第十二話 超大熱狂のヒーローショー②
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
「・・・こうして、勇者は己の運命にあらがい、憎き魔王を討ち滅ぼして世界に平和をもたらすことができたのでした。 ご清聴、ありがとううございましたっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「......うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!?!?!?!?!?!??!?!?!?!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
長かった物語を余すことなく語り終えたぼくがぺこりと頭をさげると、僕の前方から空間が轟くような超大大大大大歓声が響き渡った。
もはや言葉では表せないくらいに大熱狂しているお客さんたちを見てみると、身分種族年齢職業性別などの一切の垣根なくみんなが一丸となって、自分が感じた興奮と熱狂を共有し合っている。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「...........ユー、ウー、シャ!!!!! ユー、ウー、シャッッッ・・・」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
四方八方から聞こえてくる、「ユウシャ」の大合唱。
..................そろそろ、頃合いだな。
ぼくはにやりと不敵な笑みを浮かべて、クロエさんにそっと合図を出した。
「.................キャーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」
未だ興奮冷めやまぬといった感じで、会場全体が大熱狂のピークに差し掛かろうとしたその瞬間。
若い女性の悲鳴が、会場全体に響きわたった。
お客さんたちが急いで悲鳴のする方へと目を移すと、なんと! 我が王国が誇る最強ギルド“ 慈愛の翼 ” ギルドマスターのスサマアージ・クロエさんが、闇の魔法によってとらわれてしまったではないか。
「.............グワァーーーーーーーーーーーーッハッハァッッッ!!!!!!!!!!!」
お客さん達がこの場の事態を飲み込むヒマを与えず、会場の最後列で禍々しい笑い声が響き渡る。
「...........お、オマエはぁっ............!?!?!?!?!?!?!?!?」
お客さんたちが、思わず恐怖と驚きにまみれた声をあげて笑い声が響き渡る方へと視線を移す。
するとそこには、さっきまで“ まんが ” のなかにいたはずの魔王が、邪悪なオーラを放ちながら禍々しく宙に浮かんでいるではないか。
今目の前で起こっているこれは、本当に現実なのだろうか。
あまりに興奮しすぎて、脳が勝手に創り出した幻覚をみているのではないか。
その考えに支配されてぱちくりと目をまたたかせているお客さんたちをよそに、魔王が邪気をはらんだ声で鋭く言い放つ。
「.......あのいまいましい勇者が存在しないこの世界で、存分に暴れてやるとしよう.........!!!!」
「.......ひぃぃぃっ.........!?!?!?」
魔王のその一言が耳に入ってしまった一部のお客さんが、恐怖にふるえ、恐れおののく。
..........が、中にはそんな魔王に挑まんとする勇敢なひとたちがいた。
「..........クソッ!!!! 魔王なんかの好きにさせるかっ........!!!!
白金級のこの俺様が、直々にブチのめしてやるぜっ!!!!」
「.....いくぞお前たちっ!!!! 我が黒竜騎士団の名にかけて、あの忌々しい魔王を討つのだーっ!!!」
「..........急いで民を避難させるのじゃっ!!! 各国から応援を要請しろぉっ!!!!!」
相当腕が立つと見られる冒険者やどこかの国の騎士団のひとたちが、果敢に魔王へと攻撃をしかける。
王様らしき偉そうな人が、お客さんの避難誘導を必死に行っている。
そんなお客さんたちの必死の抵抗もむなしく、魔王が嘲笑うようにひょいっと指を一回転させる。
「............くっ.........くそぉーっ........!!!!!」
「.......し、しまったっ!!!!!!!」
会場にいるお客さん全員の腕が黒いエネルギー状の縄で縛られ、魔王を討とうと意気込んでいた人たちが軒並み悔しそうな声をあげる。
「.............グワァーーーーーーーーーーーーッハッハァッッッ!!!!!!!!!!!」
勇者さえ存在しなければ、我は無敵だ!!!!!!!
どれ.........手始めに、この世界のものたちを支配してくれようぞ.............!!!!」
魔王が、縛られてしまったお客さんたちを見ながら湯悦に浸って高らかに笑う。
そんな、誰がとう見ても絶体絶命な状況の中...........。
「「「「..........そうはさせないっ...........!!!!!!」」」」
さきほどまでマンガを読み聞かせていた特設ステージの壇上から、勇敢な男女四人組の声が響き渡った。
「.......魔王っ!!!!!もう人々を支配するのはやめろっ!!!!!!!」
「.....おまえのその野望ごと、あたしがぶん殴ってやるっ!!!!!!」
「........ここにいるみんなを.........この世界のみんなを、守りますっ!!!!!」
「.........私の魔法の餌食になりなさいっ!!!!!」
初めて声を聞くはずなのに、妙に懐かしく感じる台詞の数々。
その声が響き渡る方へと視線を移すと、先程までその存在に心を踊らせ、憧れてやまなかった.............あの勇者たちが目の前にいるではないか!!!!
