第6話 逃げる事によって良い方向に進むこともある(1)
照れて耳が少し赤い少女リコ、その子をよいしょする初老ルララ村の村長、その光景を遠目に見る二人の少年少女ヤネンとなじみ。
「あ、あの~」
リコが困っているのを察し、切り替えるようになじみは声をかけた。
「私たち教会に行かなければならないのですが、教会はどちらにありますか?」
村長は少し乱れてしまった態度を恥じらいながらハンカチで額の汗を拭きながら身だしなみを整えた。
「いやーお恥ずかしい。ささ勇者御一行様もお座りになられて。」
村長が座り座布団に勇者ヤネンなじみの順で座った。
「本題ですが勇者様。協会は我が家の奥にある森林の中にあります。」
少し険しい面持ちで話し始めた。
「ですが、今の時刻は何時でしょう。」
「え?今の時間ですか?」
ヤネンが口を開き考え当てずっぽうで答えた。
「18時くらいで」
「違います。19時です。」
村長は食い気味でヤネンの発言を止めた。
「いいですか?普通17時には家に帰らないと行けないんですよ?。それなのに19時までご飯も食べずにここまで歩いて!今どきの子達は働きすぎだ!。」
少し情緒が安定していない初老だった。
「だから今からご飯食べてお風呂に入って貰って寝てください!。」
そう村長に強く言われるがまま食事をし湯船に浸かり布団へ入り寝た。
鳥たちの鳴き声に起こされ日が昇っているのを感じたヤネン。
「あぁ。朝か。」
行儀よく布団で鼻息を立てて寝ている勇者のリコ、横にいるはずのなじみの布団は畳まれていた。
ヤネンはリコに声をかけた。
「おーい朝だぞー。起きろー。」
返事がないただの・・。いや辞めておこう。
「朝だってー起きてー。」
ヤネンはリコの肩を揺さぶり起こした。
「ん~・・・」
喉から出てくる音を発し、ぼさぼさした髪の状態で目を擦りながら布団から上半身だけは離れることができた。
「おはよう。」
ヤネンはリコに挨拶をするとリコも眠たげではあったものの頭を軽く下げた。
「リコちゃーん!ヤネンー!教会の場所わかったからいこー!」
ドア越しからでも聞こえてくる声はなじみの声だった。
「それじゃあ教会に行こうか。」
リコは目を大きく広げぼさぼさした髪の状態でしっかりと頷き身支度を整えるために部屋から出て行った。
「ここが教会か・・・。」
ヤネンの口から出たのは複雑な心情からだったのか少し残念そうなトーンだった。
教会は薄汚れていて手入れもされておらず雑草も生い茂っており、建物には蜘蛛の巣や塗装のはがれた状態だった。
「本当にここなの・・?」
なじみに目線を向けるリコとヤネン。
なじみは少し不服そうだったが説明はしてくれた。
「ほら、あそこに十字架一応あるじゃない。少しひび割れたりしてるけど・・。でも教会じゃない。かわらないわよ。」
早く行きましょうと先導して進んでいったなじみだったが虫があまりにも多く蜘蛛の巣も多かったのでヤネンを盾に教会の中に入った。
少し長くなりそうだったので2パートに分けてみてますけどあってるのかがわからないですけど、楽しく書いてるのでオッケーです!