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魔王と呼ばれた男  作者: あき
30/50

エステル

登場人物や名称一覧


現 世  :元々主人公が住んでいた世界。(物質世界)

霊 界  :今、主人公が生活している世界。(半物質半精神世界)

神 界  :神様が住む精神世界。

イヒン  :霊界に存在する人族。魂の理解度が高く魔法が得意。

ドルーク :霊界に存在する人族。好戦的で力が強い。

イフアン :イヒンとドルークの混血。

妖 人  :魂の理解度が低い転生者。コボルド・ゴブリン・オーク・オーガ等

亜 人  :精霊の影響を受けた転生者。ノーム・ベアーフット・ドワーフ・エルフ等

魔 人  :魂の理解度がすすみ、寿命を超越した存在。バンパイア・リッチ等

古代竜  :理を理解した竜。大抵1万年以上生きている。

ワード大陸:ペニ城が存在した大きな大陸。魔王の登場で一度全生物が滅ぶ。

ペニ城  :魔王の襲撃を受けて滅んだイヒンの国の城。

ヨドム村 :隕石衝突後にできた魔海沿いの港町。

ドルクロイ:ヨルド村から陸続きで繋がっているドルークの国。

ババス  :ドルクロイの首都。

イフアロイ:ドルクロイの東側にあるイフアンの国。

穴道 徹 :霊界では「トール」と名乗っている主人公。一応魔王。

オルグ  :元ペニ城の戦士長。トールに救出されてからは魔王の眷属となる。

コムケ  :元ペニ城の戦士。トールに救出されてからは魔王の眷属となる。

ゲルダ  :神様に幽閉された魔法使い。冬の女王。トールの登場で解放される。

セレナ  :ゲルダが作ったゴーレム。

ヨルドン爺:ヨドム村の墓守。境界の監視人。

ダイゴ  :ヨドム村の自営団の団長。モルテガの子ども。

モルテガ :ヨドム村の村長代理。ダイゴの父親。

マスター :竜のゆりかご亭のマスター。

マリア  :竜のゆりかご亭の料理人。マスターの妻。

ティアラ :竜のゆりかご亭の看板娘。マスターの娘。

ステラ  :竜のゆりかご亭の店員。マスターの娘。ティアラの姉。

ドーガ  :ドルクロイの王。

30 エステル


 気絶した王様だけシルクの背中に乗せ、ババスを目指して進み始めた。


 御者台から周囲を見回すと、生き残った兵隊もほぼすべて気絶しているようだ。すでに虫たちは回収した。


 「これじゃー、誰もババスに恐怖を伝えてくれないな・・・少しやりすぎた。電気が痛すぎて、つい怒ってしまった。」


 ランスに串刺しにされたのも、雷にうたれたのも完全に僕の油断だ。死なないから防御を考えていなかったが、やはり何か考えないといけないな・・・。


 一人反省会をしながらしばらく進んだが、ババスは遙か先だ。一人旅に満足した僕は、ババスに飛ばしている虫の目をたよりに、ババスの街の外側に穴を開けて移動した。



 ババスの街の作りは少し面白い。城を中心に、その周りに街が広がり、城壁がある。そこまではこれまでの砦と同じだ。ババスは城壁の外側にも街が広がっているのだ。


 ババスが近づくと、ぽつぽつと畑や家が増え始める。城壁まで近づくと、もう畑は見あたらず、所狭しと建物が建っている。正門は開きっぱなしで、人々が自由に行き来している。


