第九話 誕生!ガイアゴーレムちゃん
数ある作品の中から興味を持っていただき、本当にありがとうございます!
「「「「「「「「「「「「「「「「.......タヴァータ(くん)(さん)(どの)っ!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」
「............やめてぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!?!?!?!?!?!?」
人造巨人の中心からタヴァータが表れる。
そして、ヴィーラムの絶叫もむなしく、依り代を失い形を保てなくなった人造巨人の体がぼろぼろと崩れていった。
「........やった.........っ!!」
「「「「.......やったぁぁぁぁぁぁっ!!!!!!!!! タヴァータ(くん)(さん)(どの)を助け出したぞぉぉぉぉぉっ!!!!!!!!!」」」」
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「............うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっっっっっっっっ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
その瞬間、各地で空間をつんざくような大歓声があがる。
我々は、みごとに恐怖に打ち勝ってタヴァータを救出し、神に勝利することができたのだ。
その圧倒的なまでの喜びは、何者にも代えがたいほどの素晴らしいものだった。
「..........あぁ.............そんなぁ......................
あーしの..........あーしの大切なモノがぁ...............っ!!!!!!!」
一方、その頃。
クロエと地上に残っていた騎士たちに囲まれたヴィーラムは、泣きべそをかきながらひどく怯えていた。
「...........七罪人のひとり、グリード、ヴィーラム。
“ 慈愛の翼 ” ギルドマスター、スサマアージ・クロエの名のもとに、貴方を連行します。」
そう淡々と告げたクロエが、まるで汚らわしいものを見るかのような冷たい眼差しでヴィーラムを凝視する。
逃げようにも、怒りに燃えた目の騎士たちが、絶対に逃がすまいと剣を構えて彼女を囲んでいる。
なにより未だに、クロエの拘束魔法の中だ。
「..........あふっ........くふぅっ..............!!!!!
やだぁ............やだよぉ..........っ!!!! あ、や、ぁぁぁっ............!!!!」
黒い瞳に涙をいっぱい貯めて、綺麗で整っていた顔を恐怖でくしゃくしゃに歪めている。
腰が抜けてしまった彼女の足元には、大きな湖が出来上がっている。
きっと、怖くて怖くて仕方がないのだろう。
この先に待っているであろう、酷い仕打ち.........
そして、今まで犯してきた罪を償うことが。
(..........知らない天井だ...........。)
まるで長い長い深い眠りから冷めたときのような感覚を感じながら、重い瞳をぱちりと開ける。
目から入ってきた眩しい光に目がくらんだあと、僕の視界に入ってきたものは.........
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「.......タヴァータ(くん)(さん)(ちゃん)(どの)(兄ちゃん)っ!!!!!!!!!!!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
僕を心底心配そうに見つめていた.......みんなの姿だった。
「........ぐすっ.......うわああああああああんっ!!!!!」
「.......よ゛が っ だ ..........よ゛が っ だ よぉぉぉ.........!!!!!」
「..........ひぐっ........えぐっ.........タヴァータああああああっっ!!!!!」
「.........とってもとってもとぉーっても、心配したんだからぁっ..........!!!!!」
「.............うおおおおおおんっ!!!! 無事で良かったぁぁぁぁぁっ!!!!!!!」
「........へへっ、年取ると涙もろくなっちまっていけねぇや。 無事で良かったなぁ........!!!」
(............そうか。 僕、ヴィーラムさんに魔法をかけられてっ..........!!!!)
なぜだかわからないけれど、次から次へとぽろぽろと涙がこぼれ始めた。
「.........ぐすっ........ひぐっ.........み゛な ざ んっ...........ほんっ..........ほんとうにっ..........
あり.......ありがどっ.........!!!!」
まるで感情の栓を抜いたように、涙と言葉があふれでてくる。
僕たちは、まるで赤ちゃんのように泣き続け、無事にまた会えたことをいつまでもいつまでも喜びつづけた。
「.........みなさんっ........!!!!! 心配かけてごめんなさいっ!!!!!!
助けてくれて、ほんとうにありがとうございましたっ!!!!!!」
僕が意識を取り戻してから、どれだけの時間が経っただろうか。
ようやく溢れ出した感情がおさまった僕たちは、穏やかな気分でみんなと話をしていた。
「..........まったくだっ!!! タヴァータくんが突然行方不明になって、どれだけ心配したことかっ.........」
「......しっかし、相手が七罪人たぁタチが悪かったなぁ。 まさかそんな極悪人が出てくるなんて思いもしなかったぜぇ。」
「.........ほんとよねぇ!! タヴァータくんだけじゃなくたくさんの子供たちも奴隷として扱ってたし....... 絶対に許せないわっ!!!!!」
「.......しかもタヴァータ殿を利用して世界を滅ぼそうとするなんてっ...........!!!!
........あ、子どもたちは拙者達がきちんと責任をもって保護していますので、ご安心くだされ!!!」
「........ありがとうございますっ!!!!!!!!
