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生徒会長選挙と王子様

 七月五日。いよいよ蝉は最大限に鳴き始め、台風がニュースを席巻し、遠くを見やれば積乱雲が見える。夏本番といった空気に、みんな浮かれ始める季節だ。特に、空調の行き届いた講堂なんかでは、うたた寝をしている生徒達がちらほらといる。友人が話しているときぐらいは起きてほしいものだな、と思いながら、椅子に座って前方を眺める。開始まではまだ時間があり、ざわざわとしているが、半分くらいの生徒は興味がないのだろう、スマホをいじっていたり、大きな声で談笑にふけっていたりする。


「…いやぁ、まさかこんなことになるなんてねぇ」


 隣に座る芽唯が、頬杖をついて呟く。すると、反対側に座っていたエルヴィラが、むすっとしながら話し始める。


「…今日は大丸も張り切っていたのに…あまり良い気持ちはしない」

「エルヴィラは、ずっと大丸さん手伝ってたもんね」

「ええ。…演説の推敲もした」

「そっか。…じゃあ、大丸さんのためにも頑張らないとね」

「…この鬱積は必ず晴らす」


 エルヴィラは、硬い表情で、辺りを見回す。ここ数週間、彼女は生徒会長選挙に挑む大丸さんの手伝いに、かなり熱心に取り組んでいた。二人に、魔学徒のことを伝え、生徒会長選挙が危ないと聞いたエルヴィラは「…絶対に許さない」と、初めて聞くとてつもなく低く、凍てつくような声で怒っていたから、今日はかなりぴりぴりしている。


「あー、エルちゃんかなりおこだね~。まあ、気持ちは分かるけど」


 明るく振る舞っている芽唯も、内心ではかなり頭にきているのか、目が全く笑っていない。正直なところ、ここまで怒っている二人を見たことはほとんどないから、結構びびっている。僕に怒っているわけではないのは分かるけれども、この怒りが自身に向いたらと思うと、かなり恐怖を感じてしまう。昔、姉に「女の子は怒ると怖いよ。あんま芽唯ちゃん怒らせないようにね」といわれたが、まさにその通りだった。

 二人の怒りを肌で感じながら、辺りに意識を向ける。腕時計を見ると、開始時刻まであと十分を切っていた。演台の方で、司会の先生が注意を伝え始める。

 そのときは、突然に来た。僕と芽唯、エルヴィラは同時に何かを感じ取って、身構える。直後、演台に、一人の男が現れた。黒い喪服を着た男──殿上だ。彼は、両腕を振るう。すると、巨大な赤い茨が、生徒達を襲った。血が、飛び散る。


「殿上!」


 立ち上がった僕を一瞥すると、殿上は「“騙り手”か…」と言い、煙草を取り出す。


「残念、遅かったな」

「…うん、危ない賭けだったな」

「ええ。この攻撃からは、全員を守りきれない」

「まあでも、作戦は成功だね~」

「…なんだ、その態度は?」


 僕らは、胸をなで下ろしながら、殿上の方へ歩いて行く。殿上──魔学徒ユーファ──は、そんな僕らに違和感を覚えながら、身体に茨を戻す。そして、何かに気が付いたように「まさか」というと、顔をゆがめた。


「これは、幻覚か?」

「その通りだ。蕗乃ちゃんに、ダミーの会場を作って貰ったんだ。生徒も先生も、僕ら以外はみんな偽物の幻さ。まあ、リアルタイムで反映はしているけれど」

「ふ、それがどうした。これから貴様らをなぶり殺して、もう一度皆殺すだけだろうが…!」


 殿上は、目を赤く光らせながら、煙草を握りつぶす。「眼が赤く光るのが、奴らの憑依の合図だ」と司令は言っていたので、今話しているのは魔学徒ユーファなのだろう。

 芽唯は銃火器を出現させて、エルヴィラは炎を纏いながら、敵に近づいていく。僕は、挑発の意味も含めて、不敵に笑ってみせる。


「それをさせないために、僕らはここにいる!」

「私たちの学校は、壊させない…!」

「…貴方は、ここで燃やす」

「…やってみろ、模造品共!!」


 殿上の声と同時に、巨大な茨が僕らを襲う。エルヴィラが手を一振りすると、炎の壁ができて、茨が焼き払われる。それと同時に、芽唯が背後に出した銃火器を発射する。殿上はそれを茨で受けるが、その顔には苦悶を浮かべている。