 魔人が宣戦布告しているのに、なんて平和なんだ。おそらく攻められたことが一度もなく、人々が集まったため、城壁の外側にまで街が広がったのだろう・・・・


 僕のキャンピングカーとシルクが目新しかったようで、周りの注目をあつめたが、何事もなく城壁をくぐることができた。


 城下町は、計画的に作られたようで、道も建物も整然と並んでいた。城壁の中と外側でこんなに違いがあるとは・・・面白い。


 中央通りをまっすぐ進むと城がある。一本道で城に行けるあたりが、攻められたことがない証拠だ。シルクに気絶した王様を乗せているのに誰も気がつかないようだ。



 城の前までやってきた。


 門兵が出てきたので、魔人が宣戦布告してこっちに向かっていることを知っているか聞いてみた。


 「あー、それなら大丈夫だ。王様が軍隊を引き連れて退治に向かった。安心してよいぞ。」


 どうやら知っているらしい。よかった。


 「それじゃー、今から伝言を伝えるから、城の中の人全員に伝えてほしい・・・」


 僕は御者台から降りながら言った。そして王様の顔を門兵に見せて・・・


 「僕がその魔人だ。軍隊は全滅させた。まだ生きていると思うから助けに行くといい。王様はここまでつれてきた。これから城の玉座の間まで行くから、邪魔するな・・・いや邪魔してもいい。邪魔した人は全員後悔する死に方をするだろう。」


 一気にまくし立てた。


 王をシルクから落とし、襟元をつかんで引きずる。門兵は王を見ながら唖然としている。


 「はやく行け!」


 活を入れると、「ひゃーい・・・」と変な返事をしながら中に入っていった。門が開けっ放しだ。不用心だ。


 キャンピングカーは大きいので、シルクとともに門の内側に入れて置いておく。シルクにキャンピングカーの護衛を任せる。


 王を引きずりながら城の前庭を通り過ぎ、扉を切り刻んで中に入った。

 先に虫たちに中の様子を調べてもらったが、玉座まで遠いな・・・はるか上にある。


 門兵は、ちゃんと伝えてないのか、城兵が剣を片手につぎつぎやってくる。現れる瞬間に虫を召還して食べさせる。鎧の隙間から体に入り生きたまま噛みつくように指示をだしてある。


 一瞬で血だらけになって最後には白骨になる仲間を見て、恐怖の顔になる城兵たち。一人を食べ終わった虫たちは次の獲物をさがす。一瞬で阿鼻叫喚になる。


 逃げまどう兵士たち。その中をゆっくり王を引きずるながら歩みをすすめる。




 たいした邪魔もなしに玉座の間に到着した。うむ、疲れた。王を引きずるのが疲れた。虫たちに運ばせれば良かった。


 王を中央の床に転がし、玉座に座って休憩する。


 誰もいない。


  しばらくすると王が目覚めたようだ。だが脊髄に虫が絡み付いているため、すぐに膝立ちになり、腕を下げた状態で口を開けている。



 誰か来るまで待っていようと思ったが・・・誰も来ない。虫たちを詮索に向かわせると、逃げだそうと準備する人、部屋にかくれて震えている人、遠くから兵士たちの様子を見守る人・・・・


 1階で虫たちが暴れているため下に降りれず、右往左往しているようだ。


 しかたがないので、鳴き虫を街中に飛ばし、言葉を伝える。


 「僕の名前はトール。ヨドム村の主だ。ドルグロイが攻めてきたので、逆にこっちから攻め込んだ。ドルグロイの軍隊は全滅した。」


 突然の声に驚く人々・・・


 「僕は城の玉座の間にいる。王もつれてきたが、ヨドム村への侵攻の責任をとって処刑する。そのあと、このドルクロイの国をどうするか決める。それまで、今まで通り生活して待っていろ。」


 さて・・・この後どうしようか。本当は圧倒的な力を見せて降伏させるはずだったが、なんでこうなったんだ?



  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 「お父様が玉座の間に?処刑?」


 エステルは、ドーガ王の2番目の子供だ。1番目は長男で、父と一緒に出陣した。エステルは長女だ。


 「お兄様は無事かしら・・・」


 エステルの部屋には、小さな弟とメイドが数人固まって怯えている。


 メイドに弟のことを頼んで、部屋を出ようとしたがメイドに止められた。


 「エステル様、だめです。いま城の中を魔人が暴れているようです。行っては死んでしまいます。」


 わかっている。でも何もしなくても事態は悪くなる。エステルには一つのアイデアがあった。


 ここドルグロイには、大事に保管している1冊の本がある。「魔道機械の考え方と実践」この本のおかげで、この300年で無敵の軍事力を得た。魔力を液体に浸して動かす装置。パワースーツの考え方。火薬のいろいろな生成の仕方。


