第十一話 超大熱狂のヒーローショー①
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
「..........おいっ、聞いたか!?!? 大広場で “ まんが ” の話の続きが見れるらしいぞ!!!!!」
「.....はぁ!?!?!? マジかよっ!!!! 見に行こうぜ!!!!!!」
「.....ねえねえ!!! 聞いた!?!? “ まんが ” の話!!!!!!」
「聞いた聞いた!!!! しかも、今回は二本立てなんでしょ!?!?!?」
街ゆく冒険者の誰もが興奮気味に話している...... “ まんが ” についての話題。
冒険者も、そうでない人も、庶民も貴族も大人も子供も関係なく、誰もが瞳をキラキラさせてその話題に花を咲かせていた。
ここ連日、王都全体がかつてないほどの盛り上がりを見せていた。
「........そこの背景は、もう少し右のほうによせて置いてください。
はい。 そのへんです!!! ありがとうございます!!!!!」
大広場に特設された会場の設営の指揮をとる僕と、それを手伝ってくれている冒険者や王国に住んでいる人たち。
みんなが一体となって、数時間後に開催される “ まんがの朗読会 ” へ向けた準備を行っていた。
僕がナキシーさんたちに伝えた “ あるアイデア ” 。
それは、子どもたちにマンガの朗読をしてあげることだった。
もちろん、ただの朗読だけではない。
僕が持ってきたマンガの内容に加えて.........もう一つだけ、サプライズを用意したのだ。
これなら、子どもたちにも冒険者の方々にも喜んでいただける。
そう確信した僕は、ガーネッコさんに背景のセットとマンガの続きのイラストを担当してもらい、
ナキシーさんたち騎士団のみなさんに会場の使用許可を取ってもらったり、冒険者のみなさんに会場の設営や衣装の制作を手伝ってもらったりしたのだ。
こうして始まった僕のアイデア実現計画から、月日が流れておよそ2週間後。
本来は、子どもたちと冒険者のみなさんだけでひっそりと行うつもりだったんだけど.........
噂が噂を呼び、王都どころか王国全体........はては隣国からまでもいろいろな人が殺到してしまったのだ。
ナキシーさんいわく、「タヴァータの “ まんが ” のお陰で我々は大地の人造巨人を倒し、あの極悪非道な七罪人を捕らえることができたのだ。 注目されるのも無理はない」とのことだったけど、さすがにこれは人が多すぎでしょ..........。
あまりの人数に最初に押さえていた会場がパンパンになってしまい、急きょ会場が宮殿前の大広場に変更になったのだ。
まさかこんな大ごとになるとは夢にも思っていなかったが、おおむね予定通りに計画は進んでいた。
「............みんなぁ〜♡ 差し入れにおいしいお茶とお菓子もってきたわよぉ〜♡」
僕たちが会場設営を頑張っていると、クロエさんがお茶とお菓子を持ってねぎらいに来てくれた。
「.......クロエさんっ!!! ありがとうございます!!!!!」
僕が汗を拭いながら大声でお礼を言うと、クロエさんが優しい笑顔で僕の頭をなでてくれた。
「........うふふっ.....♡ お礼を言うのはこっちよぉ。
タヴァータくんの企画したイベントのお陰で、わたしのギルドが運営する宿も連日予約がい〜っぱいなのよぉ...........♡ この王国を盛り上げてくれて、本当にありがとうねぇ......♡」
「.........いえいえ、そんな.........!!!」
僕が顔を赤くして照れると、クロエさんはにっこりとほほえみながらこう続けた。
「..........イベント........成功するといいわねっ.........!!!」
「...........はいっ!!!!!!!」
僕が、真剣な表情で気を引き締めて返事をする。
その声は、大広場いっぱいに響きながらガヤガヤとした人々の話し声の中に消えていった。
「..........タヴァータどのタヴァータどのっ!!!!!! いよいよ..........いよいよ始まりますぞぉぉぉっ!!!!!!!!!!!!!」
「...............は、ははははははははいぃぃぃっ!!!!!!!!!」
開始時刻の正午を告げる鐘が響き渡るなか、僕とナキシーさんとクロエさん........手伝ってくれた騎士団、冒険者の方たちと出演者の方は、ステージ裏で緊張と戦いながら待機をしていた。
ステージ裏の隙間からちらっと奥の様子をのぞいてみると、前に通っていた学校の何倍も広いであろう大広場にぎゅうぎゅうに敷き詰められた様々な種族の人たちが、みんな今か今かとイベントの開始を待ちわびている。
よくよく見れば大広場に隣接する通路にはたくさんの出店が並んでおり、さながら日本の夏祭りみたいだ。
なぜか新たに設営されていたVIP席のような豪華なエリアには、いかにも貴族のようなお金持ちっぽい人たちが食い入るように今か今かとステージの方を見つめている。
中には、きらびやかな衣装に身を包んだお姫さまっぽい人やどこかの国の王様っぽい人たちまでいる。
何度見ても、頭がくらくらするような凄まじい光景だ。
(.........ううう.........緊張するぅ...........!!!!!
