迷いの森
やっとワーガ大陸の話がはじまりました。長いプロローグだった・・・
次回から本編がはじまります。
ストーリーは大体できているのですが、町の名前や人物の名前をあまり考えてなくて、、、
思いつくのは3文字の名前ばっかりです。
13 迷いの森
数人と頼んだのに、オルグが残していった部下は、コムケと名乗る頼りなさそうな男が1人・・・あまり生前の姿は残していないようで、便利だからとタコのような触手が6本。顔以外にも適当な所に目がちらほら。本当はもっといろいろな動物の体がついた姿になっていたが、キメラみたいで気持ち悪いとオルグに諭されたらしい。
「魔王さま~。この森に大きい砦を作るのですか~。」
「ちがう、ちがう。砦なんかいらないよ。この扉を隠せる程度の小屋を建てたいんだ。板は向こうの穴で乾燥させてるから、手伝ってくれ。」
触手の先の目で穴の中を覗き込んでいたコムケは、しばらく考え込んでから・・・
「魔王さま~。この板使えないよう~。乾燥させすぎで木が割れてるよ~。炭化したところもあるよ~。」
しまった。火炎弾入れたまま完全に放置していた。この1ヶ月、オルグの部下の切り離しに忙しかったからな・・・
コムケが何やらつぶやいた瞬間、その穴に大きな木が生えた。木の中央には穴が空いていて、そこに藁のベッドや木の椅子に机などが設置されていた。
「魔王さま~。おいらが材料も調達して家建てるから~、この中で休んでいてください~。」
う~む。僕としては、この木の家で十分なのだが・・・
このコムケという男?・・・すでにイヒンなのか魔人なのかも分からないが・・・いい加減に見えてかなり優秀だった。さすがオルグが1人だけ残していったことはある。
まずは、土魔法と水魔法・・・それに生物魔法が得意のようだ。だからといって他の魔法が苦手というわけではなく、1m程の火炎を生成して攻撃することもできる。本人は「火炎魔法は料理に使うから~」と謙遜しているが。
生物魔法・・・はじめて聞いたが効果がすごい。植物から動物、あらゆる生き物の特徴をもった生き物?を召還したり、素早く成長させたり出来るらしい。魔王襲来の際、転生者用の体を土から生成したこともあるらしい。
今も、労働力として数十体の木のゴーレムを召還している。動力の魔石はいらないのか聞くと、コムケが召還する木のゴーレムは生きていて、大地から生命力を吸収しているから大丈夫と言っていた。
そして、彼はこれまでたくさんの砦の建設に関わってきていた。ペニ城の設計を任されたこともあると自慢していた。
とりあえず・・・家の形については注文を出しておいた。外見は三角屋根の平屋のこじんまりした家。中は部屋が拡張できるように空間操作してほしいと・・・。少し欲をかいた。
藁のベッドは以外と気持ちがいい。香りがいいのだ。
「魔王さま~。魔王さま~。起きてくださいよ~。」
ぐっすり眠りこんでいたらしい。この1ヶ月間は忙しかったから、疲れがたまっていたようだ。この藁のベッドが気持ちよかったのもある。
森の木々のせいで、明かりがあまり入り込まないが、それでも夕方だとわかる。ゴーレムがこの周辺の木を伐採したと思うのだが、森は鬱蒼としている。
「木を切ったら~植林しないと木がなくなるでしょ~。」
コムケが当たり前のような顔で言っているが、普通木は一瞬で成長はしないと思うよ。
目の前には、ヘンゼルとグレーテルのお話に出てくる魔女の家のような雰囲気のある小さな家が建っていた。窓の下には、植物を植える鉢がぶら下がっていて、かわいらしい花が咲いている。う~む。とってもメルヘン。玄関の外に井戸があるが、家の中でも水がでるらしい。
「もう建てたのかい!?」
「内装は~魔王様に聞かないとわからないから~。」
結局、内装はゲルダの家と似た作りになってしまった。ゲルダの家居心地がいいからな・・・
玄関入ってすぐに広い土間。そこに竈と台所もある。大きな机は必要ないので、代わりに薪ストーブを設置した。僕は魔法が使えないので、暖房は必須だ。
土間の奥に、ゲルダの家に通じる扉がある。僕の部屋や温泉はゲルダの家にあるので、結構な頻度で行き来すると思う。土間の横は畳の小上がりになっている。メルヘンな家なのに・・・畳。いいのだ、僕は畳が好きなのだ。そこに小さなちゃぶ台が置いてある。
「空間操作もしてあるから~あと百部屋ぐらいできるよ~。」
今はこれでいいのだ。使わない部屋があると掃除が大変なのだ。必要になったら作ればいい。
「コムケ、助かったよ。これでこの世界の拠点ができた。」
「魔王さま~。このあとは~何をなさるんですか~。」
コムケが聞いてきた。「何をする?」????いや何もしないぞ。
「これだけの力があったら~この世界も思いのままでしょ~。」
「まてまてコムケ。僕は何もしないよ。この世界でのんびり生活がしたいんだ。しばらくゆっくりして、気が向いたら魂を解放して・・・。コムケはこの後どうするんだ?」
「おいらは~魔王さまの指示にしたがえ~と命令されたよ~。」
「わかった。しばらくは何もしないから・・・どうする?」
「う~ん。仕事がないんだったら~おいら、この魔海の研究をしていたいな~。」
「魔海?」
「この隕石が落ちたあとにできた海だよ~。面白い生き物がいっぱいいるんだ~。」
「わかった。じゃ~研究していていいよ。用ができたら呼ぶね。」
「は~い。」
コムケはそのまま海に潜っていった。もうイヒンとしての自覚はないらしい。
コムケが召還したゴーレムは、僕の言うことを聞くらしいが・・・今は用がない。「用ができるまで待機。」と言ったらしゃがんで動かなくなった。腕や背中から枝や葉がでていて、普通の木と区別がつかない。薪を集める際に切らないようにマークをつけておいた。
あとは、他の人が勝手にこの家に来れないように細工をする。森の入り口からこの家までの道をつくり。途中途中でまわりの景色にとけ込む形で移動の穴を設置する。普通に歩いて来たら、そのまま来た道をもどるように設置した。そして上空からは、家が見えないよう木の葉でかくした。
ゲルダと分かれてからの数ヶ月は本当に忙しかった。これでようやくのんびり生活ができる。しばらくのんびりしてから、この先にある港町探検や、コムケに聞いた、山脈の中腹で生活しているノームやドワーフに会いに行こう・・・
そう思いながら、久々に自分の部屋のベッドで寝た。




