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雪だるまの背くらべ

作者: ぐっぴー

ふっと思いついたことを書いてみました。

思いつきを書いたものなので被っている話や、似た話がもしかしたらあるかもしれないです。

よく晴れたクリスマスの朝、小さな公園では五人の子どもたちが遊んでいました。

子どもたちの年齢はみんな違うように見えました。

この子どもたちは誰が最も大きく立派な雪だるまを作ることができるかということを競っていたのでした。

「僕が一番大きくて立派な雪だるまを作れるよ。」

「いや、僕だ。」「私に決まっているわ。」

「私よ。」

子どもたちは自分の雪だるまがいかに大きくて立派かを主張し始めました。

しかし頭に血が上ってしまった子どもたちは喧嘩をし始め、怒ってそれぞれの家へ帰ってしまいました。

そして公園には誰もいなくなったかに思えましたがよく見ると、子どもたちが作った雪だるまのうち最も小さい雪だるまの直ぐ側に子どもたちの中で最も小さな子どもがぽつんと立っていたのです。

その子供は一番小さかったので一番小さな雪だるましか作ることができず、悔しくて動くこともできなかったのです。

「僕は小さいから大きくて立派な雪だるまを作ることができないんだ。お兄ちゃんやお姉ちゃんたちは大きいから、大きい雪だるまを作ることができるのに。」

一番小さな子どもは一番小さな雪だるまの前でひとしきり泣いたあと、とぼとぼと家に帰って行きました。


一番小さな子どもが公園を去り、公園に真の静寂が訪れたとき、唐突に一番大きな雪だるまが言葉を放ちました。

「おーい、さっきの話みんな聞いたかい?大きくて立派なやつが偉いんだと。じゃあ俺がこの中で一番大きくて立派だから一番偉いんだな!」

この雪だるまは一番大きな子が作った一番大きい雪だるまで、その大きな顔には素敵な赤い人参がついていました。

この雪だるまはどこから見ても立派な雪だるまでした。

すると今度は二番目に大きい子が作った二番目に大きい雪だるまがこう言いました。

「まぁ、あんた何を言っているのよ?あんたは確かに大きいかもしれないけどあたしだって頭に乗っけてるバケツを合わせたらあんたに負けないわよ。」

確かにこの雪だるまの頭の上には可愛らしい青色のバケツが乗っかっていました。

「僕だって負けてないぞ。僕は小さいけれど立派なマントが付いてるんだ。」

負けじと三番目に大きい子の作った三番目に大きい雪だるまも言います。

その雪だるまには格好良い黄色のマントを羽織っていました。

この三体の雪だるまは先程の子どもたちと同様に自分がどれだけ大きくて立派な雪だるまかを自慢し始めました。

一番小さな雪だるまは恥ずかしくて黙っていました。

「四番目に大きい雪だるま、お前はどうなんだ?

見たところ、お前は小さくて立派でもないじゃないか。」

一番大きい雪だるまが言いました。

「嫌ねえ、私は小さいけど五番目の雪だるま程じゃないわ。」と四番目に大きい雪だるまが答えます。

「確かにそうね。」と二番目に大きい雪だるま。

「じゃあこの中で一番偉くないのは五番目の雪だるまだ!」と言ったのは三番目に大きい雪だるま。

この一番小さな雪だるまを除いた四体の雪だるまたちは最も小さい雪だるまを嘲笑い、馬鹿にしました。

小さな雪だるまは黙っていました。

(どうして神様は僕をみんなと同じように大きくしてくださらなかったんだろう。あんな小さい子じゃ大きな雪だるまを作ることなんて出来ないのに。)

心のなかではそう思いながら。


そして二週間が過ぎました。


一番目に大きな雪だるまが異変をうったえはじめました。

「最近とても暑いんだ。俺の大きい体が溶けて小さくなってしまう。」

「あたしもよ!体が溶けて頭のてっぺんから可愛いバケツの帽子が落ちてきそうなの!」

「ああ!僕もだ。」「私も。」

雪だるまたちは口々に叫びます。

それは一番小さな雪だるまも例外ではありません。

この雪だるまの体も溶けかかっていたのです。

(体がどんどん溶けていく、、。僕はここで死んでしまうのかな。)

でもこのままずっと他の雪だるまにバカにされ続けるよりもこちらのほうがいいような気もしていたのです。


彼らの体はその後も溶け続けました。


更に一週間が過ぎた頃、再び小さな公園に五人の子どもたちがやってきました。

雪だるまを見に来たのです。

しかし、公園を見た子どもたちは唖然としました。

雪だるまが跡形もなく溶けていたのですから。

「見て!」

一人の子供が言いました。

「一番小さな雪だるまが残っているよ!」

一番小さな雪だるまのいた場所には小さな雪の塊が残っていたのです。大きな雪だるまたちが陰になって最後まで残っていたのでした。

「すごいぞ。僕の雪だるまは世界で一番偉い雪だるまだ。」

一番小さな子どもは自分の雪だるまが最後まで残っていたことを誇らしく思いました。


子どもたちは暫くの間自分が作った雪だるまに想いを馳せ、しんみりとしていましたが、唐突に一番大きい子供が良いました。

「次はみんなで協力して日陰に今までで一番大きな雪だるまを作ろう!!」

「さんせーい!」

小さな公園に五人の子どもたちの明るい笑い声が響きわたりました。

ご精読ありがとうございました。

少しでも面白かったなと思っていただければ幸いです。

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