 ただ問題もあった。この本を読むと、読んだ人は死んでしまうのだ。

なので長い間、誰もこの本を読めなかった。だが300年前、ヨドムとの戦いに負け、戦力が低下したドルグロイの将来を憂い、当時引退していた魔法使いが命と引き替えに数ページを読み解き、その内容を伝えたのだ。


 それ以来封印されている本。これを魔人に差し出せば、きっと何も考えずに読むはず。


 エステルは部屋を出ると、封印の間に向かった。



  ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 「だめだ!いい案が浮かばない。」


 本当は、さっさと降伏させてこの国を支配し、今の王を代王にするはずだったのに・・・・これでは王を処刑しなきゃいけなくなった。


 居場所を伝えたのに、まだ誰も現れる様子がない・・・・王様は見捨てられたのかな??


 しばらく悶々とした時間を過ごしていると、入り口に人影が現れた。


 「魔人様・・・。ドルクロイ第一王女のエステルです。玉座の間に入ってもよろしいでしょうか。」


 その人影は、入り口でしゃがみながら聞いてきた。


 やっと人がきたか。それにしても王女か・・・・


 「よい。許可する。」


 人影は、うやうやしく立ち上がると、背筋をピンとのばして近寄ってきた。そして10m程手前で、片膝がつくくらいしゃがんで頭を下げた。一連の所作がとても美しい。これが貴族や王族の所作か・・・


 「そこに囚われている父上の次に位が高いのが私になります。そのためこの場に参上いたしました。」


 娘は流暢に言葉を発した。


 「王妃や王子はいないのか?」何気なく聞いてみた。


 「母上はすでに病でこの世を去りました。兄上は、父上と一緒に出陣しまだ戻っていません。弟はまだ幼く何も知りません。今この城に残っている王族は私だけになります。」


 魔人を前に堂々たる振る舞いに口上。この娘を少し見直した。このままこの娘に代王を任せるのもいいかも。しかし、ここで王様を処分するといらぬ遺恨を残すことになるなぁ~。困った・・・・


 「魔人様にお願いがあります。」


 さらにエステルが続ける。


 「まずは、ドルクロイは魔人様に服従します。国を代表してここに誓います。そして、願わくばわが父上の助命をお願いします。」


 エステルはそこまで言うと、一冊の本を両手でうやうやしく掲げた。


 「何だその本は?」


 「これは、我が国の発展の礎を築いた書物になります。この書を、父上の助命の為に献上いたします。」


 立ち上がり、エステルの前まで歩いてその本を手に取ってみた。ゲルダの書庫にある本と同じ雰囲気を醸し出している。どれくらい危険な本か読んでみるか・・・


 ページをめくってみた・・・・


 案の定、腕に痛みがはしり、紫色に変色していく。でもゲルダの家の本は、見たら一瞬で体が朽ちたことを考えると、この本はそこまで理に言及はしてないようだ。


 魔道機械の概念。魔力の染み込ませ方。ゴーレムを利用したパワースーツの概念・・・・どれもノームなら知っている知識だ。途中にあったいろいろな火薬の生成方法は、ダイゴなら喜びそうだ。でもきっとダイゴはこの本読めないな・・・


 そこまで読んだ頃、腕がパサパサと砂状に朽ち始めていた。本を閉じて、腕を一振りして元の状態にに戻した。エステルを見ると少し驚いているようだ。なるほど・・・危険な本を躊躇なく読んだり、腕を一瞬で戻したりしたので驚いたのかな・・・


 「内容が少し古いが・・・よい本だ。だがこういう本は、君たちドルークが読むには危険だ。僕が封印しておこう。」


 王様の命を助けるよい理由ができた!王様の魔虫を回収すると、ドーガはその場でくずれ落ちた。意識はあるようだ。


 「これから、王の退位と、我が国になる宣言を行う。娘よ、お主は我が国の代王としてこの国を治めよ。」


 




次回でドルクロイ編は一旦終了です。誤字脱字確認して昼にでもUpします。

最初、ドーガを代王にするつもりだったけど、書いているうちになんかおかしくなってしまって、気が付いたらエステルが代王になってしまった。たぶんトールが勝手に動き出したんだと思う・・・

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