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魔王と呼ばれた男  作者: あき
10/50

セレナ

あと少しで、設定話が終わります。ようやく物語は動き出します。

書きたいこと書くの難しいですが、自分の頭の中の話が具体的になっていくのは面白いですね。

これで作文力がついてくればいいのですが・・・・書いているうちに身につくこと期待しています。



10 セレナ


 「トール様!トール様!朝ですよ。起きてください。」


 優しい声とは裏腹に、勢いよく毛布が引っ張られる・・・

毛布にくるまっていた僕は、ベッドの上を5回転ほど回り、勢いよく地面に叩きつけられる。


 「セレナ~。早く力加減覚えてよ・・・。」


 首を傾げながらじっと見てくるセレナ・・・思わず顔を背けてしまった。


 セレナは10年前にゲルダが作ったゴーレムだ。森の木を切り出して、人型に部品を作り、組み立てた。顔は木ののっぺらぼうだったはずなのに、ゲルダが息を吹きかけると、顔ができた。イヒンの顔を集めて平均化した顔だと言っていた。


 でも僕は知っている・・・人類を平均化した顔はとっても美人なのだ。


 ゲルダが、妙齢の人間味溢れる美人だとしたら・・・セレナは人工的な・・・整形でもしたかのような究極の美人なのだ。


 作ったのはゲルダだが、動力に僕の作った魔石が使われているので、僕のことをトール様と呼んでいる。



 この10年間、いろいろな魔法を練習した。何とか簡単な念話はできるようになった。ただそれだけだ・・・・


 いや・・・収穫もある。


 魔石をつかって、他人の魔法を溜めて使う技も覚えた。何しろ魔石はいくらでも作れる。ゲルダに頼んで、おもしろい魔法を沢山、散弾銃の弾のような魔石に仕込んである。森での狩り用である。


 打ち出す銃は、杖の形をしている。弾が通る太さの筒の先に弾を入れる穴が開いてあり、その先は肩に当たる部分が二股に分かれている。


 筒は細いが絶対に曲がらないとゲルダが言っていたので、筒をもって二股部分をハンマーのようにつかって獲物の止めをさすこともある。そのため、二股の先にも魔石をはめ込めるようにした。叩いた瞬間の爆発魔法は爽快だ! ただ、獲物が木っ端みじんになるので、使うのは止めた。



 居候の身としては、せめて食料を確保するぐらいの仕事はしたい。常に野菜のことを考えていたら、森の一角が常時畑になった。野菜の収穫はセレナに任せている。リンゴの木もいつの間にか植わっていた。不思議な森だ。


 ゲルダがしばらくゴーレムを作らなかった理由がよく分かる。セレナは必要以上のことはしゃべらないのだ。会話しようにも、質問の答えを言って終わりである。ゴーレムと二人しかいなかったら、よけい寂しい思いをするかもしれない。綺麗なだけに、セレナしかいなかったらダメージがでかかったと思う。


 僕の能力も、10年前から全く進展がない。わかった事は、僕には二つの能力があること。


 一つは同化の能力。魔王から切り離した肉塊が持っていた能力で、魂を持つ僕と同化し、僕の物になった。おそらく今はこの次元の大地全てと同化していると思う。1000年間かけてじっくり浸食したようだ。目を閉じると僕の体が直径10km程の半球に思える。


 でも、森の秘密も家の秘密も分からない。おそらく神様の魔法とゲルダの魔法の領分だからだと思う。ゲルダからは「トールの体の上で暮らしていると思うと気持ち悪いわ。」と引かれてしまった。でも、この家と森は管轄外だ。


 もう一つの能力は、空間をつなぐ能力。同じ次元なら、見た場所や知っている場所と穴をつなぐことができる。ここに来る時、次元を超越したが、どうやったのか分からない。穴の大きさや形を変えられることもわかった。


 ただこの次元ではあまり使い道がない・・・この次元自体が僕の体なので、好きな場所に自由に出現できるからだ・・・今は鞄の代わりに、物置に置いてある荷物を取ったり仕舞ったりする際に穴を開ける程度だ。


 物置には、いろいろな道具がしまってある。大きな鍋から、畑用の鍬やシャベルまで。3000年間ゲルダは暇だったようで、一つ一つに魔法がかかっている。


 森の畑で好きな野菜はとれるが、何となく自分でも耕してみようと、鍬で地面を掘り起こした瞬間・・・10m先まで耕された。


 シャベルにいたっては、嬉しそうに僕の回りを飛び回っている。勝手に穴を掘っていくので、その度に埋め直す。


 箒で飛べないか跨がったが、セレナに不思議な顔をされた。箒とちりとりは仲がいいようで、いつも一緒だ。暇さえあれば掃除している。


 動物の皮を剥ぐのにいつも使っているナイフは、手入れをする僕のことが大好きなようだ。砥石の用意をすると、興奮して回りをぐるぐる回転する。危ないったらありゃしない。



 今の僕の趣味は、セレナに会話を教える事だ。

 応用がきかないので、根気強く一つ一つ教えていく。幸い覚えはいい。


 「お帰りなさい、あなた♪ ご飯にする?お風呂にする?それとも・・・」


 教えた通りに、セレナがゲルダに言っていたのを聞いた。


 「風呂に入る!」


 何も気づかず答えるゲルダ。


 ・・・・・僕は何に期待してたんだろう?

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