.......これだけ大勢の人達の前で、もし失敗なんてしちゃったら.................!!!!!!!)
僕の頭の中で良くない想像がはたらき、あまりの恐ろしさに思わずぶるるっと身震いする。
そんなガチガチに緊張した僕の様子を見かねて、ナキシーさんたちが話しかけてくれた。
「...........はははっ。 緊張しているのか?
.................大丈夫だ。タヴァータくんならきっと、大勢の人を楽しませられるさ。」
「.........そうよぉ♡ わたしたちがついてるわぁ......♡」
「........子どもたちを笑顔にさせたいんだろ? タヴァータなら絶対できるって!!!!」
「........タヴァータさんに、勇者様のご加護があらんことを.......!!!!」
みんなから口々にあたたかい激励の言葉をうけとり、しだいに僕の心があつくなってくる。
そうだ。
もう僕は、ひとりぼっちじゃない。
僕は、前の世界にいた頃から今まで、数え切れないほどマンガやアニメに救われてきた。
だから今度は、僕がマンガやアニメの力を借りてみんなを救うんだ...........!!!!!!
大切な仲間からの声援を背中に受け、僕はまっすぐに大勢の人々が待つステージへと上がっていった。
「........みなさんっ.........!!!! こんにちはっ.............!!!!!!」
頭が割れそうなほどにごうごうと轟く超大歓声を一身に浴びながら、僕がおずおずと特設ステージの壇上に登る。
まだ一切何もしていないにもかかわらず、観客のみんなは大興奮........大熱狂していた。
動物っぽい種族の人たちは遠吠えやいななき、雄叫びをあげたり.............
翼のある種族はばさばさと大きく羽ばたいたり、ドラゴンっぽい種族は空に向かっておもいっきり火を噴いたり..............
みんな思い思いの方法で、己のうちに秘めた高ぶる感情をぶちまけている。
正直とても怖いが、こんなことではびびってはいられない。
だって、これからもっと..........凄いことになるのだから。
僕は不敵な笑みを浮かべながら、お客さんの方へ正面を向いて声を張り上げた。
「.........先日の大地の人造巨人の件では..........たくさんのご迷惑とご心配をおかけしてしまいました..................
この場を借りて謝罪させていただきますっ!!!!! 大変もうしわけございませんでしたっ!!!!!!!!!!!」
声を大きく張り上げて、ぺこりと頭を下げる。
クロエさんがかけてくれた身体強化の魔術のおかげで、自分でも驚くほどの大声が喉から響き渡る。
「...........僕たちが大地の人造巨人に打ち勝って七罪人を捕らえることができたのは、戦ってくれた冒険者の皆さんや騎士団の皆さん............そして、迅速な避難に協力してくださった皆さんのおかげですっ!!!!!!! 本当にありがとうございます!!!!!!!!!」
僕がそう言い終わるやいなや、耳をつんざくような轟音を立てて拍手喝采が巻き起こる。
「.......これから僕が話すお話は、僕の故郷に伝わる “ まんが ” というものに記されているお話です。
この “ まんが ” には、どんな困難にも立ち向かえるような勇気と希望がいっぱい詰まっています!!!!
そんな“ まんが ” の素晴らしさを、皆さんにも知っていただきたいです!!!!!!!!!!!
どうか.........よろしくおねがいしますっ!!!!!!!!!」
僕がそう言い放った途端、クロエさんの魔法で超巨大化したマンガが僕の眼の前に現れた。
今日いちばんの大熱狂のなか、僕は大声でマンガの朗読をはじめた。
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