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惑える魔法使いたち  作者: 未愛
第0.5章
7/9

23日⑥

 入って来たのはセレスだった。


 ドアを静かに閉めて、“魔法使いたち”が座っているテーブルの横に立つ。


「魔法使い諸君、お待たせした」


 そう言って、胸ポケットから手帳を取り出した。

「これから順に名前を呼んでいくから、呼ばれた者は返事をするか挙手してくれ」

 そして、持っている手帳に目を通す。


「古戸裕作君」

「はい」


「来海桜君」

「はーい!」


 まず、入口に近い方に座っていた2人が呼ばれた。


土門慎二郎(ドモンシンジロウ)君」


 その2人の次に名前を呼ばれたのは、裕作の隣に座っていて、腕を組んでじっと待っていた男子高生だった。肩まで届く紫色の髪の毛をサイドで結んでいる。


「ちなみに、彼にはこれから、毎食の料理担当をお願いしています。一人では大変なので、皆で積極的に手伝ってあげるように。」


(あの人が……)


「次、木崎絢奈(キザキジュンナ)君」


 次に呼ばれたのは来海の隣に座っている、先程まで読者をしていた女子高生。黒色のセーラー服に緑色のスカーフ。髪は宮地より明るめの茶髪で、それをサイドで三つ編みにしていた。


火神紅蓮(カガミグレン)君」


火神紅葉(カガミクレハ)君」


 今度はゲームをしていた赤髪の男女2人組が呼ばれた。

 同じ苗字に似ている顔つき。裕作の言っていた通り、この2人は双子で間違いないようである。


 男子高生の方は短髪で、羽織っている赤色のジャージと、鼻の上の絆創膏が印象的だった。いかにも活発そうな青年の特徴だったが、意外にも彼からは声を掛けられなかった。ゲームに集中していたのもあるのかもしれないが。


 一方女子高生の方は、毛先を遊ばせたロングヘアに、服装は灰色のセーターに短めのスカート。メグたちのクラスにも数人程いる、所謂ギャルを彷彿とさせた。


若月翔(ワカツキカケル)君」


 次はやや高めの声で返事をした、灰色の髪の男子高生。

 この辺りでようやく、来た順で名前を呼ばれているのだと理解した。


金山英美莉(カナヤマエミリ)君」

「は、はい……」


 次に名前を呼ばれた、金髪ツインテールの……恐らく年下だと思われる女子高生は、名前を呼ばれると肩をビクッとさせた。少しびっくりしたようで、震えた声で返事をした。


天童理人(テンドウリヒト)君」


 先程まで機械いじりをしていた、薄緑色の髪に眼鏡の男子高生。典型的なインテリキャラの雰囲気を醸し出している。


「水城凛音君」


 先程の女子高生が名前を呼ばれた。視線は彼女に集まったが、彼女自身は誰とも目を合わせようとせず、特に返事をすることもなく俯いていた。


「宮地環君」


「はい」


(次、私だ……)


 自分の番が近付いた途端、急に緊張が走った。


「最後、白銀メグ君」


 水城を除いた全員の視線がこちらに集まる。


「……はい」


 結局緊張は解けず、少し小さい返事になってしまった。


 ……全員が揃ったことを確認したセレスは、持っていた手帳を胸ポケットに仕舞った。


 そして、“魔法使いの集い”の開催を宣言する。


「改めまして、星護館へようこそ。私はこの星護館の管理人をしている、綾小路セレスと申します」


「明日から2週間、皆さんにはこの館で共同生活を送って頂くことになりますが、そのうえで幾つかルールを設けたいと思います」


 そう言って、再び手帳を取り出した。

 そして、内容を読み上げる。


『①、原則として途中退場や外出は認めない。但し、有事の際は例外とする。』

 

『②、夜更かしや暴飲暴食は禁止。規則正しく健康的な生活を心掛けること。』


『③、料理や館の清掃などの家事には、魔法使い全員で分担・協力し、積極的に取り組むこと。』


『④、体調が酷く優れない場合は、無理をせずに世話係に申し出ること。』


『⑤、魔法使い同士の暴力行為は厳禁。相手に怪我を負わせた者にはペナルティを課す。』


「……以上になりますが、ルールは今後追加される場合がございますので、どうかご了承を。それと……」


 ガチャ……と再び、誰かがドアを開ける音。


「ごめんなさい、遅くなったわ」


 そう言って入って来たのは、銀色のウェーブしたミディアムヘアに、白衣姿の長身の女性だった。


「随分と遅かったみたいだが、何かあったのかな?」


「お化粧直しをしていたの。せっかく来てくれたんですもの、だらしない格好でお出迎えなんて出来ないでしょう?」


 セレスはゴホン、とわざとらしい咳払いをし、気を取り直す。


「こちら、私と同じく、皆さんのお世話係を担当する、心理カウンセラーの皇エリス(スメラギエリス)先生だ」


「どうぞよろしく」


 そう言って、ニッコリと笑みを浮かべた。


「顔合わせは以上で終了となります。館内の設備は、本日から自由に使用して頂いて構いません」


「それから朝の7時30分と、昼の12時、そして夕方の6時はここで食事となります。強制ではありませんが、時間になったらここに集まってください」


「そして今後、何か分からない事がありましたら、私たちお世話係に何なりとご質問を」


 時間は19時。顔合わせは終了し、今日はこれにて解散となった。

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