魔人 その2
登場人物や名称一覧
現 世 :元々主人公が住んでいた世界。(物質世界)
霊 界 :今、主人公が生活している世界。(半物質半精神世界)
神 界 :神様が住む精神世界。
イヒン :霊界に存在する人族。魂の理解度が高く魔法が得意。
ドルーク :霊界に存在する人族。好戦的で力が強い。
イフアン :イヒンとドルークの混血。ドルークを敵対視している。
妖 人 :魂の理解度が低い転生者。コボルド・ゴブリン・オーク・オーガ等
亜 人 :精霊の影響を受けた転生者。ノーム・ベアーフット・ドワーフ・エルフ等
魔 人 :魂の理解度がすすみ、寿命を超越した存在。バンパイア・リッチ等
古代竜 :理を理解した竜。大抵1万年以上生きている。
ワーガ大陸:ペニ城が存在した大きな大陸。魔王の登場で一度全生物が滅ぶ。
ペニ城 :魔王の襲撃を受けて滅んだイヒンの国の城。
ヨドム村 :隕石衝突後にできた魔海沿いの港町。
ドルクロイ:ヨルド村から陸続きで繋がっているドルークの国。
ババス :ドルクロイの首都。
イフアロイ:ドルクロイの東側にあるイフアンの国。
フォーセリア:亜人の国の連合国。一応エルフの国がまとめている。
オーガロイ:妖人の国。オーガの王を頂点とした体勢を築いている。
穴道 徹 :霊界では「トール」と名乗っている主人公。一応魔王。
オルグ :元ペニ城の戦士長。トールに救出されてからは魔王の眷属となる。
コムケ :元ペニ城の戦士。トールに救出されてからは魔王の眷属となる。
ゲルダ :神様に幽閉された魔法使い。冬の女王。トールの登場で解放される。
セレナ :ゲルダが作ったゴーレム。
ヨルドン爺:ヨドム村の墓守。境界の監視人。
ダイゴ :ヨドム村の自営団の団長。モルテガの子ども。
モルテガ :ヨドム村の村長代理。ダイゴの父親。
マスター :竜のゆりかご亭のマスター。
マリア :竜のゆりかご亭の料理人。マスターの妻。
ティアラ :竜のゆりかご亭の看板娘。マスターの娘。
ステラ :竜のゆりかご亭の店員。マスターの娘。ティアラの姉。
ドーガ :ドルクロイの元王。
エステル :ドルクロイ統合後、代王に任命される。ドーガの娘。
ナラミス :フォーセリア連合国の女王。ハイエルフ。
33 魔人 その2
南のベアーフットの村から客人がきた。最初5人できたが、1人急用があったようで帰って行った。できたばかりの村で、たいしたもてなしができなかったが、今のワーガ大陸の情勢を聞きたかったので、宴会を開いて親睦を深めることにした。
まずここに村を作ってもよかったのか聞いてみたが・・・
「オルグ様、ここは山脈に近く、魔獣がたくさんでる地域なので、我々は怖くて近づけない場所なのです。今日も、ここまで来るのも命がけでした。」
年輩のノルダと名乗る老婆が教えてくれた。それなら丁度いい。
「われわれにとって魔獣はたいしたことないから、魔獣が平原に出てこないように躾よう。安心して平原を渡ってくるがいい。」
小さいベアーフット達はうれしそうにしている。中にはなんども頭を床にぶつけてお礼をする者もいる。
それからはたくさんの情報を聞かせてくれた。
ここは、たくさんの亜人の村や街、都市からなるフォーセリアという国らしい。国といってもたくさんの街や都市が参加する連合国家らしい。ただ、亜人は基本的に連合国全体の政治に興味がないらしく、一番大きく、先進的なエルフの国に連合国の政治をすべて任せているようだ。エルフも大事なことは、連合国の代表の意見を聞いて上手に運営しているので困らないらしい。
「どうですかオルグ様、この村もフォーセリアに参加しませんか。魔人様の住まう村で、山脈の魔獣をものともしない強者が集まっていれば、歓迎されると思いますよ。」
ううむ、勧誘されてしまった。ここは魔王様の号令がかかるまでの住処にしようと思っていただけなのだが・・・
「ノルダさん、われわれはどこにも属するつもりはないのですが、フォーセリアに属さないと不都合があるのでしょうか?」
「いいえ。私たちの村もフォーセリアに属していますが、普通の国と違って税金や上納金を納める必要もありません。そういえば、フォーセリアに属してから何かしたかしら?」
「ノルダ婆、フォーセリアに属する契約はただひとつ、フォーセリアの危機には兵を出すことだけだよ。」ノルクがお酒を飲みながら上機嫌で補足した。
