森の魔女 その2
晩酌しながら書きました。なかなか物語の本筋が始まらない。もう少し設定話にお付き合いください。
思ったより会話の使い分けが難しい。心の変化を会話に反映させるのも難しい。書いてみて改めて気が付きました。書くことに慣れたら、そのうち色々直すかも・・・
7 森の魔女 その2
「わたしの名前はゲルダというんだ。昔少しやんちゃしてね、この次元に封印されたんだよ。あの頃はほんと何にも分かってなかったんだね・・・。ちょっと人より魔力が強いからといってこの世界を支配できると思い上がってたんだね。おかげでここに閉じこめられて3000年経つけど・・・ずっと魔法・・・魂の修行ができてよかったよ。神様さまさまだね。そう、この私をここに閉じこめたのは神様なんだよ。神罰だ。」
「・・・・・」
いきなり身の上話を始めた女性・・・。何が言いたいんだろう?
「もちろん、神様を恨んではいないよ。魂の修行のおかげでこの霊界の理が分かったような気がする。次の霊界にはもっと高位の存在に転生できる気がするからね。」
「でもね・・・ここは次元の牢獄なんだよ。ペニ城郊外にあるけど霊界とは別の次元・・・。けして誰も来れる場所ではないんだ。もちろん、ここから霊界で何がおきたか魔法で見ることはできる・・・でも行くことも干渉することも・・・何も出来ないんだ。」
ゲルダは再び僕の顔をのぞき込んで言った。
「なのに、おまえさんは来た。一体どうやって来たんだ?」
黒こげになった僕を助けてくれた女性だ・・・。それにここがどこだか分からないが、彼女が言うには次元の牢獄らしい・・・。まわりを見渡すと小綺麗な小屋の一室、シンプルだが清潔そうな部屋だ。窓の外には木々はたくさん・・・森かな?
「僕には転生した時に身についた能力があります。それは、違う場所を穴でつないで移動できる能力です。たぶんその力でここに来たんだと思います。」
ゲルダはさらに目を見開いてのぞき込みながら言った・・・
「次元が違っても移動できるのか!?私の魔法でもまだそこまでできないのに・・・・すばらしい!」
天に向かって拝み倒すように手を合わせるゲルダ。
「私の神罰も今日までだったのですね。神様ありがとうございます。」
天を拝み続けるゲルダを待っていると・・・おもむろに正面を向いて聞いてきた。
「ところで、おまえさんの名前は何という?」
「僕は、穴道 徹といいます。前の世界では日本人でした。」
「あなみち・・とおる・・・言いづらい名前だね。と・お・る・・・・トールと呼んでいいかい?」
「トール・・・」
「もし立ち上がれるようなら、その能力みせてくれない?」
ゲルダはおもむろに立ち上がり、空中に海の映像をだした。
「これが霊界の同じ場所の様子だ。昔はペニ城が見渡せる丘だったんだが、今は海の底だ・・・だからここじゃなくて・・・」
映像が横にすーっと流れていく。やがて、巨大な山脈が見える海岸にたどり着く・・・。
「ここが一番近い陸地ね。ここに穴を出せるかしら?」
両手を広げて穴をだそうと試みるが・・・出ない!?
「う~ん。出ないなぁ・・・」
試しに壁際に穴を出そうと手を前に出すと、目の前と壁際に穴が出現した。
「能力はまだあるようだが・・・その場所には出せないようだ。」
少しうなだれるゲルダ・・・
「そう簡単には許されないよね・・・。まぁいいわ、トール!あなたがここに来たということは、いつかここを出られるということだからね。それが分かっただけでもいいわ。」
頭を左右に振ってから、すっきりした表情で前を向き・・
「そうとわかれば、まずはあなたの修行が必要ね。まずは魔法を覚えなさい。ずっと私が念話をつかうわけにはいかないからね。」
「念話?」
「あなた、ずっとよくわからない言葉で話しているから、魔法で直接魂と会話していたのよ。気がつかなかった?」