「一つ言っておく。私の力と、貴方の力の相性は最悪」

「くっ…! たかが神の模造品共が、調子に乗るな!!」


 びきびき、という轟音と共に、茨が地面から生えてくる。後ずさってそれを避けると、背後にも茨の壁が出現していた。


「こんなもの、焼き払えば…」

「隙を見せたな、小娘!」

「エルちゃん、危な──」

「はっ!」


 背後に振り返って、炎を出すエルヴィラを、殿上が狙う。危ない──と言葉に出すよりも早く、僕は間に割って入り、芽唯に作って貰った、槍のように長い斧で、殿上を思いっきり叩く。彼は吹き飛んでいった。


「ありがとう彩嗣、助かった」

「流石に、王子様の前でお姫様を傷つけられるわけないだろう?」

「ちっ…貴様、それまでの戦闘力はなかったはずだ。何をした?」

「数週間あったら、鍛えるさ。幸い、友達に最強がいるからね」


 魔学徒と相見えた後、僕は頼み込んで、泉充に戦い方を教えて貰った。剣道の大会で絶対王者と呼ばれ、若くして剣術の師範代である彼は、とてつもなく強い。最初は渋られたが、「皆を守りたい」というと、「しゃーないな」といいながら鍛えてくれた。結果として、少なくとも肉食動物相手に戦えるぐらいには成長した。ただ、彼の指導方法はとてつもなくスパルタだったので、ここ二週間ほどは筋肉痛が絶えなかった。


「その茨は、エルヴィラが焼ける。芽唯の攻撃は、遠距離からお前を削れる。近づいても、僕がお前をぶっ飛ばす。…つまり、詰みだ!」

「…やかましい!!」


 激高したユーファは、全方位に、最大の茨を繰り出す。ばきばき、と音が鳴って、講堂が崩れ去り、幻覚が消える。

 流石に避けきれず、僕らはそれぞれ傷を負ってしまう。加えて、茨は蛇のようにのたうち回り、何も寄せ付けない。芽唯の銃弾も、弾かれてしまっていた。


「貴様らの能力など…我等の前では、児戯に過ぎぬ!!」

「だったら、撃つだけだよね。そっちの力が、尽きるまで!!」


 まるで竜巻のように動く茨めがけて、尋常ならざる量の一斉掃射が始まる。まるで戦争映画のような光景に思わず息をのみながら、僕はエルヴィラに目配せをする。


「ぐっ…そんな、人間の作り出した火矢如き!! 食らい尽くしてくれる!!」

「やってみなよ!!」

「…“炎壁城”!」


 エルヴィラの炎が、ユーファの周りを包囲する。そして芽唯が、その上から更に大量の銃弾を浴びせかける。茨は、燃え尽き、打ち落とされ、破壊されていき、次第にその量を減らしていく。だが、ユーファが叫ぶ。


「この程度で、我をどうにかできるかあ!」


 巨大な茨が数本、小さな茨が数十本、ユーファの身体から飛び出て、凄まじい速度で横に薙ぐ。その風で、エルヴィラの炎はかき消され、小さな茨によって、芽唯の銃は立て続けに破壊された。ユーファは、勝ち誇ったように高笑いをする。