まだ畑を作ったばかりで、畑の作物はないので、肉以外の食べ物・果物は全て魔法で出している。もちろん酒もだ。だからあまり美味しくはないが、そこは納得してもらっている。魔獣の肉は美味しいらしく人気がある。酒は酔えればいいみたいだ。
「条件が、危機に兵力を出すだけか・・・それならば参加してもいいな・・・検討しておこう。」
ベアーフット達の夜は楽しく過ぎた。
そして翌日、魔獣の肉をお土産にもらい、また今後の交易の見本として魔獣の資材を持たせてもらい上機嫌で村に帰って行った。
「オルグ様~。あんなにお土産持たせてよかったのですか~。」
「魔王様に声かけてもらうまで、暇だからな。まわりの国々と仲良くして交易するのもいいかもと思ってな。」
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フォーセリアは、連合国である。百以上の村や街、都市が集まってひとつの国を作っている。もともと亜人は、他の種族に興味はない。自分の住んでいる一族の村や街、都市を故郷としてそこで生活が完結している。
しかし、ワーガ大陸でオーガの勢力が増し、妖人をまとめオーガロイと国を名乗ってから、彼らに対抗するために亜人同士で団結して連合国を作った。そして400年前、今度はドルークがワード大陸に進出してきた。圧倒的武力で、イフアロイ、オーガロイを駆逐して勢力を広げた。
その後、ドルクロイとヨドム村の内乱が始まり、ヨドム村から魔石の供給を条件に味方になるよう打診があった。フォーセリアは山脈にドワーフの街があり、定期的に魔石が手に入るが、ドルクロイの勢力を削るためにヨドム村に味方した。
その交渉のほとんどを、フォーセリアのエルフ達が対処した。エルフ国の中心には、女王の存在があった。ハイエルフの女王ナラミスである。焦土と化したワーガ大陸に真っ先に入植した一族でもあり、亜人たちが全幅の信頼を寄せる存在であった。
そのナラミスの元に、二つの知らせが届けられた。あのいいかげんなベアーフットの村から緊急の知らせがひとつ。そしてそれから遅れること1週間、同じ村からの陳情がひとつ。
「魔王退治の大戦士オルグが復活した。魔王の眷属として。」
ナラミスは頭を抱えた。おそらく魔王とは1000年前にこのワーガ大陸を滅ぼした魔王のことだろう。その眷属とは・・・退治できなかったのか?ならば魔王も復活するのか?
そして・・・陳情には新しくできた魔人の村をフォーセリアに加えて欲しい。と・・・
ベアーフットの報告は、大抵誇張されている。嘘つきではないが・・・真実でもない。しかも彼らは自分で言った言葉を信じてしまうのだ。自分の言葉を信じているから、魔法で魂に真実を聞いても、わからない。ひじょうに厄介な一族だ。
きっと魔人が住んでいる村は本当だろう。でも魔人はあまり徒党を組まない。おそらく村長が魔人なのだろう。魔人は人族が理に近づいた証。その村はかなり進んでいることだろう。
だが、戦士オルグの復活と、堕落はどう説明する??一度会ってみる必要があるな・・・・
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「オルグ隊長~、なんかすごい魔力がこっちにむかってきますぜ。」
農作業をしながら一人の青年が叫んだ。農作業といってもたくさんの鍬がかってに畑を耕し、畝を作っている。その後、ベアーフット達から譲ってもらった種に息をふっと吹きかけると、種達は丁度良い間隔で畝に入っていった。
「もしかしたら、私たちよりも古い魔力みたいね。」浮かんでいる鍬を集め浄化魔法で土を落としながら、女性が答えた。
その魔力の持ち主は、村が近づくとスピードを緩め、村はずれの畑の側に降り立った。
この村には、他の村から続く道はなく、また柵にも覆われていないため、どこからが村の敷地かよくわからない。こんなんで、よく魔獣の被害に会わないものだ。
3m程の巨体の男性が、降り立った人の方に歩み出した。
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驚いた!ざっと見ただけで50人以上の魔人がいる。そして一人一人から私ハイエルフに匹敵する魔力を感じる。この戦力があればこのワーガ大陸を支配できるのではないか!?
