郎が!!

大目玉食らわしてやる!」


余りにも状況を考えていない悪ふざけに、普段は冷静な西脇がキレた。


「全員駆け足!俺に続け!」

(福島の野郎!全員の前でこっぴどく、しばいてやるからな!)


悲しいかな、だらけていても、訓練された兵士達だった。


西脇を先頭に数秒で曲がり角を曲がったのである。


「!!!!!!」


一番最初に曲がり角に飛び込んだ、西脇は自分の目を疑った。


須永隊の松岡が変わり果てた姿で、その白く濁った目で西脇を、いや、飛び込んできた『生きた餌』をじっと見つめていたのだ。


祈る思いで足に力を込めて、急停止した西脇は


「たい、ガッ!」


後ろから追走していた加持に追突されて……ヨロヨロと、山岡の隣にいた山形だったゾンビの前に無防備に押し出された。

「ウッ・・・」と西脇が叫んだが、叫び声は……

ブッシュゥゥッッ−−

噴き出した血の音にかき消された。首の頸動脈を食いちぎられていた。


西脇は最後の光景、襲ってきたゾンビの右手にICカードが握られていることの意味を誤解したまま、死んでいった。




本部


急な作戦変更の会議に召集された真鍋1尉は会議が終わり自席に戻る最中、何気ない光景の中っふっと不安を掻き立てられた。


「何だ?何が気に触る?」


真鍋は自分が何に引っかかったのか、懸命に意識を集中して考えた。


真鍋の目の前には監視カメラの画像がバラバラに18面映し出されているモニターがあり、建物内を15秒間隔でランダムに映し出していた。


「あっ!……。竹内、11番のモニターを一つ前の場所に戻して、停止させろ!早く!」


怪訝な顔で竹内は作戦参謀の一員である1尉の指示を実行した。


「な、なぜ……だ?誰が?……

や、やっちまったぞ!」

「竹内、全館にコード・レッドを出せ!

今直ぐにだ!

責任は俺が持つ!

早くしろ!」


戸惑ってあたふたしている竹内を突き飛ばして、隣にいた隊員が操作パネル飛びついた。


「田坂3佐!青島2尉!来て下さい。」


どこにいたのか、田坂が直ぐ横に現れた。


「どうした?真鍋1尉」

「メディカルルームのドアが開いてます……11番のモニターです。」


真鍋はモニターの1つを指差していた。


「なっ!なんてことだ。」


口をワナワナと震わせて田坂は唸った。


「全館アラーム用意出来ました!」


隊員は真鍋ではなく、本部責任者である田坂に向かって報告し、スイッチに指を乗せていた。


「ま、待て、全館アラームは駄目だ。

パニックが発生する。

駄目だ!

解除しろ」


「3佐!

ゾンビが……

通路に放たれんですよ!鈴元や松下でも止めれなかったじゃないですか!」


真鍋は初めて上官に逆らった。


「駄目だ!

アラームは許可出来ん。」


真鍋は思わず、腰のホルスターの拳銃に手をかけた。


「誰に対して拳銃を抜くきだ?」


と青島が真鍋の手首をガッチリと掴んだ。


「青島さん!青島さんからも言ってくださいよ!

今なら、事務方を退避させてから、火力で一気に蹴散らせます。


ゾンビを増やしたら駄目なんだ!

ユタでも、ゾンビの数に負けたと報告されているじゃないですか!」


青島は静かに警務隊員に目配せをし、真鍋を引き渡した。


警務隊員に拘束され、部屋の外に連行されながらも、真鍋は言い続けた。

「今なら、人の数の方が圧倒的に多いんだ。

奴らにやられ始めたら、あっという間に数が逆転するんだ!

わからないんですか?

日本を破滅させるんですか!田坂さんっ!青島さん!………」


閉じられた扉が真鍋の訴えを退けた。


「西脇隊。

エマージェンシー!

コード・レッド!

コード・レッド発生。

ゾンビがメディカルルームから出た可能性がある。」


青島が無線で西脇隊を呼び出していた。


「3佐!メディカルルーム内の画像。1番に出します。」


「………いない!?誰が開けたんだ?」


呆然と田坂はつぶやいた。


「こちら、青島。西脇隊どうぞ!」




西脇分隊


最初の犠牲者は西脇であった。


直ぐ後ろを追走していた加持は2番目の犠牲者だった。


指揮官を失った部隊は為す術なく、ゾンビの餌食になるしかなかった。


「隊長が殺られた!」


「副長も駄目だ!」


雪崩のように曲がり角に突入してきた7名の内4名はぶつかり合いながら床に倒れ、

何とか3名のみが応戦体制をとれたが、全員がパニックに陥っていた。


「撃て!」


「撃つんだ」


口々に叫びながら、隊員達はMP5マシンガンをゾンビに向けて引き金を引いた。


「食らえ!」


「死にやがれ〜〜っ」


「????………!!!」


そう、悲しいことに3名のマシンガンから弾丸が発射されることはなかった。


先程の西脇の指示が……裏目に出たのだ。


西脇と加持を襲った2匹以外の4匹が……


唸り声とともに…立ち尽くす3名と、起き上がろうとしていた1名の隊員に遅いかかった。


4箇所から大きな悲鳴と血飛沫が飛び散った。


襲われている4名を後目に、床に倒れていた残りの3名が、立ち上がり、這いつくばり、逃げようしたたところに、西脇と加持を襲い終えた、2匹が襲いかかった。



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