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0―1.午前弐時
推理モノになる予定です。
初めてのジャンルなのでツッコミどころ満載かもですが、温かく見守ってください。
よろしくお願いします。
※1話目は、拍子抜けするほど短いです。
「オリヴァー、何か面白い話はない?」
よく手入れの行き届いた髪を指先で玩びながら、エマは傍らに立つ執事の男に向かってそう言った。
今は、夜の半ばを過ぎた頃。
無茶振りとも思える質問だが、驚くこともなく、むしろ慣れたように執事は答えた。
「どのようなお話をご所望でしょうか」
エマは、執事の慇懃な言葉に満足したように口角を上げる。
「う〜ん、そうねぇ」
エマは視線を窓に向け、窓に打ちつけるように振る雨を見て思いついたように言った。
「雨に纏わる話、とかどうかしら?」
エマの要望に、オリヴァーは少しばかり考えを巡らせてから答えた。
「そうですね。後味の悪い話になりますが……それでもよろしければ一つあります」
「ええ。大丈夫よ、話してちょうだい」
はい、と頷き、一呼吸置いてからオリヴァーは語り始めた。
「これから話しますのは、東の国の、昔話でございます――」