ベアーフットのやつらめ、いつもは誇張するくせに、今回は過小評価しすぎだ。危険すぎる・・・
様子を見に来たのはいいが・・・ナラミスは焦っていた。
「いらっしゃい。私はこの村の村長をしていますオルグと言います。
どなたかな?」
大きな体の魔人が近づいてきて挨拶をしてきた。オルグ!?もしや魔王の眷属になったという大戦士オルグか!?
「突然の来訪失礼しました。私は、フォーセリアで女王をしているナラミスと申します。」
「これはこれは・・・どうぞ中にお入りください。」オルグが勧めたが、ナラミスは躊躇した。この人数の魔人の村中に入ったら、私とて危ない。ましてや魔王の眷属ともなれば・・・・
「いや、今日は村の存在の確認に来ただけなので、ここで結構です。」
「ベアーフットから、あなた方がフォーセリアに加わりたいという陳情を受けたが・・・真か?」
「あぁ、その件ですね。はい確かに。ご覧の通り、私たちは貧しく税金は納められませんが、戦力はそろえられるので。まぁベアーフットのみなさんに勧められたのもありますがね。ご近所同士助け合わないと。ははは。」
オルグが笑いながら答えた。
あのベアーフットの馬鹿共めーーーー。相手みて声かけろよな!
「承知しました。ところで、なぜこんなにたくさんの魔人のみなさんが、こんな辺鄙なところに村を作られたのですか?」
「あぁー、説明は難しいのですが、我々は最近魔人に進化しまして。しばらくみんなでのんびり暮らそうということになりまして・・・この平原には誰も住んでいなかったので村を作りました。」
どうやら害はないらしい・・・・いや私の悪意感知が遮断されてる可能性もある・・・・彼らはそれぐらいの存在だ。
すると山脈の方から大きな物?をいくつもぶら下げた魔人の集団が飛んできた。よく見ると・・・一人一人巨大な魔獣をぶら下げている。まだこんなに魔人がいたのか!?
「たいちょー。指示通り魔獣を躾てきたよ。ボス達を絞めてきたからしばらくは平原に下りてこないと思うよー。」
そういって、先頭の魔人が下りてきた。彼が持っているのは、ドラゴンの亜種ドレイクだった。1頭街に迷い込めば、街が崩壊してもおかしくない存在だ。しかも、普通のドレイクより大きい。
「やっぱり、山脈の西側の見えない空間は、ドラゴンの巣かもよ。近づくと色々なドラゴンの亜種が出てくる。我々でも見通せないとなると・・・中心には古竜か古代竜がいる可能性もあるね。」
その青年はとんでもないことを話している。古代竜だと!神に匹敵する存在を軽々しく口にしている・・・
「わかった。こんど確認しにいってくるよ。」オルグが普通に答えている・・・・
頭が痛くなってきた。なんだこの村は。たくさんの魔人が一緒に住んでいるのもおかしいが、それぞれが異常に強い。どうやれば、この人数の魔人が同時に進化できるのだ!?
「とりあえず、近々書面にてフォーセリア加盟の通知が届くと思うので、よろしくお願いします。私は忙しいのでこれで帰ります。」
一礼すると、空中に浮かんで、一目散にエルフの国にもどった・・・・私の中の常識が崩れていく音が聞こえた。
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「隊長、今のハイエルフ、そうとう強いですね。」
「うむ。でもこのフォーセリアはおかしな国だのー。女王自ら参加表明している村の視察とは・・・大変だな。魔王様が支配を望まないのもわかる気がしてきた。」
魔人編は短いですが、終わり。次はドワーフ編です。これも短いです。