「所詮は模造品!! 真の魔法を使う我には敵うはずも…“騙り手”は何処に消えた?」


 辺りを見回すユーファを上空から見下ろしながら、僕は──勝ったな、と思った。エルヴィラの炎によって空に飛び、目くらましをした上で、上空から一撃を浴びせる、それが僕らの作戦だ。上に飛ぶ勢いが止まったところで、僕は真下に向けて、左腕を差し出す。


「僕は、ここだ!!」

「なに!?」


 …ユーファの足もとには、僕の血が、ほんの少しだけ落とされている。つまり、再生することで──とてつもない速度で、落下することができる。


「じゃあな、魔学徒!!」


 そのままの勢いで、殿上さんの身体を殴りつける。すると、ふらり、と彼は倒れた。身体が気絶してしまえば、憑依しても身体は動かせないだろう。あとは、蕗乃ちゃんを呼んできて、幻覚で憑依を解いて貰うだけだ。


「よし、僕らの勝ちだ。ありがとう、芽唯、エルヴィラ」

「ん。でもまあ、ちょっとあくくん無茶しすぎだけど」

「ええ。あまり、身体を粗末に扱うのは好ましくはない」

「あはは…二人とも、手厳しいな」


 駆け寄ってくる芽唯とエルヴィラに笑いかけると、二人は呆れたような顔をした。そして、とりあえず学校に戻ろうか…という話をしていると、驚くべき事が起こった。なんと、殿上さんが立ち上がったのだ。まるで、頭だけを糸で引っ張られているかのように、恐ろしい姿勢で。


「はっ…我等は、素体がいかな状況にあろうとも、操ることが可能なのだ。死んでさえおらねばな…そして、貴様ら。忘れていないか? 魔学徒は、我以外にもおるのだ。…なぜ、こうもすんなり我が騙され、我が倒されたのか! 貴様らはいつもいつも、浅はかなのだ!」


 僕らは直感する。もう一人の魔学徒は、幻ではない本当の学校の方に行ったのだと。学校の方には、皆がいる。そして、蕗乃ちゃんも。僕は駆けだした。


「芽唯、エルヴィラ、頼む!」

「行かせるか…貴様ら!!」


 僕に向かって、茨が伸びる。だが、それは僕には届かなかった。


「任された!」

「私たちが、彩嗣を行かせる。貴方には、ここで死んで貰う」

 

 芽唯とエルヴィラに助けられながら、僕は学校へと急ぐ。何故か、とても嫌な予感がしていた。





「続いては、世々川候補の応援演説です。応援者の方は…」


 偽の学校の幻影が破られてひやひやしたけれど、演良からの連絡で、魔学徒を倒したことが分かったので、胸をなで下ろした。ちょうど、香恋の演説の前だったから、安心して彼女の演説を聴ける。


「流石に、緊張はしてるわ」


 つい昨日、香恋はこんなことを言ってたけれど、今、舞台の方で座っている彼女の表情は堂々としていて、緊張のきの字もない。やっぱり、香恋はこういった場面に強い。カリスマ性、と言うのだろうか。

 それにしても、あの殿上をこの短時間で倒すとは、演良とその同志は頼りがいがある。一度だけ会ったが、かなり容姿も優れていたし、やはり良い人間の周りには良い人間が集まるのだろうな。


「続いて、世々川候補の所信演説です。世々川候補、お願いします」


 司会の言葉が、香恋の演説の開始を告げる。正直なところ、心配な部分もあるが、非常に楽しみだ。香恋は、この場でどんなことを言うのだろう。彼女はとても才能に優れているから、やはりよい演説をやってくれるのだろうな。


「ご紹介にあずかりました。世々川香恋です」


 とても堂々と、そしてよく通る声は、聞いていてとても心地が良く、そして心が掴まれる。そして、香恋の演説は、つつがなく進んでいく…と、思われた。


「さて…それでは皆さん。…ここで、死ンで貰イます」


 香恋の言葉に、聴衆の間ではざわざわと喧噪が広がっていく。けれど、余はそんなことを気にかける余裕はなかった。…香恋の眼は、赤黒く光っていた。反射的に席を立ち上がって、香恋を除く講堂内の全員を能力で眠らせながら、演台まで跳躍する。香恋は、こちらを見て、けたけたと笑う。まるで彼女の姿ではない。