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「......うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!?!?!?!?!?!??!?!?!?!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
助けが来た安堵感に、あの勇者たちをこの目でしっかりと見ることができた心臓が破裂しそうなほどの興奮。
そしてなにより.............自分たちを守るために勇者たちが戦ってくれるその感動に、多くの人々が涙を流して絶叫する。
「..........みんな、もう大丈夫だ!!!! あとはオレたち勇者パーティーにまかせろ!!!」
そのあまりにも膨大な感情たちを一身に受け止め、勇者が軽快にウィンクしてみせる。
その場で黄色い悲鳴があがるが、勇者は気にもとめずに魔王へと剣を振りかざした。
「.............ぐぬぬぅ.........小癪なぁ......!!!!!!!
勇者ともども、この場で捻り潰してくれるわッ............!!!!!!!!」
そう吐き捨てた魔王が、手のひらから禍々しい形の大剣を取り出して勇者と打ち合う。
「.......勇者ああああああ!!!!!! いっけえええええええっ!!!!!!!」
「........勇者さまぁぁぁぁぁぁぁ♡♡ がんばってぇぇぇぇぇぇぇぇ♡♡♡」
「......そこじゃぁあ!!!! いいぞ勇者ぁぁぁあっっっっ!!!!!!!!」
身分種族年齢職業性別などの一切の垣根なく、その場にいるお客さん全員が一丸となって勇者たちに全力で声援をおくる。
しかし、それをもってしてもなお、魔王の力は強大だった。
「............くそうっ.........!!! 魔王め.......なかなかしぶといな..........!!!!」
「.......勇者ぁっ!!! こうなったら、アレを使おうぜっ!!!!」
「..........ああ!!! 俺の必殺技で、一気にけりをつけるぜ!!!!!」
勇者がそう言い放つと、お客さんがいるにむかって力いっぱい叫んだ。
「..............みんなーっ!!! ひとつお願いがあるんだ!!!
俺が編み出したあの技を使いたいんだけど、魔力がもう残ってないんだ!!!!
オレに........オレたちに魔力を分けてくれーーーーーーっ!!!!!!」
あの勇者の直々のお願いに、会場がまたもや大熱狂の渦にのまれる。
「.........もちろんだぜ勇者ぁ!!!! 俺の魔力を使えぇぇぇぇぇ!!!!!!!」
「..........きゃああああっ♡♡♡ 勇者さまのお役に立てるなんて、光栄ですぅっ♡♡♡♡」
「.......皆のもの、国王命令じゃっ!!!! いますぐ勇者どのに、魔力を分け与えるのじゃっ!!!!!」
会場の全員が、自身の魔力を惜しみなく勇者へとおくる。
その魔力量は、あの大地の人造巨人に匹敵するほどのすさまじいものだった。
「.......ヘヘっ!!! みんな、サンキューなっ!!!!!
この魔力で、正義の鉄槌をくらわせてやるぜっ!!!!!!!」
会場の熱気のボルテージが、どんどんどんどんと高まってゆく。
「..........必殺っ!!!!! 超スーパーウルトラギガントスラーーーーーーーーーーッシュッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
会場内に、勇者の必殺技を叫ぶ声が響き渡る。
「................こ、こしゃくなあああああああああっっ!!!!!!! この我が..........この我が二度も敗れるなどおおおおおおおおおおっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!」
勇者の必殺技が直撃した魔王が、あまりの痛みに会場内の上空をのたうち回る。
そして、苦しみに苦しみぬいたのち.........................
「.................ぐわああああああああああああああああああっっっっっっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!」
耳が壊れるほど大きな声で断末魔の叫びをあげて、魔王の体が爆発四散する。
「..........やったな、みんな!!!! 魔王をやっつけたぞ!!!!!!!」
そういって、勇者がお客さんたちへ向かってにかっと爽快な笑顔をみせる。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「......うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!?!?!?!?!?!??!?!?!?!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
その様子を一部始終見ていたお客さんたちが、今日いちばんの超大大大大大熱狂の雄叫びをあげて勇者たちの勝利を心の底から喜ぶ。
大興奮のはるか向こう側の領域に立った彼らは、興奮しすぎてもはや何がなんだかわからないといった感じでただ感情の赴くままに叫び続けていた。
「............みんなーっ!!!! 協力ありがとうっ!!!!!!!!
オレたちが魔王に勝つことができたのも、君たちのおかげだっ!!!!!!!!
だから、みんながこの先どんな困難にぶつかっても、決してあきらめないでくれ!!!!!!
仲間と協力して立ち向かえば、きっと今日みたいに.......どんな強い敵にも勝てるはずだぜ!!!!!」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「......うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっっ!?!?!?!?!?!??!?!?!?!?
ユー、ウー、シャ!!!!! ユー、ウー、シャッッッ・・・ ユー、ウー、シャ!!!!! ユー、ウー、シャッッッ・・・」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
勇者がお客さんに激励のメッセージを送ると、みんな涙を流しながら感動して雄叫びをあげる。
会場の大広場.........いや、王都すべてを包み込むような勇者たちを称える声は、いつまでもいつまでも衰えることはなかったのであった.............。
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