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第3話 勇者に泣かされました。

ルララ村に向かっている金色の短髪少年ヤネンと、山菜が入っている篭を背負いながら、剣を引きずっている黒髪ロング少女リコ。

天界からのお告げにより西に向かっている最中ヤネンはリコに声をかけた。

「あ、あのさ親とか大丈夫?ほら何も言わずに遠出しちゃうんだけどさ。」

リコは頷いた。

「そ、そうかならいいんだけど、、。山菜とか親に頼まれた物じゃないのか?」

リコは顔を横に振った。

「違うんだぁー自分で取りに来たってこと?」

リコは頷いた。

「そっかぁ・・。」

会話が終わり辺りからは、鳥の鳴き声や草むらをかき分けた音、木々の揺れた葉音、そして剣が土に引きずられている音しかない。

ヤネンは額に汗を掻いた。

『まじで!やりずらいって!!頷くのと顔を横に振っただけで会話成り立たないって!!きついよ!!剣の事もあるし変に気を使っちゃう!え?何俺、どうしたらいいの?誰か!誰か助けてぇ!!」

ヤネンの願いが通じたのか背後から声が聞こえた。

「ちょーっと、待ったぁ!!」

驚いた二人は振り向く。

そこにはヤネンと同じくらいの背丈をした茶髪のボブの少女が腕を組んでいただ。

「あんた!おばさん怒ってたよ!早く帰ってきなさいって!」

いきなり現れて説教をしてくる少女。

その矛先はヤネンに向けられたものだった。

「だ、だって俺勇者になるっておかん言ったから!お前には関係ないだろ!」

ヤネンは焦りながらも返答をしたが、ボブッ子少女には逆効果だったのか雰囲気が変わった。

「お前って!私にも名前があります!なじみって名前が!あんたまたぐるぐるの刑に処すよ?」

「すみません。」

少し前まで強気に出ていたヤネンがすぐさま頭を下げた。

彼女の名前はなじみ。隣の家に住むヤネンと同い年の少女。

「そんで隣の女の子は?」

なじみは腕組をやめ、腰に手を当てヤネンの横にいる少女に目を合わせた。

「リコって言います。訳があって話せない呪いに掛かっています。」

ヤネンが軽く説明するとリコは笑顔でなじみと目を合わせ会釈をした。

なじみもそれに釣られて会釈を返した。

「それで帰る気は無い訳?おばさんカンカンに怒ってるけど。」

「いやさ。困ったことに、かくかくしかじかでありまして。」

ヤネンは事の経緯をなじみに伝えたが、癇癪を起したことは伝えなかった。

「なるほどねぇーじゃあリコちゃん送って行かないといけないのね。」

「そういう事ですね、はい。」

「リコちゃんって今何歳?」

なじみが質問を問いかけたらリコは剣を放し、両手の指を広げてから一度閉じ、再度片手の指を3本広げた。

「13歳ってこと?」

リコは頷いた。

「へぇーじゃあうちらの2個下って事かぁ。考え深いなぁ勇者がこんなに可愛い子なんて。」

「そうだな。」

リコは少し驚いた顔をした。

なじみはリコの驚いた顔に答えた。

「ああぁ!そういうことね。こいつ背小さいからね!同い年と間違えちゃったんでしょ!」

リコは少し申し訳なさそうな顔をしながら頷いた。

「うち160㎝だけどこいつも一緒だからねぇ。」

「う、うるぇーな!第二次成長期舐めんな!こっからだからな!こっから185㎝行くからな!」

「現実的にそれは無理でしょ。流石に夢見すぎ。」

残酷な現実と冷酷な対応にヤネンの目には水が溜まっていた様子だった。

リコはそれに気づきヤネンの肩を優しく叩き、肘を曲げ両手に拳を握って頑張ってくださいという眼差しがトドメとなり涙を流した。

黒髪ロングっていいよね。正統派だと思う。

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