「香恋…どうした!? 其方らしくもない…!」

「あははははは! 何が? あたシは香恋だよ? アンタもよく知ってるでショ? あははははは!」

「…魔学徒か、貴様! よりにもよって、香恋を…!」

「あははは! 正解!」


 香恋の身体を操る魔学徒は、余を見る。そして、小声で呟くと、余の身体は氷に固められ、身動きがとれなくなってしまっていた。


「貴様…!」

「そこでじっくり見ていろ。このフレキ様が、お前の守るものを全て、壊す様を! あははは!」


 フレキは、両手の腕を振り上げる、するとその上に、氷が固まっていき、大きな球となっていく。身の毛もよだつ寒さが、辺り一面に広がる。余は、動けなかった。香恋が、憑依された事実、魔学徒に全て上回られていた絶望、それら全てが、重しとなってのし掛る。


「やめろ、香恋…!」

「あはははは! 貴方なら知ってるだろう? この娘に、もう自我はない! さあ、全部壊してやる!」


 氷が、動き出す。ぱきぱきと音を鳴らすそれが、次第に動き始める。言葉が、漏れ出る。


「…誰か、来て…」

「勿論!!」


 氷が、砕き割られた。そこには、演良が、王子様が立っていた。


「演良!」

「大丈夫、蕗乃ちゃん。君は、一人じゃない」


 演良が、余の身体の氷を、大きな斧で割る。平時なら、その斧の格好良さにテンションを上げるのだが、そんなことをしている余裕は何処にもない。ただ、敵を見据えるのみだ。

 フレキは、口が張り裂けるかと思うほどに顔をゆがめた。


「騙り手…何度、我等の邪魔をする! よいだろう、貴様らとは…」


 すると、フレキが両手を広げた。辺りの光景が、歪んでいく。そして、足もとに大きな、底の見えない真っ黒な穴が開いた。


「ここで、決着を付けてやろう!! 今度こそ、貴様を完全に滅してやる!!」

「蕗乃ちゃん!」

「演良!」


 落ちていく中で、余と演良は互いに手を伸ばした。だが、二人とも空を切った。そして、数十秒間落下を続けた後、余は、薄暗い城の廊下のような所に着地した。側には、剣やら槍やらが、掛けられている。


「ここ、は?」

「我の城だ」


 背後に、フレキが立っている。


「フレキ…!」

「さて、“ドールの使徒”よ。貴様は先に殺しておこう」


 フレキが、氷を生み出す。棘のようなそれは、余に突き刺さる。あまりの痛さに、うずくまりながら、フレキを睨む。だが、意にも介さないと言った様子で、奴は高笑いをする。


「なんだそのざまは! 愚かしい、愚かしいぞ!」

「香恋の姿で、そんなことをするな!」


 余は、狐に変化する。そして、フレキに殴りかかろうとして──寸前で、手が止まる。そこを狙って、フレキが氷で余を攻撃する。避けることもできず、後ろに飛ばされる。再び立ち上がって、殴りかかる。けれど寸前で身体が止まり、そこをフレキに狙われる。氷の棘が刺さる。立ち上がる。殴りかかる。殴れない。身体が止まる。攻撃される。転ぶ。立ち上がる。攻撃できない。攻撃される。立ち上がる。攻撃される。攻撃される。攻撃される。攻撃される。

