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第8話 風になる~

照れ恥ずかしそうに抱きしめられている勇者リコ、なじむはリコの様子には気づかず強く抱きしめ、それを一歩下がった場所で眺める神父とヤネンがいた。

鐘の音が鳴り場が静まった頃に神父は告げた。

「それでは天界からのお告げを伝えます。」

和やかになっていた雰囲気も少しだけ張り詰めた空気になった。

「いえ。そこまで難しいお告げではないので安心してください。」

苦笑をしながら神父は話し続けた。

「魔王を倒すため魔王城まで向かって貰います。魔王城までに、魔王軍四天王を負かさなければいけません。そして勇者の剣を覚醒させるために様々な町に行き、いろいろな人と関わりなさい。」

これを聞いた3人は首を傾げヤネンが質問をした。

「聞きたいことがあるんだけど、覚醒って何・・・?」

「今は勇者の剣はまだ寝ている為、本来の力を出し切れていないらしい。」

ヤネンの質問に淡々と答える神父。

なじむもヤネンの後を追うように質問した。

「次の町がもう決まっているのかしら?」

神父は頷き続けた。

「次の町はヨツバ街だ。勇者、そして仲間の2人よ向かうのだ。これが天界からのお告げデス。」

神父は主祭壇に向かい聖書を置き勇者の顔を見つめようとしたのか恥ずかしくなったのか背中を向けた。

「デハ、クレグレモ、、、、い、いや。気を付けてください。」

なじむは苦笑し、ヤネンとリコは疑問には思いながらも、頷いた。

頷いているのは神父も肌に感じ振り返らず、3人は教会から出た。



「ちょっとー。ヤネン。頭とかに蜘蛛の巣付いてるじゃない~。シャワーでも浴びてきたら~?」

「シャワーに行ったら置いて行かれるじゃん!行かないよ!」

なじむは冗談交じりにヤネンを弄り談笑しながら村から出ようとした。

「おーい!少しお待ちください――!」

どこかで聞き覚えのある声だった。

後ろを振り向くと村長が急ぎ足で駆け寄っているのが見えた。

「はぁはぁ。勇者様もう行かれてしまわれるんですね・・。」

息切れをしながら名残惜しそうに村長は言った。

「あ、あの村の皆で昨年から民謡を作っているのですが、メロディーや歌詞もなく困っておりまして、御助力を頂ければありがたいのですが…。」

村長は申し訳なさそうに3人を見渡した。

リコもこれには困り、左右にいる二人の片方の顔を見ては、もう片方を見るという世話しない行動をしていた。

ヤネンは腕を組みながら青い空に顔を上げ目を瞑り考え、なじむは左の手の甲に右肘を置き右の手の甲に顎を乗せ俯いて考えていた。

ヤネンとなじむの「んー」という声だけが流れ、時間だ経った。

「やはり・・・難しいですよね‥。」

申し訳ない気持ちと残念な気持ちの村長の声が聞こえ、ヤネンも申し訳なさそうに村長に顔を向き姿勢を整えた。

「ごめん。俺には無理だったよ。」

「いえいえ、こちらも無理を言って申し訳ない。」

村長からの謝罪に後ろめたさが少し感じてしまったヤネン。

だがまだ諦めていなかった少女が居た。

「あ!こんなのどう?一応ルララ村の名前も入れておいたの。」

これには村長とリコは目を輝かせ、ヤネンは驚いた表情をした

なじむは少しだけ体を左右に動かしリズムを取った。

「ふーーんふーんふんふんふん。ル~ララ うちゅーうの 」

「ストオオオップゥ!!!」

ヤネンは、空にも届くような声を発し制止させた。

「なによ。」

歌ってる最中に止められ不服そうな顔をしているなじむと、何事かとヤネンを凝視するリコ、なじむの歌に感動している村長はなじむに尊敬のまなざしを向け続けていた。

ヤネンはなじむに詰め寄った。

「おいおいおい!著作権って知ってるか?!」

少し強めで言われたため後ずさりしてしまうなじむ。

「ちょさ・・・?何よそれ?」

それに構うことなく村長はなじむに声をかけた。

「その曲をもっとお聞かせください!!」

「え?えぇいけど・・ 」

「それはな!ダメなんだって!だから~!んーなんて言えばいいのかなぁ・・!とりあえずダメなんだって! 」

「ちょっと意味が分からないんだけど・・・ 」

そんなやり取りをしていると大きな声で駆け寄ってくる男性がいた。

「おーーい!!なんか!橋が壊されてるんだけど!! 」

その男性はルララ村で案内をしてくれた男性だった。

「やっば!いこう!」

ヤネンはリコとなじむの手を掴み走り出した。

「ありがとうございましたーー!! 」

ヤネンは振り返らず大きな声で感謝の気持ちを伝えた。

リコは振り返り会釈をした。

なじむは急に手を掴まれて驚いてしまったのか、ヤネンをただ見つめることしかできなかった。


―――ルララ村――――

「勇者様向かわれてしまったんですね・・」

寂し気に口から零すのは、案内をした男性だった。

「いや。勇者様は世界を救う為に行かれたのだ。橋が壊されては、超良ク鳴山菜が1年くらいは取れなくなってしまうなぁ。」

村長は村の在庫がないことを思い出して不安になってつい呟いた。

「昨年から不作で在庫もそろそろ尽きてしまうのか・・。」

「それがですね村長!」

案内をした男性は明るいトーンで切り出した。

「これ勇者様が置いて行ったものなのですけど!」

「こ・・これは!!」

それはヤネンがブルケン山からリコの代わりに持っていた山菜が入っている篭だった。

「超良ク鳴山菜がこんなに!これだけでも10年分の薬は作れるぞ!」

村長は目を輝かせ山菜を触っていた。

「後ですね村長!壊れた橋の向こうには魔物が大量にいました!」

村長の脳に電流が走り思考が廻った。

「っは!!まさかこれを考慮して山菜と橋を・・!勇者様ありがとうございます・・!!」

村長はもう姿も見えない勇者の背中に感謝の気持ちを伝えた。

一頻り感謝の気持ちを伝えて落ち着いた頃に村長は言った。

「これから忙しくなるぞ!薬草作りもあるが、勇者パーティーのなじむ殿に民謡を授かったのだからな!」

案内をした男性もそれには驚き、歓喜し聞いた。

「どんな感じなんですか!」

「また皆の前で聴かせてあげようではないか」

村長の発言に男性は喜び、山菜の入った篭を薬剤師のところまで持って行った。

ハードオフでドラクエのナンバリングを初めて買ったんですけどクローゼットに閉まっていたPS2が壊れていたのでできませんでした。

ゲームの代わりに冒険話を書くことで楽しく旅をします。

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