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第6.5話 逃げる事によってなんちゃらかんちゃら(2)

教会の中は外見とは程遠く、手入れのされた木製のベンチに、綺麗なブルーカーペットが敷いており、正面の主祭壇の奥には一人の神父は背中を見せ立っていた。

そのまま3人は神父の元まで歩き声をかけた。

「あの~すみません。神様に呼ばれてきた勇者なんですけど・・。」

神父は振り返り話し出した。

「オマエ、ユウシャ、チガウ、クチウルサイ奴ッテイッテタ。」

神父は片言の日本語で話し出した。

ヤネンの上げ足を取った神父は、若々しい男性で鼻にはそばかすはあるが高く、青い目をしており金髪で真っ白な肌の男性だった。

あっけに取られたヤネンは口を開けて驚いていたが、間髪入れずに神父は話し出した。

「ダイタイ、ミタメイイ、オツゲアッタケド・・・。」

目配りをし、リコと目が遭った瞬間、喉から声が詰まった様子だった。

リコは目が遭ったので笑顔で会釈をした。

「イヤ・・ワタシ・・・ベツニ・・。こほん・・。」

軽く咳ばらいをし何か言いたげそうな顔をしながら聖書で顔を隠した。

「おいおい!お前!まさか!」

ヤネンが空かさず声を荒げようとしたが、なじむからのチョップが脳天に炸裂し言葉を遮られた。

「それで、神父様お告げはありますでしょうか・・。」

なじむは軌道修正させる為に神父に問うた。

「ん・・。アリマス。ソシテ、ユウシャが来たら連絡するようとも。」

「おい流暢になったぞ。あいつ。」

「しっ!黙って聞いて。話遮っちゃだめでしょ。」

「今から天界に接続します。勇者、剣を主祭壇に。」

神父は聖書から横目に、リコが剣を主祭壇に置いたのを確認し、聖書に書かれているだろう文を朗読しはじめた。

剣から眩い光が発せられた後、部屋全体が黄金に囲まれているかのように金色の世界に入れ替わった。

そして勇者の剣から声が聞こえた。

「おお。お嬢ちゃん。よく来れたね。それに新しい仲間も。これからよろしくね。」

前回とは少し落ち着きのある口調だったのをヤネンは感じた。

「え?私もですか?」

「それはそうさ。君も選ばれているんだからね。あー君の家族には、我らから使いを出して伝えてあるから安心してくれ。」

「え、はい。そうですか。」

「そうそう伝えてほしい事あるって言われてたよ。えーっと。」

何やら勇者の剣越しからごそごそと何かを探している音が聞こえた。

「あったあった。流すねー。」

『なじみ・・。選ばれたのね・・・。気を付けてらっしゃい。お母さんたち待ってるから・・。体には気を付けるのよ・・。』

ヤネンもなじみも聞き覚えのある声が聞こえた。

なじみの母親の声だった。

声は震えており少し鼻をすする音も聞こえていたからか、なじみもそれには少しばかり目に水が溜まっていた。

「お母さん・・。」

その声だけが教会に少し響いた。

それからまた剣から声がした。

『そうそう。体って言えばあれよ?』

なじむの母の伝言はまだ終わってなかった。

『あのね。昔っからよく「将来は~!ヤネンと結婚する~!」って言っていたけどね。』

「小さい頃の話でしょ!もう言ってないから!ほんと!言ってないから!」

耳まで顔は真っ赤になりながらも、なじむは弁解をしようと必死にヤネンとリコに顔を合わせ伝えていた。

ヤネンは少し気恥ずかしそうに俯いていた。

『だからね?お父さんもまだ許してない感じだから。その、えっ・。』

「イヤアアアアアア!!!」

なじむは飛躍し主祭壇に置かれている勇者の剣に会心の一撃を与えた。

金属同士がぶつかり合うであろう音が町中に響き渡った。

その衝撃のせいか勇者の剣からノイズ音しか出なくなった。

「おいおい・・、勇者の剣は壊しちゃダメだろ・・。おばさんまだ伝えたいことあったんじゃ・・」

遮るようになじむは赤面した顔で手で顔を煽りながら弁明する。

「違うからね?何も?ただ体に気を付けてねぇ~?ってだけってことよ?」

動揺しているなじむに鈍感なヤネンはしつこく問いかける。

「でも、おばさん「えっ」って言ってなかった?どこも体何ていっ・・」

「だから~!いいの!なんでも!!うちがわかってればいいの!!あんた黙ってて!」

「でもおばさん折角なじむの為に音声残してくれ・・・」

「もうあんたうっさい!!!いいって言ってんの!!」

流石のヤネンも少し怖かったのか小声で「はい」と言って少し俯いた。

そんなやり取りをしていると勇者の剣から雑音が無くなり声がまた聞こえて来た。

『だからね?気を付けてね。お母さんもお父さんも待ってるから。』

「あっ・・治ったのね・・。」

なじむは、少しやりすぎた感じはあった事や、焦った事や、つまり疲労からの溜息をこぼした。

だが勇者の剣からの音声はまだ終わってはいなかった。

『そうそう!ヤネン君もいるのよね?。ヤネン君のお母さんから言われたのよ~?』

「ん?俺のおかんから?」

ヤネンは少し首を傾げた。

『おばさんもよくわからないけどね?なんか布団の下に隠してる本?確か題名が、巨・・・』

「ウワアアアアアアアアアアア」

ヤネンは走りながら顔を青ざめ主祭壇にある剣に全体重をかけた渾身の一撃を剣に与えた。

勇者の剣は2度の強い衝撃に耐えきれなかったのか。

パッキ・・・。

「「「あっ・・・・。」」」

神父とヤネン、なじむは驚きで声が漏れ、持ち主である勇者リコは、防衛本能が働いたのか耳を手で覆い隠し目を瞑っていた。

勇者の剣から勇者の刃折れ剣となった。

本当は町から出たかったんだ・・・。でも書きたかったから、書いてたら思った以上に長くなったけど満足してしまった。楽しい・・。

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