 気づくと、余の身体は傷だらけだった。けれど、どうやっても、フレキに──香恋の身体に、攻撃できない。


「あはははは! どうした、攻撃して見せろ! 余は、貴様が憎む魔学徒だぞ? どうした?」

「きさ、ま…ふざ、けるな! 香恋は、そんな下品に笑わない!」


 力を振り絞って、殴る。だが、殴れない。だって、香恋は親友だから。余にとって、たった一人の、親友なのだから。たとえ操られていようと、例えその中身が違っていようと、例え殺されかけているとしても──余には、殴れない。そんなこと、できやしない。


「ははははは!! 惨めだな! 文乃蕗乃。…そうだ、この身体の記憶を辿って思い出したのだがな。…貴様の両親の断末魔は、とてもとても心地が良かったぞ?」

「な…? 何を、言っている?」

「貴様の両親を殺したのは我だ。ああ、奴らは別に、“ドールの使徒”だったわけでもないぞ? ただ、何となく殺しただけだ。我等は魔学徒だからな、只人を殺す程度、神に許されておるのよ。──なんだ、その顔は?」

「…ろす」

「聞こえんぞ?」

「殺してやる!!!!!!」


 殺意がみなぎる。目の前が黒く染まっていき、身体の内側から、まるで溶岩のような衝動が、恐ろしいほど湧き上がってくる。余は、懐から短刀を取り出す。そして、香恋のことなど忘れて、全力でそれを突き刺した。肉を刺した感触で、我に返る。余は、なんてことを。怒りにまかせて、親友を殺してしまうなんて…絶望に堕ちた余に、声が聞こえてくる。それは、たった一言で、余を正気に立ち戻させた。


「大丈夫だ、蕗乃ちゃん。王子様がついてる」

「あ、演良…よは、余は…香恋を、いや、其方を…」

「大丈夫、落ち着いて。僕なら大丈夫だし、あの子の身体も大丈夫だ」


 取り乱す余を、演良は優しく抱きしめて、幼子に言い聞かせるように言葉を掛けてくれる。少しずつ、殺意と絶望が、立ち消えていくのを感じた。

 すると、フレキが口を開いた。


「…騙り手め。貴様は、生きては戻れぬ所に飛ばしたのだがな」

「あの程度、死なない。…それと、お前。お前だけは、絶対に許さない。蕗乃ちゃんの心を、蕗乃ちゃんの友達を、弄んで…絶対に、許さない!」


 演良が、斧を突きつける。きらりと光る切っ先は、まっすぐにフレキを、香恋の身体を捉える。


「は、それでどうする? 貴様に、この小娘の身体が斬れるのか?」

「ああ」


 演良が、斧を振りかぶる。そして、軌道はまっすぐ、香恋の首を捉える。香恋の首に到達し、首が切られる──と思った瞬間、斧は止まった。香恋の身体からは、赤黒いもやが出ていて、右目だけが、赤黒く光っていた。しかし、数秒経つと、もやは身体に吸収されるように消えていき、左目も赤黒く光り始めた。

 もしかすると、今のは──と思っていると、演良が不敵に笑って、口を開く。


「今、出ようとしたね? …魔学徒ってのは、案外びびりなんだ? あ、ずっと昔から生きてるんだっけ。だったらそれもしょうがないか、お爺ちゃんだし」

「ふっ…演良、其方…ぐっ、笑いが」

「きさ、まら…! 生かしては帰さぬぞ!」

「それは、こっちの台詞だ」


 激高するフレキの周りに、氷の柱がぴきぴきと生み出される。余は立ち上がって、演良の隣に立ち、フレキを見据える。演良はこちらを一瞥し、「蕗乃ちゃん」と余に問いかける。


「…力を、貸してくれる? 君の友達を取り返して、アイツを倒して…また、一緒にお出かけするために!」

「…当然であろう! 余は天妖の狐! 魔学徒なぞ、化かして征伐してやろう!」


 戦いが、始まる。覚悟、決意、先ほどまでの絶望…そんな感情が渦巻きながら、余の脳内は、一つの感情に支配されていた。

 真剣なときの演良の表情は、滅茶苦茶格好良い。

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