ところで............一つみなさんにお聞きしたいことがあるんですが...............」
僕は、目覚めてから今までで一番の疑問をみなさんに質問した。
「...........あそこにいる女性の方って、どなたですか..........?」
僕が軽く指さしたところの先には、身長が僕の倍くらいありそうな褐色肌の女性が、ずーっと無表情のままちょこんと体育座りをして待っていたのだ。
僕の部屋に集まってくれた、ナキシーさんやクロエさんなどのよく知っている方たち。
しかしその中に一人だけ、まったく知らない人物が紛れ込んでいたのだ。
「...........あぁー..........その子かぁ.................。」
ナキシーさんとクロエさんが、困ったような表情をして答えた。
「..........この子、大地の人造巨人の体のかけらが散らばっているところに、はだかんぼのままちょこんと座ってたのよぉ。」
「........種族はタヴァータくんと同じ人間みたいな姿をしているのだが、ずっと無表情で何を話しかけても答えてくれなくてな。」
「..........おそらく、ヴィーラムが呼び出した大地の人造巨人と関係があると思うんだけどぉ......... まだまだ謎だらけねぇ。」
「.........そうなんですね..........」
僕はもう一度、謎の女性をまじまじと見る。
綺麗な長い黒髪に、褐色の肌。
琥珀色をしたきれいな瞳は、僕の方をじーっとまっすぐ見つめている。
体育座りをしているせいでわかりずらいが、身長は僕の倍くらいありそうなほど大きい。
そして............... その............ お尻とお胸もクロエさんと同じくらい..........いや、それ以上に大きいし、服も白い大きい布を巻いているだけだから、すっごく目のやり場に困る..........
「.........あのー.........どなたですか...........?」
僕が、その女性におそるおそる尋ねる。
すると、その女性はゆっくりと立ち上がり、僕の方へずしんずしんと足音を響かせながら近づいてきた。
「.........!?!?!?!?!?」
突然の出来事に僕たちが固まっていると、その女性が僕に向かって、無表情のままぼそりとつぶやいた。
「............................ぱぱ.........................。」
「「「「「「「「「「「「「「.......................パパぁ............!?!?!?」」」」」」」」」」」」」」
その女性は、そう呟くとほんの少しだけにっこりとはにかんだ。
「.............うーん..........なるほどなるほど.............そういうことかしらねぇ...........?」
「.........クロエさん、なにかわかりましたか?」
謎の女性の謎の発言から半日後。
僕と謎の女性のステータスや遺伝子、体のしくみなどを調べてくれていたクロエさんが、自分の部屋で研究データとにらめっこしている。
その間僕はずっと、僕のことをパパと呼ぶ謎の女性のひざの上に座らされてあたまをなでなでされている。
謎の女性は相変わらず無表情だが、僕をなでなでしている時はこころなしか少し笑顔になっている気がする。
「.........まず、その子のことなんだけど........... 遺伝子的には、タヴァータくんとなにも繋がりはないわねぇ。」
「........なるほど.........じゃあ、彼女はどういう存在なんですか?」
「..........種族はおそらく人間の女の子なんだけど、ステータスや固有能力がヴィーラムの呼び出した大地の人造巨人とそっくりなのよぅ。
だいいち、人間が......というより一般的な生物がこんな圧倒的なステータスをしているわけないし............ そもそも身長や体重がタヴァータくんと違いすぎるわぁ。」
「「............うーーーーーん.................」」
二人して頭を抱えていると、突然僕の頭上からかわいらしい声が響き渡る。
「.....................ねぇ.................。」
「「.........うわぁっ!?!?」」
驚いて彼女の方を見る僕たち2人をよそに、彼女は淡々と話しはじめた。
「................................わたし.................................ずうっと前から...............せまくてくらいとこにいた.......。
ママとはぐれて...................ひとりぼっち...........................。
.............だけど............................ たくさんのまりょくに.....................よびよせられて...................
きづいたら......................ぱぱのからだから............うまれてきてた.................。
.............だから...................パパは.................わたしのパパ................。」
彼女の声だけが、だだっ広いクロエさんの部屋の中に響く。
「..........なるほどねぇ。
おそらく、ずーっと長い間大地と一体化していた大地の人造巨人ちゃんの魂が、ヴィーラムの魔力によってタヴァータくんと一体化して、人間の女の子の姿になれた.........って感じかしらぁ。」
「...........そんなことって、本当にあるんですか?」
「........わからないけれど、神獣の存在が確認されることすら、数千年に一度くらいだと言われているの。
そんな謎が多い子だから、あるともないとも言い切れないのよぅ。
.........まあ、タヴァータくんを依り代として生まれてきたから、あながちこの子の言うこともまちがってないんじゃないかしらぁ?」
クロエさんが、にこにこと屈託のない笑顔でそう告げた。
「...........この子も、ヴィーラムの勝手な都合で生み出されて戦わさせられた被害者なのよぅ。
タヴァータくんさえよければ、この子と仲良くしてあげてねぇ。」
ふと上を見上げると、さっきまで無表情を貫いていた彼女の顔が少し陰りをみせていた。
全く知らない世界に、ひとりぼっち。
今の彼女の置かれた境遇は、決して他人事とは思えないようなものだった。
「.........もちろんですっ!!!!」
僕が即答すると、彼女の表情がみるみるうちにぱぁっと明るくなる。
「............うん...............!!!
.....................パパ................だいすきっ......................!!!」
彼女がそう告げるやいなや、彼女の腕が僕の体をぎゅうううっと抱きしめはじめる。
僕の後頭部にむにゅううぅっとした凄まじい弾力が伝わると同時に、僕の体が音を立ててビキビキときしんでゆく。
「............いだだだだだだだだっ!!!! もうちょっと、もうちょっと優しくしてぇーっ!?!?」
まさに、天国と地獄。
そんな僕たち親子(?)の様子を、クロエさんはくすくすと笑いながら微笑ましく見つめていた。
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