表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/11

床のない部屋

ドアの向こうには床のない空間が広がっていて、10mほど先に3階への階段が浮いていた。

クロティルドさんは、まさか床がないとは思わず足を踏み外してしまったらしい。

「くそ、これじゃ先に進めねえじゃねえか……」

俺が悪態をつくと、王女は何か閃いたように口を開いた。

「いや、わたくしに考えがあるのじゃ……アンナよ、何か布のようなものを持っていないか?」

「あ、はい!持ってきています!」

そう言ってアンナが腰のあたりをまさぐると、4枚の布が出てきた。

「申し訳ありません……5人分、持ってきたつもりだったんですが……1枚忘れたみたいです……」

「十分じゃ。ありがとう、アンナ」

クロティルドさんが戻ってきたところで、王女はアンナから受け取った布を全員に配る。

「良いか。わたくしが風を起こしたら、そなたたちはこの布で風を受けて、あちら側まで飛ぶのじゃ」


アンナが布の端の4点を持ち、それを頭上に掲げる。

王女が風を起こすと、布を持ったアンナの体がふわりと持ち上がった。

そのまま俺たちの頭上まで浮き上がると、メイド服のスカートがふくらんで、下から白いパンツが覗き見える。

王女が風向きを調節すると、アンナの体はゆっくりと階段の方へ進んでいった。

アンナが向こう側まで渡り切ったのを確認すると、続いてロゼ、クロティルドさん、最後に俺が床のない部屋の上を飛んだ。


「王女様はどうやってこっちに来るんですか?」

全員が渡り終えたあと、残された王女にロゼが声を張り上げて訊いた。

「心配はいらんのじゃ!」

王女が両手を下に向けて風を起こすと、王女の体がふわりと浮き上がった。

そのまま器用に手を前後に動かし、空中を飛んでゆっくりとこちらへやって来る。

十分腕が届くところまで王女が近づいて来ると、俺は王女を抱きとめて安全に着地させた。

「あ、ありがとうなのじゃ……」

王女はなぜか顔を赤らめて俺に礼を言う。

「いや、こちらの方こそありがとうございます。王女がいなかったら、この床のない部屋を渡れませんでした。さあ、先に進みましょう」

俺は王女の肩をポンと叩いてそう言った。


3階に上がると、これまでの階とは違う異様な空気が流れていた。

「ついにオーガとご対面か……」

クロティルドさんがいつになく低い声で呟く。

その視線の先を見て、俺は思わずゾッとした。

目の前に立ちはだかったそいつらは、ゴブリンをそのまま大きくしたような緑色の肌と毛むくじゃらで、身長は5メートル以上もあり、鋭い牙を持っていた。

そして、その黄色く濁った目は俺たち人間を明らかにエモノとして認識し、不気味な光を浮かべている。

こいつらが、オーガ……。

俺は腰に差した刀の鞘を強く握り直した。

この作品を少しでもいいなと思ってくれた方は、下の「☆☆☆☆☆」を押して評価をしてくださると嬉しいです。


また、引き続き読んでみようと思ってくれた方は、ブックマークをつけて更新をお待ちいただければ幸いです。


感想もお待ちしています!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